丸くてふわふわの体で、花から花へせっせと飛び回り、花粉媒介者として植物を助けているマルハナバチ。小さな体ながら高度な知能を持ち、仲間を思いやる社会性があることでも知られている。
フィンランドのオウル大学の新たな研究によると、マルハナバチは、誰にも教わっていない問題を自分の力だけで解決できることがわかった。
これまで経験したことのない空間にマルハナバチを入れたところ、マルハナバチは中にあったボールをうまく利用して、花の蜜を飲むことに成功したのだ。
この研究成果は『Science[https://www.science.org/doi/10.1126/science.ady1618]』誌(2026年6月4日付)に掲載された
マルハナバチの問題解決能力を調査
カラパイアではこれまで、マルハナバチに関する研究成果を伝えてきた。喜びに似た感情を持つこと、仲間の行動を見て学び、それが仲間同士に広がっていくことなど、小さな体からは想像できないほどの知能と社会性に満ちている。
今回オウル大学などの研究チームが確かめたのは、マルハナバチの問題解決能力に関してだ。
これまでできなかったことも、親や仲間に教わることでできるようになる。
誰にも教わってもいない問題を自分の力だけで解く力は、これまでヒトやチンパンジー、ゾウ、一部の鳥などの動物だけのものと考えられてきた。
知能が高いと言えども昆虫のマルハナバチに、自己問題解決能力はあるのか?
天井の低い部屋に道具を入れマルハナバチの様子を観察
研究チームは、透明な円形の小さな部屋を用意した。天井には青い円盤を取りつけ、その中に甘い蜜を入れている。
円盤は天井に張りついているため、ハチが羽ばたいて近づいても、そのままでは蜜を飲めない。
研究チームは事前に、青い円盤の中に蜜が入っていること、ボールは無害で動かすことができるということをハチに覚えさせた。
ただし、この2つを結びつけて蜜にたどり着く方法は一切教えていない。
すると、実験を行ったマルハナバチのうちの75%が、自分で考えてボールを蜜の真下まで転がし、その上によじ登って円盤にたどり着き、蜜を飲んだ。
研究チームが教えていないやり方を、ハチは自力で思いついたことになる。
様々な仕掛けを作ってもボールを運んで蜜にたどり着く
マルハナバチには、ごほうびがなくてもボールを転がして遊ぶ習性があるため、たまたま転がしたボールが偶然うまく蜜の真下に来た可能性はないのか?
このことを確かめるため、研究チームは、部屋の中に仕切りをつくり、反対側の天井に蜜の円盤を置いた。
仕切りには通り抜けられる隙間が空いているが、ハチがいる場所から蜜の円盤を見ることができない。
するとハチは蜜のありかを確かめてから、ボールを仕切りの隙間に通して反対側へ送り込み、蜜のある青い円盤の真下まで運んでたどり着いた。
研究チームは他にも、ハチとボール、蜜の入った青い円盤を仕切り、迷路のような構造を作った。
ハチは、ボールの位置と蜜のありかをまず確かめ、ボールを蜜の場所まで転がしていったのだ。
ハチは蜜の位置を覚え、そこを目指してボールの通り道を選んだことになる。偶然やまぐれ、遊びでは説明がつかない。
マルハナバチの問題解決能力はチンパンジーに匹敵
約100年前、ドイツの心理学者ヴォルフガング・ケーラーは、高い場所に吊るしたバナナを前にしたチンパンジーが、箱を積み上げてよじ登り、見事に手に入れる様子を観察している。
状況を判断し、自ら答えを導き出す能力は、動物の知能を考えるうえで重要な手がかりとされてきた。
マルハナバチが今回見せたのは、まさにこれと同じ能力だ。
ほんの小さな昆虫が、霊長類であるチンパンジーと同じように、まわりの物を足場として使い、自分で答えにたどり着いたのだ。
References: Bumble bees show spontaneous problem-solving in study published in Science | EurekAlert![https://www.eurekalert.org/news-releases/1129945] / DOI.10.1126/science.ady1618[https://www.science.org/doi/10.1126/science.ady1618]











