
成果の概要
東京都立大学大学院 理学研究科の伊與田正彦 客員教授(名誉教授)、北里大学大学院 理学研究科の長谷川真士 講師、横浜国立大学大学院 環境情報研究院の大谷裕之 教授、名古屋市立大学大学院 理学研究科の青柳忍 教授は、特定の蒸気を感知して可逆的に変形・変色するという、これまでにない特性を持つ新材料を作り出すことに成功しました。この新材料は、フェニル基(注1)を付加したチオフェン(注2)分子からなる環状6量体(図1a)が繊維状に超分子(注3)集合した繊維状物質(ファイバー)で、その環状の分子内および分子間にアセトン(注4)などの小分子を取り込むことができます。アセトン分子を取り込んだ黄色のファイバーは、乾燥させるとアセトン分子を放出し、橙色に変色する(図1b)とともに湾曲(図1c)します。乾燥した橙色のファイバーは、アセトン蒸気に触れさせるとアセトン分子を吸収し、その色と形を元に戻します(図1bc)。この特性は、特定の蒸気を感知するセンサーや、電源や熱源なしに蒸気のみによって駆動する新しい原理のアクチュエーター(注5)・人工筋肉などへの応用が期待されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202010145664-O1-szI7fv18】
【図1】(a) 合成した環状チオフェン6量体分子、(b) 蒸気による変色、(c) 蒸気による変形