
近年、コンクリートに使われる骨材(セメント・水と一緒に混ぜ合わせられる砂利や砂などのこと)を廃棄された古タイヤで代用しようという試みが行われている。
今回、オーストラリアの研究グループは、従来のものの欠点を克服した100%古タイヤの骨材でコンクリートを開発した。
それは機能面で優れているだけでなく、コンクリートと古タイヤが抱える環境問題をどちらも解決してくれるそうだ。
古タイヤを骨材に使用する為に克服しなければならないこと コンクリートは、水・セメント・骨材(砂や砂利など)を混ぜ合わせたものだ。
こうした素材はどこにでもありそうだが、砂や砂利は地面から掘らねばならないので、じつは世界中で骨材が不足している。
一方、タイヤはある程度はリサイクルできるが、そのまま埋め立てられたり、焼却処理されたりすることも多い素材だ。
そこで両者を組み合わせるという発想が生まれた。要らなくなったタイヤを砕いて砂や砂利の代わりにすれば、そうした両素材が抱える問題を解決できるからだ。
しかもタイヤは圧力を受けても曲がって壊れないので、古タイヤ骨材で作られたコンクリートは普通のものより丈夫だ。
ただしタイヤ粒子を使いすぎると、圧縮や引っ張る力に弱くなるという欠点もある。セメントがゴムにうまくくっつかず、しっかり結合しないからだ。
[画像を見る]
タイヤを砕いた粒子を水と一緒に混ぜたコンクリート/Mohammad Islam, RMIT圧力をかけることで最適化 オーストラリア、RMIT大学の研究グループは、セメントが結合してくれない原因は、タイヤゴムに開いている小さな穴であることを突き止めた。
より正確に言うなら、コンクリートを混ぜた時に穴に入った水が、蒸発して最終的に空洞になってしまうことが原因だ。
この問題を解決するために考案されたのが、今回の新しいコンクリートの作り方だ。
まずは100%タイヤ粒子骨材のコンクリートを普通に作る。新しいのはここから。コンクリートを特殊な金型に流しこみ、圧力をかけてタイヤ粒子の穴を潰すのだ。
その結果、コンクリートが乾いても、ぐっと結合が良くなったという。
従来のやり方による100%タイヤ骨材コンクリートに比べて、圧縮強度・曲げ強度・引張強度がそれぞれ97%・59%・20%向上したそうだ。
[画像を見る]
新たに開発された100%古タイヤ骨材コンクリートは、建築基準を満たしているだけでなく、一般的なコンクリートより軽量だ/Mohammad Islam, RMIT高性能で環境にもやさしい古タイヤ骨材のコンクリート 研究グループの今後の目標は、新開発のコンクリートをさらに強化し、建築により適したものにすることだ。
研究グループのリーダーであるリ・ジエ教授は、「一般的なコンクリートは大部分が粗骨材で占められています。これを古タイヤで代用できれば、天然資源の消費を大幅に減らせるとともに、古タイヤが引き起こす環境問題への対策にもなります」と、語る。
この研究は学術誌『Resources, Conservation & Recycling』(2022年5月4日付)に掲載された。
References:Concrete using recycled tyre rubber hits the road to a circular economy - RMIT University / written by hiroching / edited by / parumo
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今回、オーストラリアの研究グループは、従来のものの欠点を克服した100%古タイヤの骨材でコンクリートを開発した。
それは機能面で優れているだけでなく、コンクリートと古タイヤが抱える環境問題をどちらも解決してくれるそうだ。
古タイヤを骨材に使用する為に克服しなければならないこと コンクリートは、水・セメント・骨材(砂や砂利など)を混ぜ合わせたものだ。
こうした素材はどこにでもありそうだが、砂や砂利は地面から掘らねばならないので、じつは世界中で骨材が不足している。
一方、タイヤはある程度はリサイクルできるが、そのまま埋め立てられたり、焼却処理されたりすることも多い素材だ。
そこで両者を組み合わせるという発想が生まれた。要らなくなったタイヤを砕いて砂や砂利の代わりにすれば、そうした両素材が抱える問題を解決できるからだ。
しかもタイヤは圧力を受けても曲がって壊れないので、古タイヤ骨材で作られたコンクリートは普通のものより丈夫だ。
ただしタイヤ粒子を使いすぎると、圧縮や引っ張る力に弱くなるという欠点もある。セメントがゴムにうまくくっつかず、しっかり結合しないからだ。
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タイヤを砕いた粒子を水と一緒に混ぜたコンクリート/Mohammad Islam, RMIT圧力をかけることで最適化 オーストラリア、RMIT大学の研究グループは、セメントが結合してくれない原因は、タイヤゴムに開いている小さな穴であることを突き止めた。
より正確に言うなら、コンクリートを混ぜた時に穴に入った水が、蒸発して最終的に空洞になってしまうことが原因だ。
この問題を解決するために考案されたのが、今回の新しいコンクリートの作り方だ。
まずは100%タイヤ粒子骨材のコンクリートを普通に作る。新しいのはここから。コンクリートを特殊な金型に流しこみ、圧力をかけてタイヤ粒子の穴を潰すのだ。
その結果、コンクリートが乾いても、ぐっと結合が良くなったという。
従来のやり方による100%タイヤ骨材コンクリートに比べて、圧縮強度・曲げ強度・引張強度がそれぞれ97%・59%・20%向上したそうだ。
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新たに開発された100%古タイヤ骨材コンクリートは、建築基準を満たしているだけでなく、一般的なコンクリートより軽量だ/Mohammad Islam, RMIT高性能で環境にもやさしい古タイヤ骨材のコンクリート 研究グループの今後の目標は、新開発のコンクリートをさらに強化し、建築により適したものにすることだ。
研究グループのリーダーであるリ・ジエ教授は、「一般的なコンクリートは大部分が粗骨材で占められています。これを古タイヤで代用できれば、天然資源の消費を大幅に減らせるとともに、古タイヤが引き起こす環境問題への対策にもなります」と、語る。
この研究は学術誌『Resources, Conservation & Recycling』(2022年5月4日付)に掲載された。
References:Concrete using recycled tyre rubber hits the road to a circular economy - RMIT University / written by hiroching / edited by / parumo
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