その後、約7万年前にも絶滅の危機に瀕しましたが、脳をフル回転させ、安息の地と言われたアフリカから意を決して飛び出します。この時のホモ・サピエンスを、「ヒューマン2.0」とします。
そこから今日まで、ほとんど人間は進化していません。むしろ退化しているくらいです。おそらく、7万年前に祖先たちが経験したような圧倒的な危機がその後訪れなかったからでしょう。
これは私見に過ぎませんが、これから100~200年以内に人類はおそらくふたたび大きな危機に直面すると思います。それは天災とか気候変動、惑星衝突、もしくはテクノロジーの行き過ぎや人口増殖かもしれません。そうなると、人間は「次」に行くしかない。
次はどこか。そのひとつは、宇宙です。宇宙を開拓するとなると、人間はこれまでとは違った能力を使わなきゃいけなくなる。
7万年前にアフリカを出たように、いま、再び安息の地を出なくてはならなくなる。そして、大きな危機が訪れると、「火事場の馬鹿力」ではありませんが、人間は驚くほどの能力を発揮するでしょう。その能力を持つ人類の進化形を、僕は「ヒューマン3.0」と呼んでいます。
もうひとつの進化の方向性として「内的探査」、つまり「人間の内的宇宙の開拓」が深まるでしょう。僕の興味は、こちらにあります。
いまから25年ほど前にカリフォルニアに住んでいたことがありました。カリフォルニアはヨーロッパからの開拓者にとって「西の果て」です。そこに辿り着いた人々の子孫たちのなかで、「人間はどこから来て、どこに向かうのか」というような内的探査を追求する人たちが当時増えはじめていました。いわゆる「ニューエイジ」と呼ばれる人たちです。