声優アーティストの安野希世乃が4thシングル「おんなじキモチ。」をリリースした。この曲はTVアニメ『異世界食堂2』のオープニング主題歌で、幸せな食事のようすを膨らませて歌ったという。
また本作には自身も出演中。カップリングに収録された声優活動10周年記念の楽曲「Act 10 ~Dear My Characters~」と合わせ、彼女の声優としての演じるスタイルを存分に語ってもらった。

誰かと一緒に食事する幸せを改めて感じて……
――ニューシングル「おんなじキモチ。」の初回限定盤には4月4日のアコースティックライブの映像ディスクが付属しています。まずはこちらの公演の感触をお聞かせください。

安野希世乃 昭和女子大学・人見記念講堂という由緒正しき場所で行われたライブで、やはり音の響きが素敵で、この会場とアコースティックライブとは相性がとてもピッタリだったなと感じました。このライブでは石成正人さんが、3rdシングルのカップリングの「夏色花火」と「生きる」のアコースティックバージョンに引き続いて編曲を担当してくださって、どの楽曲も生まれ変わった印象がありました。
今回はピアノの松本圭司さんがアコーディオンも弾いてくださったり、パーカッションの福長雅夫さんも本当にたくさんの楽しい楽器をご持参いただき、あやのさんは原曲にないチェロのラインを本当に素敵にアレンジしてくださったりと、アコースティックでも音色(おんしょく)がたくさん聴こえてくるカラフルなライブになりました。

――今年4月の状況では公演に行ける人も限られていましたので、それをこうして音源としてファンの皆さんにお届けできるのはとても良いことだと思います。

安野 本当にそう思います。一部のパートを除きアコースティックフル収録で約76分もの大ボリュームなBlu-rayになっています。もう、オマケじゃなくて、おかずです(笑)。今回の「おんなじキモチ。」をきっかけに安野希世乃を知ってくれた皆さんにとって、楽曲の良さも含めすべてが伝わる特典になっていると思いますので、入り口としてぜひ初回限定盤をお手に取っていただきたいですね。


――ではその表題曲「おんなじキモチ。」について伺います。これはアニメ『異世界食堂2』のOPテーマとなっています。前作『異世界食堂』ではEDテーマ「ちいさなひとつぶ」を歌われていましたが、改めて主題歌を担当することについてはどんな思いでしょうか?

安野 もう、嬉しいポイントがたくさんあります!あれはちょうどデビューミニアルバム『涙。』のタイミングでした。4年ぶりに続編が作られるだけでも十分嬉しいのに、また主題歌として関われること、そしてこれまでのキャラクターたちも活躍して自分がまた役者として関われること。本当に嬉しい祭ですね!

――改めて、この作品の魅力はどんなところに感じられますか。


安野 一晩中、語れる自信があります(笑)。やっぱりこの作品の魅力は、「ご飯って、誰かと一緒に食べるとおいしいんだよね」ということを、心温まる登場人物たちのエピソードとともに、視覚的にも聴覚的にも伝えてくれるところだと思います。私たち役者の芝居はもちろん、パクッ、サクッという効果音や料理の絵を描くアニメーターさん、色をつける色彩設計さん、湯気を立てる撮影さんといった、どのセクションの方々も、いかにおいしく見せるかを、実際の料理を作るのと同じぐらい愛情を込めて一つの映像として仕上げてくださっています。それが伝わってくるまさに総合芸術なんですよ。料理は愛情と言いますが、本当にその通りのアニメーションに仕上がっているので、視聴者さんにも感じていただけると思います。

――そして今回の「おんなじキモチ。」ですが、作詞・作曲・編曲ともフワリさんです。
楽曲のなかで安野さんの心に響いた部分を教えて下さい。


安野 とても温かみのある楽曲に仕上がっているなと感じました。『異世界食堂』の舞台である「洋食のねこや」は、魔族やドラゴン、トカゲ族といった様々な種族が分け隔てなくやってくる、広く開かれたお店なんですよね。そうした温かい空間を表現するのにぴったりで、誰にでも伝わる優しい言葉と温かい心で書かれた曲と歌詞だなと思いました。この作品は海外でも人気で、この曲の多幸感あふれる雰囲気は、日本語が分からない国の方が聴いたとしても絶対に伝わると思います。「パクッパクッ」、「咲くッ咲くッ」といった擬音の繰り返しも、簡単だからこそ日本語話者ではない方にも一緒に歌っていただけそうだなと思いました。


――ボーカルを収録するときにはどんな気持ちを伝えていきましたか?

