マカロニえんぴつの活躍が止まない。

バンドながら年末恒例の音楽賞「第63回 輝く!日本レコード大賞」で〈最優秀新人賞〉を受賞するというサプライズをやってのけてしまいました。
長い歴史の中でバンドグループが受賞するのは非常に稀なことで、過去を遡り、これまでに受賞したのはTHE GOOD BYE(第25回)、男闘呼組(第30回)の2組のみ。ただし、2組ともジャニーズ事務所が手がけるアイドルとしての色合いが濃かったことを考えると、叩き上げのバンドとして本当に大きな快挙だったと言えます。また、コロナ禍でライブ活動ができる機会が減り、元気がなくなっていたバンドシーンにとっても非常に明るいニュースとなりました。

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そして多くのミュージック・ラバーが注目する中、2022年1月にメジャー1stアルバム『ハッピーエンドへの期待は』がリリース。また2月15日(火)&16日(水) の日本武道館2DAYS公演を皮切りに、全14会場18公演となる「マカロックツアーvol.13 ~なんたって10周年ツアーだゼ?」も開催。いま一番波に乗っているバンドは間違いなくマカロニえんぴつなのです。
今回のコラムは、まだ彼らのことをよく知らない人に向けて、マカロニえんぴつへの理解を少しでも深めてもらえればという特集です。

マカロニえんぴつ(通称 マカえん)って何??

マカロニえんぴつは、洗足学園音楽大学生だった はっとり(Vo/Gt)、高野賢也(Ba/Cho)、田辺由明(G/ho)、長谷川大喜(Key/Cho)の4人で2012年に結成。少し変わった名前であるバンド名の由来は〈中が空洞で存在感がないマカロニ〉と〈無から存在を創り上げる鉛筆〉の2つの意味を掛け合わせ「無の状態から、自分たちで意味のある音楽を手がけていこう」という意志が込められているそう。いまでは「マカえん」の愛称で多くの若者たちから親しまれています。

出典元:YouTube(GOODDAYCOLTD)

2015年1月に初の全国流通盤『アルデンテ』をリリース。そして下北沢Shelterにて初の自主企画「マカロックツアーVol.1~鳴らし廻り~」を開催し本格的な音楽活動をスタートさせます。
メジャーデビューは2020年なので、確かに新人ではありますが、実はインディーズ活動が長く、今年でバンド結成10周年を迎えるキャリアを持っています。リリースやライブツアー、フェス出演などを重ねていく中で、はっとりのエモーショナルな歌声とキーボードの多彩な音色を組み合わせた壮大なバンドサウンドが多くの邦楽ロックファンを魅了し、これまでに何度も『今年のネクストブレイクアーティスト!!』と注目を浴びながら、着実に結果を積み重ねてきました。

#こんな時間がゴチソーだ
学生のみなさん!! #500円バリューセット 夏篇のCMはもう見ていただけましたか?
腹が減るたびに、思い出が増えていく✨
暑い夏も、もうすぐ終わるでも、まだまだ青春は終わらない
そんな時こそ、 #エグチ #チキチー #マクポ と一緒に青春の思い出を pic.twitter.com/UOhJZ7IKSE

— マクドナルド (@McDonaldsJapan) August 23, 2019

そして2019年2月に青春や仲間をテーマにした「青春と一瞬」が、マクドナルド『500円バリューセット』のテレビCM曲に起用されます。瑞々しいこの歌は従来のファンのみならず、若い世代の大きな支持を受けることに。その後も「はしりがき」が、映画『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』主題歌に起用されたり、「メレンゲ」が『JR SKISKI 2020-2021テーマソング』のタイアップに決定するなど、2020年は5曲、2021年は6曲がタイアップソングという快進撃となります。

出典元:YouTube(murffin discs)
「青春と一瞬」のMVにはブレイク直前の森七菜が出演。


出典元:YouTube(モデルプレス | modelpress)
「メレンゲ」は本田翼が出演した『JR SKISKI 2020-2021テーマソング』に

コロナ禍という逆風の中でも「破竹の勢い」と表現するのがぴったりな活躍を続けるマカロニえんぴつ。結成10周年イヤーとなる2022年はこれ以上ないカタチで迎え、音楽シーンのトップへと踊り出ようとしています。そんないまの気持ちをメールインタビューで、はっとりさんが答えてくれました。

KKBOX:バンド結成10周年おめでとうございます。10年を振り返りどのような進化をしてきたと感じますか?

