
来園者も面白がってガラス越しからゴリラに画面を見せるため、ゴリラのスマホ依存症も懸念されている。
カナダのトロントの動物園では、ゴリラのエリアに看板を設置し、スマホで写真や動画を見せるのを控えるよう呼び掛けている。
その理由は、一部のコンテンツがゴリラたちを不安にさせ、彼らの家族関係や行動に影響を及ぼす可能性があるからだという。
ゴリラにスマホの動画を見せないでと動物園が来客にお願い トロント動物園はゴリラのエリアに看板を設置し、「一部のコンテンツは感情を揺さぶり、家族関係や、行動に悪影響を与える可能性があります」として来園者にスマホの動画や画像をゴリラに見せることをやめるよう呼び掛けた。
トロント動物園の行動管理監督者のホリー・ロスさんは、「動物たちの生活を可能な限り自然な状態に保ちたいのです」と語る。
私たちが望むのは、ゴリラがゴリラらしくいられること。そして来園者たちに、ゴリラたちの自然な生態を見てもらうことです。
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image credit:Tronto Zoo
若者ゴリラはスマホ動画に夢中 当局者らによると、好奇心旺盛なナシールというゴリラは、来園者の携帯電話にある動画に特別な興味を示しているのが目撃されているという。
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トロント動物園の公式サイトによると、ナシールは2009年9月生まれのオスで、「彼はスマホの動画に魅了されており、時間が許す限り画面を見続けるであろう人間の10代の典型である」と記載されている。
ナシールは、スマホの動画に執着するあまり、仲間とうまく交流することが出来なくなってしまったそうだ。
同動物園の野生生物保護・福祉担当ディレクター、マリア・フランケさんは、このように話している。
実際に、ガラス越しからスマホをかざして動画を見せるお客様がたくさんいます。
私たちはゴリラたちに来園者たちがスマホの画面を見せることをあまり望んでいません。むしろ、来園者がゴリラの自然な姿を見てもらいたいのです。
でも、ナシールはスマホを見ることに夢中になっていました。そのせいで彼は気が散って、仲間のゴリラと交流できなくなってしまいました。
ナシールにとって重要なことは、仲間たちと一緒にゴリラらしく過ごすことだと思います。
ロスさんによると、来園者のスマホに夢中になっていたナシールや他のゴリラは、動物園が監視のもと、自然ドキュメンタリーなどの動画を見ることが許されていると明かしている。'We just want the gorillas to be able to be gorillas': @TheTorontoZoo urges guests to help limit screen time for gorillas. Find out more in our LIVE chat on @CP24. (2/2) pic.twitter.com/c2sKXMNXoj
— Marc Liverman (@MarcLiverman) July 7, 2023
ゴリラがビデオに夢中になるのは主に好奇心からだ。動物園はそれが問題にならないようにしたいとロスさんは述べている。これまでのところ目立った行動の変化は観察されていないと付け加えた。
私たちはゴリラたちが見るコンテンツを確認したいのです。他の動物園でもゴリラのスマホ依存が問題に ゴリラにスマホを見せる行為は他の動物園でも問題となっている。
人間の親が子供のアカウントを管理するのと同じように、ゴリラたちが有害なコンテンツを見ないようコントロールしたいのです。
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こちらはルイジアナ動物園でゴリラにスマホを見せている若者の動画
アメリカ・シカゴの動物園でも去年、アマレという16歳のオスのゴリラが、来園者の見せるスマホに夢中になりすぎてスマホ依存症のような状態に陥り、仲間と共同生活が営めなくなり、孤立してしまうという問題が生じてしまった。
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来園者にとっては、ゴリラが自分の近くに来てくれて、スマホを見てくれるのは面白いかもしれないが、ゴリラが社会生活を営めなくなってしまうのは問題だ。
シカゴの動物園では、ゴリラのブース前にロープを置いて距離を取ることで、ゴリラがガラス越しに来園者のスマホを覗き込むことができないような措置を実施しているが、そのような措置がない動物園でも、客側のゴリラへの配慮は必要といえるだろう。
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ケンタッキー州ルイビル動物園でゴリラにスマホを見せる女性
References:Toronto Zoo urges guests to help limit screen time for gorillas/ written by Scarlet / edited by parumo
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