目覚めさせてしまったようだ。火山に火口に物を投げ入れた瞬間、巨大な炎が沸き上がる
 2人の男性が火口に30kgほどの有機廃棄物を投げ入れたところ、それまで黒い沼のようだった溶岩に火が付き、巨大な炎が沸き上がる。

 実はこれ、「人間がもし火山に落ちたらどうなるのか?よく言われているようにズブズブと沈みながら死んでいくのか?」という仮説を検証する為の実験として行われたのだ。


 物が落下した瞬間に噴き出す炎。まさに火山を目覚めさせる瞬間である。

もしも人間が火口に落ちるとどうなるのか? 火山の火口に人間が落ちたら、よっぽどのことがない限り死んでしまう。それはわかっている。だがどのように死んでいくのだろう?

 ターミネーターの「アイル・ビー・バック」よろしく、炎に包まれながら、ゆっくりと沈んでいくのだろうか?それとも沈まないのだろうか?火口に人間の代わりに有機廃棄物を落とす実験 そこでこんな実験が行われた。

 ドイツの火山学者リヒャルト・ロスコーは、エチオピアのエルタ・アレ火山に足を運び、残飯と有機物などを詰めた30キロの袋を火口に投げ込むという実験を行った。

 これらの物を詰めた理由は、どちらも有機物で水を含んでいるため、人間が落ちた時と同様の反応を起こすことが予測されたからだ。

 その瞬間を撮影した映像には、かなりドラマチックな場面が映し出されている。「目覚めさせてしまった」とはまさにこのことだ。

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Disposal of organic waste in Erta Ale Volcano lava lake causes violent eruption溶岩の殻を突き破って沈んでいく 火口から80メートル落下した袋は、派手な音を立てて溶岩に衝突。すぐに沈んで見えなくなり、落下地点から溶岩が噴出し始める。

 ロスコーは、YouTubeの投稿コメントでこう説明する
人間が溶岩に沈むかどうかは、よく議論されるところだ。
溶岩は密度が高いため、一般に人間は表面から沈まないと考えられている。

確かに、専用の耐熱服を着ていれば、短時間歩けるような溶岩は存在するだろう。ただし絶対に試さないように!

しかし映像からわかるように、高いところから落ちれば、溶岩の殻を突き破って沈みながら燃えていくのだ
 なお袋投入後に溶岩が噴出しているのは、有機物が燃えて発生した水蒸気によるものと考えられるそうだ。

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 つまり、落ちた直後に溶岩に叩きつけられた衝撃で沈み、そのまま炎に包まれ燃え尽きてしまうというわけだ。溶岩に沈まないケースも 今回の実験の場合、高さがあったため沈んでいったが、沈まないケースも多いそうだ。

 地質学者のエリック・クレメッティはWiredで、溶岩に落ちても沈むことはほとんどないと述べている。

 溶岩の密度は水の3倍だ。人体のほとんどは水でできている。ということは、溶岩は人体の3倍近くの密度があるということだ。

 さらにその粘度は水の10万~110万倍もある。だから人間は溶岩に落ちても沈まずに浮くというのだ。

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叩きつけられるか、殻を突き破って沈んでしまうかのどちらか よって、それほど高くないところなら、溶岩に叩きつけられ沈むことはない。
だが一定上の高さがあれば、溶岩の殻を突き破って沈んでしまうと思われる。

 だがいずれのケースでも、火口に飛び込んだら助からないことは間違いない。

 落下の衝撃か溶岩の熱が直接の死因になりそうだ。もちろん火山なら遺体は完全に燃やし尽くされてしまうし、仮に燃え残っていたとしても引き上げることは困難なので、自然に葬り去れれることとなるだろう。

References:What Would Happen If You Fell Into a Volcano? | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

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