はっとり:当然ですがツアーを重ねて演奏のまとまりは当初より良くなっているとおもいます。あとレコーディングが日毎に楽しくなっているのは素晴らしいことだなぁと。


KKBOX:2021年は、まさに「破竹の勢い」で大ブレイクしました。率直ないまの気持ちをお聞かせください!

はっとり:マカロニえんぴつの存在・良さに気付いてくださった方が増えた実感があった年でしたので、嬉しいです。より以前から気付いてくださっていた皆さんのおかげです。

KKBOX:メジャーファーストアルバムとなる『ハッピーエンドへの期待は』は、どんな想いで制作されたのでしょうか?

はっとり:タイアップシングルが主ですので、その時々でベストのものを作ろうという一心でやっていました。強いて言えば「ロックバンドの意地」みたいなものはなんとなく意識の中にあったかもしれません。

KKBOX:2月の日本武道館2DAYSではどんなマカロニえんぴつのステージになりそうですか?

はっとり:17歳の自分が観たらちゃんと憧れてくれる、そういう頼もしいライブにしたいです。


短い回答の中にも「17歳の自分が観ても憧れるライブにしたい」という言葉は、胸に響く素敵な言葉です。こういったひとつひとつのことがマカロニえんぴつの魅力なのでしょう。

最新アルバム『ハッピーエンドへの期待は』は 、マカロニ色えんぴつ!!

アルバム『ハッピーエンドへの期待は』に収録された全14曲のうち10曲が大型タイアップソングという豪華さが、マカロニえんぴつの1年間の活躍を物語っています。「タイアップが聴いてくれる人の入口を広げてくれると考えた時に、そこにマカロニえんぴつの持つ色を思いっきり投じて必死に制作しています」とはっとりが語る通り、1曲1曲の密度は高く、どれも高いクオリティの楽曲になっています。そんな楽曲がひとつにまとめられているので『ハッピーエンドへの期待は』は、どこから聴いても間違いのないアルバムになっています。また、はっとりの「曲調やアレンジは多彩であればあるほど聴く人も楽しいと思います」という言葉通り、『ハッピーエンドへの期待は』はこれまでで一番カラフルなアルバムになっています。


◎ハッピーエンドへの期待は

出典元:YouTube(公式マカロニえんぴつ)

アルバムの1曲目を飾るのは、アルバムタイトルにもなっている「ハッピーエンドへの期待は」。はっとりの4つの歌声による多重録音のコーラスで始まり、言葉の輪郭まで感じるほどにぐっと曲に引き寄せられます。実はこのパートは、はっとりが大好きな曲がモデルになっています。それはエレクトリック・ライト・オーケストラ(1970年代に活躍したイングランド出身のロックバンド)の「Wild West Hero」。この曲の中盤で歌われるアカペラパートに心を揺り動かされ、どうしてもこの感じを一度やってみたいと思っていたのだそうです。このパート以降の曲の転換が凄まじく、ブリティッシュロックあり、オルタナティブあり、プログレありと、ひとつの作品の中で何通りもの多彩なマカロニえんぴつサウンドを感じることができます。「ハッピーエンドへの期待は」は、現在公開中の映画『明け方の若者たち』の主題歌として書き下ろされた曲ですが、こんな素敵なエピソードがあります。

「明け方の若者たち」にエンドロールや主題歌があるなら、マカロニえんぴつの「ヤングアダルト」一択。この曲が発表されたとき、強くそう思いました。

読んだ方は歌詞をぜひご覧ください。10万文字が4分半に凝縮されてる。はっとりさん、本当にありがとうございました>RThttps://t.co/LKbdRijVML pic.twitter.com/UlYDQ3lPGP

— カツセマサヒコ (@katsuse_m) June 25, 2020

この映画の原作小説の作者であるカツセマサヒコさんが、「『明け方の若者たち』にエンドロールや主題歌があるなら、マカロニえんぴつの「ヤングアダルト」一択。この曲が発表されたとき、強くそう思いました」とツイートしていたのです。そのことがきっかけで主題歌へと繋がっていった深イイ話です。

