動画サイトでますます熱くなっているのが、人気曲やネット発信の曲を自ら歌ってカバーする「歌い手」による「歌ってみた」というジャンルです。もともとはニコニコ動画でVOCALOID曲やアニメソングのカバー動画が公開されたことが原点とされています。
そして「歌ってみた」が一般に浸透し始めるきっかけを作ったのは、2010年から活動を開始したGoose Houseです。シェアハウスのような一室で男女が楽器を演奏し素晴らしいハーモニーを披露。動画からは仲の良い友達同士がゆるい感じでセッションしている空気感が漂い、若い世代から大きな支持を得ました。現在まで公開されてる動画は750本以上で、中でもMONGOL800の「小さな恋のうた」の再生数は2,200万回を記録。オリジナル曲を知らない世代が、 Goose Houseの動画を通じて曲を知ったという現象も起きました。

出典元:YouTube(Goosehouse)

そんなGoose Houseの意志を引き継いだのが、メンバー全員がシンガーソングライターとして活動する“ぷらそにか”。
毎週金曜日に YouTubeの公式チャンネルでカバー動画を公開しています。2020年に大きなバズを生んだYOASOBIの「夜に駆ける」を歌う幾田りらも、“ぷらそにか”メンバーです。

出典元:YouTube(ぷらそにか)

ギター&ボーカルが幾田りら

そしてコロナ自粛も重なり、人気アーティストやタレント、お笑い芸人なども「歌い手」化して、「歌ってみた」への参戦が相次ぎ、音楽マーケット全体として「歌ってみた」の新たな可能性が生まれ始めています。そこで、今回は注目の「歌い手」をピックアップし紹介していきます。

いろんな歌い手による「夜に駆ける」聴き比べ

はじめに社会現象となった「夜に駆ける(YOASOBI)」の様々な「歌い手」動画を紹介します。X-JAPANのToshi、AAAの宇野実彩子など著名アーティストのほか、ガチャピンや「あつまれ どうぶつの森」の“とたけけ”など、様々な「歌い手」が「夜に駆ける」を披露しています。
その中でも特にチェックしておいて欲しい「夜に駆ける」をご紹介します。

出典元:You Tube(佐藤ノアofficilal)

最初に紹介するのは、雑誌「bis」「LARME」のレギュラーモデルでSNSフォロワー合計190万人越えの 佐藤ノア(トップに写真掲載)による「夜に駆ける」です。
2020年1月に活動休止したガールズバ ンド「suga/es」では、可憐なビジュアルからは想像できない力強いボーカルを聴かせてくれていただけあって、彼女の歌はどれも表現力に富んで、
聴き応えのある動画になっているので是非チェック してみてください。そんな佐藤ノアさんに「うたってみた」動画を公開したきっかけを聞いてみました。

Q1:歌ってみた動画を公開したきっかけを教えてください。

歌ってみたチャンネルをきっかけに歌の活動をしているこを知っていただくきっかけになればと思い投稿を始めることにしました。


Q2:今後歌ってみたい曲を教えてください。

カバーはファンの方からのリクエストに応えて、喜んでいただけたらと思っています。今後はオリジナルも作っていく予定なので、そちらも聞いてもらえたらと思っています。

8月16日から「Abema TV」で放送開始した「オオカミく んには騙されない(毎週日曜夜10:00-11:00)」にも出演中の佐藤ノア。今後も目が離せそうにないです。

出典元:YouTube(早希)

「歌い手」の早希は“ぷらそにか”にも参加しながら、男女4人組のアカペラグループ・sinfoniaとして活動。
動画ではメンバーの Shimo-Renと「夜に駆ける」のアカペラを披露。ボーカルミックスで、二人だけの歌と思えないハーモニーが絶品です。

出典元:YouTube(超十代チャンネル[ULTRA TEENS Channel])

十代女子から高い人気を得ているモデルで女優の山之内すずも「歌ってみた」に参戦。wacciの「別の人の彼女になったよ」やヨルシカの「ただ君に晴れ」などを公開しています。「夜に駆ける」はちょっぴり音程のズレている部分もありますが、それも可愛いからOKです。ボーカル自体はとても情緒豊かなエモさを感じます。
今後、本格的な音楽活動も大いに期待できます。

出典元:YouTube(Cateen かてぃん)

Cateen(角野隼斗)は「歌い手」ではなく「鍵盤引き手」ですが、 Chillな感じのアレンジの「夜に駆ける」は本当にオススメで、夜の深淵に誘われます。3歳から母のピアノの指導を受けつつも、東京大学理科一類から東京大学大学院進学後は情報理工学系研究科創造情報学専攻にてAIによる機械学習を用いた自動採譜と自動編曲について研究するなど、これからの日本の音楽シーンを変えていくのではないかという逸材です。その他にもピアノとピアニカの二重奏によるジブリ音楽や、トイピアノで全力で弾く「トルコ行進曲」など必見動画が数多く公開されています。

注目のこの曲を歌う「歌い手」たち香水/瑛人

出典元:YouTube(MISAKO UNO OFFICIAL)

