
我々は当たり前のように2本足で歩いている。人間は二足歩行に進化し、それでバランスがとれるような体になったからだ。
だがトルコには、両手と両足を地面につけ、4本足で歩く家族がいる。「ウラス家」の子供たちは大人になっても、2本足で歩くことなく四足歩行のままだ。
彼らはなぜ4本足で歩くのだろうか?科学者らはその謎を解き明かそうとしている。
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Remote village where people walk on all fours | 60 Minutes Australia世界的に注目を集めた四足で歩くウラス家 ウラス家が世界的に有名になったのは、2006年、BBCのドキュメンタリー「四つん這いで歩く家族」に出演したのがきっかけだ。ウラス家の19人の家族のうち、5人が四足歩行で歩く。
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トルコの研究者はこの家族についてある医学論文を発表した。それによれば、この一家は「退化」をしたのだという。
私たち人類は300万年という時間をかけて進化してきたが、一家はその長い道のりを逆行して原始時代に戻ったというのだ。
これに納得しなかったのが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの進化心理学者ニコラス・ハンフリー教授だ。
ハンフリー教授は、「トンデモ科学だったとしても、現代人が動物に戻ることはありえない」と語る。
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ウラス家の四足歩行の謎を探る 一家が退化しているとの主張は、侮辱であり、科学的にも無責任だと感じたハンフリー教授は、ウラス家の人たちが四足歩行をする原因を自ら調べることにした。
検査で明らかになったのは、ウラス家のうちの6人に珍しい障がいがあったという。
小脳の真ん中にある左右の小脳半球にはさまれた「小脳虫部」が縮んでいるらしかったのだ。特に28歳のギュレンは障害が重かった。
だが、それで謎が完全に解けるわけではない。なぜなら小脳が収縮していたり、あるいはまったくない人たちであっても、歩くことはできるからだ。
28歳のギュレン
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人類の祖先の体の動かし方が反映されている可能性 ウラス家の歩き方について1つ不思議な点は、彼らが四足歩行するとき指を地面につくのではなく、手のひらをつくことだ。これは他の霊長類の指と関節を使う歩行とは異なる。
その一方、四足歩行をするウラス家の骨格は、人間というよりは、サルに近いという。こうした事実は、私たちの祖先の体の動かし方を反映している可能性があるという。
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これについて、ハンフリー教授はこう語っている。
人は生後9ヶ月頃になればハイハイを卒業して立ちあがろうとする。
それが彼らの発達に影響を与え、2本足で歩くという次の段階に移れなかったと考えられるそうだ。
実際、理学療法士の指導の下、歩行器と並行棒で歩く訓練をしたところ、全員が(ギュレンすらも)もう少しで普通に歩けそうな雰囲気であるという。
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ハンフリー教授は、ウラス家の事例は「驚きの事例」であると述べている一方、「悲劇的な人間の物語」とも振り返っている。
その歩き方は遺伝子・生理・心理・社会など、異常な要因が重なった結果であると考えられるそうだ。
References:Inside the extraordinary family where they walk on all fours / written by hiroching / edited by / parumo
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だがトルコには、両手と両足を地面につけ、4本足で歩く家族がいる。「ウラス家」の子供たちは大人になっても、2本足で歩くことなく四足歩行のままだ。
彼らはなぜ4本足で歩くのだろうか?科学者らはその謎を解き明かそうとしている。
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Remote village where people walk on all fours | 60 Minutes Australia世界的に注目を集めた四足で歩くウラス家 ウラス家が世界的に有名になったのは、2006年、BBCのドキュメンタリー「四つん這いで歩く家族」に出演したのがきっかけだ。ウラス家の19人の家族のうち、5人が四足歩行で歩く。
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トルコの研究者はこの家族についてある医学論文を発表した。それによれば、この一家は「退化」をしたのだという。
私たち人類は300万年という時間をかけて進化してきたが、一家はその長い道のりを逆行して原始時代に戻ったというのだ。
これに納得しなかったのが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの進化心理学者ニコラス・ハンフリー教授だ。
ハンフリー教授は、「トンデモ科学だったとしても、現代人が動物に戻ることはありえない」と語る。
私たちがほかの動物と区別されるのは、2本足で歩き、頭を高くかかげたまま老いる種であるからです
もちろん言葉などもありますが、歩き方は人間がほかの動物とは違うという感覚にとって、とても重要なことです
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ウラス家の四足歩行の謎を探る 一家が退化しているとの主張は、侮辱であり、科学的にも無責任だと感じたハンフリー教授は、ウラス家の人たちが四足歩行をする原因を自ら調べることにした。
検査で明らかになったのは、ウラス家のうちの6人に珍しい障がいがあったという。
小脳の真ん中にある左右の小脳半球にはさまれた「小脳虫部」が縮んでいるらしかったのだ。特に28歳のギュレンは障害が重かった。
だが、それで謎が完全に解けるわけではない。なぜなら小脳が収縮していたり、あるいはまったくない人たちであっても、歩くことはできるからだ。
28歳のギュレン
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人類の祖先の体の動かし方が反映されている可能性 ウラス家の歩き方について1つ不思議な点は、彼らが四足歩行するとき指を地面につくのではなく、手のひらをつくことだ。これは他の霊長類の指と関節を使う歩行とは異なる。
その一方、四足歩行をするウラス家の骨格は、人間というよりは、サルに近いという。こうした事実は、私たちの祖先の体の動かし方を反映している可能性があるという。
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これについて、ハンフリー教授はこう語っている。
この家族に見られるものは、私たちがまだチンパンジーのようには歩けなかった時代のものである可能性があります。歩行訓練をしなかったことにも原因が? ただしハンフリー教授は、ウラス家の子供たちの育ち方に大きな要因があることは間違いないと断言している。
その時代、私たちの祖先は木から降り、完全な二足歩行へ向けて重要な一歩を踏み出そうとしていました
人は生後9ヶ月頃になればハイハイを卒業して立ちあがろうとする。
だがウラス家の子供たちは、その時期に立ち上がるよううながされなかったと疑われる。
それが彼らの発達に影響を与え、2本足で歩くという次の段階に移れなかったと考えられるそうだ。
実際、理学療法士の指導の下、歩行器と並行棒で歩く訓練をしたところ、全員が(ギュレンすらも)もう少しで普通に歩けそうな雰囲気であるという。
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ハンフリー教授は、ウラス家の事例は「驚きの事例」であると述べている一方、「悲劇的な人間の物語」とも振り返っている。
その歩き方は遺伝子・生理・心理・社会など、異常な要因が重なった結果であると考えられるそうだ。
References:Inside the extraordinary family where they walk on all fours / written by hiroching / edited by / parumo
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