
ユーラシア大陸に生息するチョウザメ(コチョウザメ)の卵は、高級食材のキャビアとなる。卵はメスが産卵する為、メスが増えればキャビアも増える。
近畿大学水産研究所の研究チームは、安全で効率的なキャビアの生産を目指し、人工孵化させたコチョウザメに、大豆イソフラボンを含んだ飼料を一定量経口投与したところ、全てのオスをメス化させ、卵巣を持たせることに成功したそうだ。
大豆イソフラボンの一種、「ゲニステイン」は、女性ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」と類似した働きをすることで知られている。
貴重なおいしいキャビアを持つコチョウザメ コチョウザメ(Acipenser ruthenus)は、東ヨーロッパからロシアに広く分布する小型のチョウザメ。
チョウザメ科の中では最も早く成熟し、メスの体重が1kgに達する3歳頃にはキャビアとなる卵を持つようになる。小粒ながらそのキャビアは「スターレット」と呼ばれるたいへん希少な品種として珍重されている。
乱獲や汚染により自然下での個体数が減っており絶滅危急種に指定され、保護プロジェクトが行われている最中だ。現在国際的に取引されるコチョウザメの大部分は養殖されたものである。
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photo by iStock
大豆イソフラボンの飼料で全メス化に成功 チョウザメは、メスとオスが1:1の割合で生まれるため、養殖におけるキャビアの生産効率の悪さが課題となっている。
そこで、近畿大学水産研究所新宮実験場では、メスの単性養殖のための技術開発を目的として、コチョウザメを安全にメス化させる研究を行った。
研究グループは、人工孵化2カ月後のコチョウザメを25匹ずつ、5つのグループに分け、その3つに女性ホルモンに作用する、大豆イソフラボンの一種「ゲニステイン」の配合量を変え、180日間与えた。その後70日間はゲニステインを含まない一般的な配合飼料を経口投与した。
1つのグループには180日間、女性ホルモン1μg/gを含む飼料を与えあと、70日間一般的配合飼料、残る1つのグループには250日間、一般的な飼料を経口投与した。
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1μg/g マイクログラムパーグラム 1μgは百万分の1g / image credit:近畿大学水産研究所
その後、5つのグループからサンプルを抽出して調査したところ、ゲニステイン含有量1000μg/gの飼料を与えたグループでは、全てのコチョウザメが遺伝的にはオスでありながら、卵巣を持つことが明らかとなった。
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photo by iStock
大豆イソフラボンで全メス化に成功した初事例 主に大豆の胚芽部分に多く含まれている大豆イソフラボンの一種、ゲニステインは、構造が女性ホルモンに類似し、エストロゲン受容体に結合するため、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをすることから、「植物性のエストロゲン」と呼ばれている。
チョウザメに大豆イソフラボンを経口投与して全メス化に成功したのは日本初だという。
この方法で安全にキャビア生産の効率化によるキャビアの量産化が期待できる可能性が高いという。
References:近畿大学水産研究所 / 日本初!大豆イソフラボンによるチョウザメの全メス化に成功 安全な方法で効率的なキャビア生産をめざす written by / parumo
追記:(2022/03/10)本文を一部訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
近畿大学水産研究所の研究チームは、安全で効率的なキャビアの生産を目指し、人工孵化させたコチョウザメに、大豆イソフラボンを含んだ飼料を一定量経口投与したところ、全てのオスをメス化させ、卵巣を持たせることに成功したそうだ。
大豆イソフラボンの一種、「ゲニステイン」は、女性ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」と類似した働きをすることで知られている。
貴重なおいしいキャビアを持つコチョウザメ コチョウザメ(Acipenser ruthenus)は、東ヨーロッパからロシアに広く分布する小型のチョウザメ。
チョウザメ科の中では最も早く成熟し、メスの体重が1kgに達する3歳頃にはキャビアとなる卵を持つようになる。小粒ながらそのキャビアは「スターレット」と呼ばれるたいへん希少な品種として珍重されている。
乱獲や汚染により自然下での個体数が減っており絶滅危急種に指定され、保護プロジェクトが行われている最中だ。現在国際的に取引されるコチョウザメの大部分は養殖されたものである。
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大豆イソフラボンの飼料で全メス化に成功 チョウザメは、メスとオスが1:1の割合で生まれるため、養殖におけるキャビアの生産効率の悪さが課題となっている。
そこで、近畿大学水産研究所新宮実験場では、メスの単性養殖のための技術開発を目的として、コチョウザメを安全にメス化させる研究を行った。
研究グループは、人工孵化2カ月後のコチョウザメを25匹ずつ、5つのグループに分け、その3つに女性ホルモンに作用する、大豆イソフラボンの一種「ゲニステイン」の配合量を変え、180日間与えた。その後70日間はゲニステインを含まない一般的な配合飼料を経口投与した。
1つのグループには180日間、女性ホルモン1μg/gを含む飼料を与えあと、70日間一般的配合飼料、残る1つのグループには250日間、一般的な飼料を経口投与した。
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1μg/g マイクログラムパーグラム 1μgは百万分の1g / image credit:近畿大学水産研究所
その後、5つのグループからサンプルを抽出して調査したところ、ゲニステイン含有量1000μg/gの飼料を与えたグループでは、全てのコチョウザメが遺伝的にはオスでありながら、卵巣を持つことが明らかとなった。
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大豆イソフラボンで全メス化に成功した初事例 主に大豆の胚芽部分に多く含まれている大豆イソフラボンの一種、ゲニステインは、構造が女性ホルモンに類似し、エストロゲン受容体に結合するため、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをすることから、「植物性のエストロゲン」と呼ばれている。
チョウザメに大豆イソフラボンを経口投与して全メス化に成功したのは日本初だという。
この方法で安全にキャビア生産の効率化によるキャビアの量産化が期待できる可能性が高いという。
References:近畿大学水産研究所 / 日本初!大豆イソフラボンによるチョウザメの全メス化に成功 安全な方法で効率的なキャビア生産をめざす written by / parumo
追記:(2022/03/10)本文を一部訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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