AAAの宇野実彩子も2020年7月からYouTubeチャンネルをスタート、すでにいくつかの「歌ってみた」動画が公開されています。その中で、これもまた話題をさらっている瑛人の「香水」を聴くことができます。
この曲、女子が歌うとエモさがさらに倍増するんだなと実感できます。そして女子心に響くのか、香奈、コバソロ&相沢、平石凛、 Nimaなど様々な「歌い手」が動画を公開、いずれも100万回を超える再生となっています。

あの鈴木福くんも、16歳とは思えないなかなか良い感じの「香水」動画を公開しているのでご覧ください。大人になってますね。

出典元:YouTube( ピカいち CHANNEL)

I LOVE...(Official髭男dism)

出典元:YouTube(まふまふ)

Official髭男dismの楽曲でもたくさんの「歌ってみた」動画が公開されていますが、やっぱり“まふまふ”の歌の表現に胸が沁みます。自身のオリジナル曲もストリーミングサービスでは定番になっているほか、ゲーム、アニメ作品や様々なアーティストへの楽曲提供もしています。新型コロナの影響で開催中止になってしまいましたが、2020年には東京ドームで単独ライヴの開催も決定するほど、神レベルの「歌い手」なのです。そしてボーカロイドに匹敵する高音域から低音域まで出すことができるボーカルは唯一無二。最初は女性かと思っていましたが、まふまふは男性と知って驚愕しました。しかもかなりなイケメンなのです。

糸/ 中島みゆき

出典元:YouTube(Uru Official YouTube Channel)

「テセウスの船」「コウノドリ」や「中学聖日記」などの人気ドラマの主題歌を歌い、10月には小栗旬、星野源のダブル主演で注目の映画「罪の声」の主題歌に新曲「振り子」が決定しているシンガーソングライターのUru。彼女もまたYouTube上で数々の著名ミュージシャンの楽曲のカバーを2013年から公開し、その歌声が多くの人を魅了しメジャーデビューをしています。いまだに、本名・生年月日・出身地など詳しいプロフィールは一切非公表となっていて、そのミステリアスな部分も「歌い手」には必要なことなのかもしれません。

まちがいさがし/菅田将暉

出典元:YouTube(EXIT Charannel)

チャラいネタが人気のお笑い芸人EXITも、最近「歌ってみた」に力をいれています。椎名林檎B'zの名曲も披露、お笑いのステージとはまったく別の歌に向き合うストイックな映像は見応えがあります。そして、りんたろー。と兼近大樹がこんなにも歌が上手ことと、絶妙なハーモニーに驚かされるので是非チェックしてみてください。

Lemon/米津玄師

出典元:YouTube(広瀬 香美 Official YouTube channel)

いまじわじわ人気が出ているのが広瀬香美の「歌ってみた」動画です。コロナ自粛期間中の3月からスタートし、怒涛の投稿を続け、再生数も軒並み100万回超えという人気です。広瀬香美がすごいのはオリジナルの曲をすべて「広瀬香美」にしてしまうパワーです。時にはピアノの鍵盤を叩きつけ、時には絶唱する姿は、まさに遅れてやってきた「クイーン・オブ・歌い手」です。動画の本編冒頭はご挨拶から始まるので、本編の「Lemon」は1分13秒ぐらいから見れます。

今後、要チェックな「歌い手」

出典元:YouTube(春茶)

2017年にコバソロの「女性が歌う」シリーズに登場、目元とシルエットのみにも関わらずスウィート・ボイスが多くの人の耳に焼きつきました。その後、春茶ソロ名義で数々のカバー動画を公開、2019年12月には豊洲PITで単独ライブを開催、現在のチャンネル登録者数は100万人を超えています。平井堅は自身のインタビューで春茶がYouTubeに投稿した「トドカナイカラ」のカバーに触れ、「平井堅より全然いいなと思って聴いています。自分で作って自分で歌うとあまり新鮮味はないけど、ほかの方が歌ってくださると違う景色になるからいいですよね」と語っています。平井堅も認める春茶。これから大きなブレイクが期待されます。

出典元:YouTube(Nagie Lane Official YouTube)

アカペラによる「歌ってみた」グループは多数ありますが、これから注目なのが Nagie Lane(ナギーレーン)。「今夜はブギーバック」のほかにも、小沢健二の「ラブリー」や、ORIGINAL LOVEの「接吻」、 Pizzicato Five の「東京は夜の七時」など90年代のシティポップスを中心とした動画がとても新鮮です。また、SHE IS SUMMERやLUCKY TAPES、土岐麻子など、他の「歌い手」にはないようなアーティストも取り上げ、世代に関係なく良質ポップスを楽しめます。そしてどの動画もとてもファッショナブルなことにも注目です。

出典元:YouTube(恭チャンネル)

ビジュアル的には 体重150kgオーバーの強烈なルックスの恭一郎。食べ物系の動画から商品紹介、検証、ドッキリと王道動画、自虐的なデブ企画が人気で、YouTubeチャンネルの登録者数は128万を獲得しています。その恭一郎はビジュアルからは想像できない透明感溢れる歌声なのです。おもしろ動画だけでなく、是非恭一郎の歌の世界を味わってみてください。

(KKBOXライター:山本雅美)