今年もFUJI ROCKやサマーソニックなど、海外アーティストの来日ラッシュの季節になりました。これからの時代を切り拓くアーティストに注目しつつも、レジェンドと呼ぶに相応しい海外アーティストたちのデビュー当時の作品を紐解いていきます。
初々しくも才能の片鱗をのぞかせるアーティストたちの作品をご堪能ください。

Come on / The Rolling Stones(1963年)

世界中の誰もが認める偉大なロックンロール・バンドThe Rolling Stonesは、今年でデビュー57年目を迎えました。そのデビューシングルはオリジナル曲ではなくチャック・ベリーのカバー曲。この「Come on」を演奏することにメンバーは拒否感を持っていましたが、当時のレコード会社から「売れる曲をデビューシングルにする」と言われ、渋々受け入れたと言います。実際に全英チャート21位になり注目を浴びますが、メンバーの中では封印され、その後はライブで演奏されることがほとんどなく、長い間アルバムに収録される機会もありませんでした。ちなみに「Come one」でハーモニカを吹いているのは27歳の若さで他界したデビュー当時のリーダーでギタリストのブライアン・ジョーンズです。


Keep Yourself Alive /Queen(1973年)

1973 年7月13日にデビューアルバム『戦慄の女王』をリリースしたクイーン、その1週間前に先行シングルとして発表されたのが「Keep Yourself Alive(邦題:炎のロックンロール)」です。しかしこの作品は、メジャー契約した直後にレコーディングしたもので、リリースまでに1年以上が経過していました。「ロックなのに曲構成が複雑でサウンドに小細工が多い」とか「他のバンドの亜流」とイギリスではネガティヴな評価ばかりでした。しかしその頃にクイーンは、全映チャート5位となりその後の活動のエポックメイキングとなる『クイーンII』の制作に入っていました。デビュー時の喧騒を自分たちの力に変えていったのがクイーンなのです。

Hey Joe / The Jimi Hendrix Experience(1967年)

没後50年近く経った現在でも数多くのメディアでロック史上最高のギタリストと評価されるジミ・ヘンドリックス。
デビュー前からエリック・クラプトンビートルズ、ザ・ローリングストーンズたちも惹きつける才能を持っていました。この「Hey Joe」は、アメリカのシンガーソングライターであるビリー・ロバーツの曲で、デビュー前にジミはクラブでこの曲を好んで歌っていたそうです。「Hey Joe」はディープ・パープルなど数多くのミュージャンもカバーしていますが、ジミの「Hey Joe」は伝説的な曲としてだけでなく、いま聴いても瑞々しく、そして骨太さを感じる曲です。

Supersonic / OASIS(1994年)

イギリス史上最速のスピードでロック界の頂点に達し、ビートルズ以来、最も偉大なバンドと言われたのがオアシス。リアム・ギャラガーとノエル・ギャラガーはイギリスの労働者階級の家庭育ちで、ウインドブレーカーにジャージというスタイル。そのファッションの影響はいまも継承されています。
そして新しい時代のロック・アイコンとして日本でも大ムーブメントを巻き起こし、数々のアーティストたちに影響を与えてきました。オアシスが解散してからリアムとノエルはずっと絶縁状態のままですが、2016年にはドキュメンタリー映画「oasis:supersonic」がリアルとノエルの共同製作総指揮で公開されました。やっぱり二人が一緒のステージはいつか見てみたいですね。

Fingertips, Part 2 - Live At The Regal Theater / STEVIE WONDER(1963年)

スティーヴィー・ワンダーのデビュー作品は「I Call It Pretty Music, But the Old People Call It the Blues」ですが、一躍その名を轟かせたのが1962年末にモータウン・レビューの一員としてシカゴのリーガル・シアターで演奏された「Fingertips - Part 1 & 2」。いまとは全く違う声変わりする前の初々しさを残しながら、ボーカル・パフォーマンスやハーモニカのアドリブ演奏には唸らされます。この時スティーヴィーは12歳。
恐るべし早熟な才能です。この曲はその後、全米チャート1位を獲得します。スティーヴィーは2019年9月おこなわれる肝臓移植手術のため音楽活動休止の発表をしましたが、またスティーヴィーの歌が聴ける日が来ることを願っています。

プレイリストではザ・ビートルズレッド・ツェッペリン、U2などレジェンドアーティストのプレイリストを公開中です。こちらも是非聴いてみてください。

(KKBOXライター:KKBOX編集室)