◎僕らが強く。

DISH// に提供された「僕らが強く。」がセルフカバーされアルバムに収録されています。二つの「僕らが強く」を聴き比べ感じることは、どちらが良いとかではなくお互いの「僕らが強く。」を共鳴しあい、また違う奥行きを感じさせてくれるということです。デモ段階でDISH//のメンバーがこの曲を聴いて感じたことや、コロナ禍で過ごすすべての人に伝えたいことなどをはっとりに伝え、そこから詞を作り上げていくという丁寧なプロセスがあったらからこそ「僕らが強く。」の作品強度を高めているのではないでしょうか。

その後、2021年11月には北村匠海とはっとりとの共作となるDISH//のシングル「沈丁花」を発表、翌月にはパシフィコ横浜国立大ホールで開催されたDISH//10周年アニバーサリーライブにはっとりがサプライズゲスト出演するなど、お互いの関係性はますます深まっています。マカロニえんぴつもDISH//も決して簡単ではなかったここまでの10年。そんなことも共鳴しあっている理由なのかもしれません。こんなエピソードを思いながら「僕らが強く。」を聴くと、また胸が熱くなるのです。

◎TONTTU

マカロニえんぴつとしては異例のハードロックサウンド全開の曲です。実ははっとりと田辺由明の音楽ルーツはハードロックにあったそうで、一度思いっきり自分たちが好きな音楽を作ってみたいと出来上がったのが「TONTTU」。ハードロックの定番であるメロディ、曲転換、ギターリフなど、ニヤリとしてしまうフレーズがふんだんに盛り込まれています。

タイトルとなっている「TONTTU」はフィンランドに伝わるサウナの妖精を意味し、大のサウナ好きである田辺由明のサウナ愛がこの楽曲のベースになっています。中盤ではミュージカル風小芝居パートもありコミカルな作品になっています。縦横無尽にバンドサウンドの幅を広げたサザンオールスターズやユニコーンに通じるマカロニえんぴつのポテンシャルを感じる振り幅を感じることができる楽曲となっています。

◎ワルツのレター

1月からTBS系「news23」エンディングテーマとして流れている「ワルツのレター」。はっとり自身「生活の中にある報道番組に携われたことが嬉しいです。あなたが生活に疲れたとき、ふと立ち止まって明日を迎える準備をし直す歌になればと願っています」と語っています。この楽曲は長谷川大喜(Key・Cho)作曲によるもので、アルバムに収録された曲の中でもプログレッシブ感が最も強く、重厚な楽曲になっています。またこれまでの〈僕〉という世界観から、俯瞰的な視点で書かれた〈希望〉を感じる歌詞もマカロニえんぴつの新たな世界を引き出しています。

番組でフルで聴くことはできませんが、楽曲の後半からメロディが転換され、まさに〈希望〉を感じる曲になっている「ワルツのレター」。これまでのファンとは違った年配の方々に響くはずです。ちなみに楽曲自体はワルツの3拍子ではなく、4拍子の曲となっています。

◎なんでもないよ、

ノンタイアップながらマカロニえんぴつとして初の Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート1位を獲得、現在もロングランヒットとなっています。タイアップソングとして考え抜いた曲が多かったからこそ、鍵盤で始まるシンプルなアレンジが逆に胸に響きます。

出典元:YouTube(公式マカロニえんぴつ)
MVはマカロニえんぴつとして初の1,000万再生超え

そんなもんじゃなくって あぁ何が言いたかったっけ

「何でもないよ」なんでもないよ

君といるときの僕が好きだ

大切な人への何気ない日常に想いを巡らし、大切な人から影響を受けた自分が好きと想えるようなピュアな気持を持つ〈僕〉。〈僕〉のような気持ちを持つことができたら「本当に幸せなのかもよ」と、はっとりが歌で語りかけてくれます。恋人だけでなく、友達や家族など大切な人に向き合ってみたくなるような「なんでもないよ、」、ぜひ1日1回聴くことをオススメです。

マカロニえんぴつの真骨頂であるエモーショナルな世界観はもちろん、ひとつひとつの丁寧な音作りや、これまでとは違う新境地の作品が見え隠れする『ハッピーエンドへの期待は』。間違いなく今後のミュージックシーンのフロントランナーに躍り出たことを確信するアルバムです。

(KKBOXライター:山本雅美)