水素社会実現に向けた具体的戦略
2019年9月18日、経済産業省は、2019年3月に改訂した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」における目標の達成に向けて具体的な技術開発事項を定めた「水素・燃料電池戦略技術開発戦略」を策定したことを発表した。

水素・燃料電池技術は、地球温暖化対策及びエネルギー安全保障の手法のひとつとして期待されている。
しかし、旧来の再生可能エネルギーと遜色なく利用するためには調達・供給のコストなどにおいて課題が存在するという。

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2019年6月に「水素・燃料電池プロジェクト評価・課題共有ウィーク」を行っている。その際提示された技術開発に係る課題を踏まえ、今回の開発戦略において重点的に取り組むべき技術開発の3分野10項目を特定し、技術推進を図る狙いだ。

3分野の重点とそれぞれの課題
開発戦略で重点として取り上げられたのは「燃料電池」「水素サプライチェーン」「水電解・その他」の3つの分野だ。

「燃料電池」の分野では、「車載用燃料電池」「低地用燃料電池」「補機・タンク等関連システム」が技術開発項目となる。この分野では高効率化・高耐久化・低コスト化が主な課題とされている。


「水素サプライチェーン」の分野では、「大規模水素製造」「輸送・貯蔵技術」「水素発電」「水素ステーション」が技術開発項目だ。この分野においては、エネルギー効率改善
や水素の安定燃焼、水素ステーションにおける整備・運営費用の削減が課題とされる。

「水電解・その他」の分野では、「水電解技術」「産業利用等アプリケーション」「非連続な革新技術」が技術開発項目としてあげられている。電解効率の向上をはじめ、高負荷における運転対策や低コスト化、産業分野との連携を踏まえた新たな技術開発や安全性の評価等が課題となっている。

今後、効率的な開発に向け、製品化ニーズと研究者・技術者の知見のマッチングを図りながら産学官での連携が必要となると経産省は見ているという。また、諸外国の動向を把握し、国際的な連携も引き続き強化する考えだ。


(画像はホームページより)

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