恐ろしい捕食者だった。1億年前の巨大な翼竜の化石がオーストラリアで新たに発見される
 1億年前の白亜紀、オーストラリア北東部のほとんどは内陸まで海に浸かっていた。その上空には、翼から翼まで4mを超える巨大な翼竜が飛び回っていたのだ。


 今は失われた「エロマンガ海」には、カメやイルカのような魚竜から、10m近い巨体を誇る捕食者クロノサウルスなど、さまざまな海洋生物が生息していた。

 新たに発見された「ハリスキア」の化石は、この時代最大の飛行生物である翼竜として、そうした生き物たちを上空から見ろしていたことだろう。

最も完全な翼竜の化石を発見 2021年11月、アボカド農家から博物館の学芸員に転身したという異色の経歴を持つケビン・ピーターセンが、クイーンズランド州リッチモンド近郊で骨格の化石を発見した。

 彼の名にちなんで「Haliskia peterseni(ハリスキア・ペテルセニ)」(”ピーターセンの海の幻影”の意)と命名されたその新種は、オーストラリアで発見された翼竜の化石としては最も完全なものだ。

 骨格全体の22%ほどが残されており、翼を広げると4.6mもの大きさがあった。

 翼竜の化石はどの大陸でも見つかっているが、一般的な恐竜に比べればずっと少ない。


 空を飛ぶ彼らの骨は、中が空洞で脆かった。これは軽量化のための進化だが、そのおかげで化石になりにくいのだ。

 世界的に見ても翼竜の完全な骨格は少なく、そのほとんどは例外的な好条件の場所で発掘されたものだ。そうでない場所で発掘された翼竜の化石は、大抵押しつぶされて歪んでいる。

 それゆえに翼竜の化石の多くは、その種唯一のものだ。

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かつてオーストラリア北東部は内陸まで海が入り込んでいた。
失われた海を「エロマンガ海」という / image credit:Geoscience Australia上空からタコやイカ、魚を狩る恐ろしい捕食者だった ハリスキアの化石は、オーストラリアで2例目となる翼竜の骨格で、最初のもの(フェロドラコ)の2倍の骨が残されていた。

 完全な下顎、上顎の先端、43本の歯、脊椎骨、肋骨、両翼の骨、脚の一部といった骨は、ハリスキアの生前の姿を教えてくれる。

 たとえば肩などの骨がくっついていることから、このハリスキアはもう大人だったと考えられている。

 また力強い筋肉質の舌を支えていたと考えられるスパゲッティのように薄い舌骨や、上下がうまくかみ合う円錐形の歯は、彼らの食べ物を知るヒントになる。

 ハリスキアを含め、これまでオーストラリアで発見された翼竜は「Anhangueria科」の仲間で、主に魚を食べて生きていたとされている。

 それを裏付けるように、エロマンガ海に堆積していた岩石からは魚の化石や、「ベレムナイト」というイカのような頭足類の化石がよく発掘されている。


 ハリスキアの長い舌骨や歯は、こうした獲物を食べるのに便利だっただろう。

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化石を発掘するケビン・ピーターセン氏/Krokosaurus Korner化石に対する情熱が発見につながる なおハリスキアの発見者ケビン・ピーターセンが翼竜の化石を発見したのは、それが初めてではい。

 その数年前、リッチモンドを観光で訪れたときにも素晴らしい化石を見つけているのだ。そして彼の発見がきっかけとなって、そこからはその後もさらに多くの翼竜の化石が発掘されている。

 ピーターセンのこの業績は、科学や古生物学の分野で大発見をするのに、必ずしも学位などいらないことを証明している。

 必要なのは献身と決意と、しかるべきタイミングでしかるべき場所にいることであるようだ。


 この研究は『Scientific Reports』(2024年6月12日付)に掲載された。

References:100-million-year-old fossil find reveals huge flying reptile that patrolled Australia’s inland sea / written by hiroching / edited by / parumo

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