安野 「ご飯おいしいよね」というメッセージも明快で、その気持ちで心を満たして歌おうと思いました。こんなに気持ちよく「パクッパクッ」って歌わせてもらえる機会なんて人生一度きりかも(笑)。私も食べるのが大好きなので、おいしいものを食べたときの幸せや誰かと食卓を囲むという幸せを膨らませて歌に落とし込みました。

――特にこの1年間は皆と一緒に食事する機会がこんなに貴重な時間だったのかと改めて思い知らされました。

安野 私も改めてこの尊さを噛み締めましたし、聴いてくれる皆さんも「人と一緒に食べるご飯って幸せだよね」って、ホロッと来ちゃうんじゃないかな。

――シンプルに幸せを表現していく歌に対して、逆にシンプルさに悩むようなことはありませんでしたか?

安野 今回に関しては悩まなかったですね。
やっぱり、いちばん大事なのはこの曲の伝えている感情の部分だと思ったので、なるべく歌詞の情景に共感して、自分の中にある風景から引き出して、その気持ちを大きくすることに終始していきました。自分の知っている気持ちということもあり、この歌い手が誰なのかバックボーンを考えなくても手に取るようにわかりました。だからこそ、気持ちよく幸せに歌えたのかなと思います。

――そして、作品にはサラ役として出演もされています。

安野 1期のときも毎週の収録が楽しみでしたね。私が演じてきたキャラの中でもレアな性格をしていて、自分とはけっこう遠い人間性を持つ人物だからこそ、強く印象に残っています。彼女は商家の娘ですが、曾祖父の背中を追って自分もトレジャーハンターの道を進むっていうワイルドな強さを持つ女性なんです。サラらしさというものは頭の中に明確にありましたが、4年ぶりでちょっと声の調整は必要で、音響監督さんから「サラって、そんなしっとりしてたっけ?」と言われました(笑)。

――それは安野さんが4年間で大人になったから?

安野 ちょっとしっとりしちゃったのかもしれないです(笑)。

――自分から遠い役を演じることに対して安野さんは役者としてどんな思いですか?

安野 自分と明確に違うからこそ、そこを大きくしていける人物で、目指す方向がぼやけず、ある意味で演じやすいと思います。それにサラの場合は彼女が竹を割ったような気持ちの良い性格で、あまり深読みしなくてもよかったので、彼女を捉えやすかったこともあります。そうした彼女らしさをくっきりと視聴者さんに伝えていこうと思いました。

「どこまでも私はあなたについていくからね」と想いを込めて
――カップリング曲『Act 10 ~Dear My Characters~』は、安野さんの声優活動10周年記念の歌になっています。

安野 この曲が記念ソングとなったのは、出来上がったあとだったんです。制作の順序としては、川崎智哉さんの楽曲を受け取ったときに、パーティー感やアニバーサリー感を感じまして、そこで自分の演じたキャラクターたちへのありがとうの気持ちをギュッと詰め込むのにぴったりだなと思い、歌詞に落とし込んでいきました。

――楽曲としてはビッグバンドですが、ジャズはお聴きになりますか?

安野 まったくと言っていいほど聴いていないんです。だからなのか、この曲に歌詞を当てるのがとても難しかったです。曲の持つ勢いや雰囲気をなるべく崩さないよう、一緒に行けるような言葉を頑張ってチョイスしたつもりではいます。1つの箇所に対して10個ぐらいの言葉を当てて、そのどれもがハマらないということもありました。これは今までにない経験で、やはりジャズのリズムの難しさなのかもしれません。

――歌詞の言葉を選ぶとき、日本語の音をバラすような当て方をした部分は?

安野 ありますね。出だしの“まわりだした”がまさにそうで、歌うときの音としては「ま・わりだした」と分かれてしまうんですよね。川崎さんのデモ音源のときの仮歌詞ではそこが「あ~・大好きな」だったんです。そこで今回の挑戦として、間が空いたとしても気持ちいい単語をはめられないかしらと、こんな形になりました。ただ、単語として繋がってしまったので、そのうえでも出だしの音を印象的にするのは、今後ライブで歌うときにも大事なポイントになってくると思います。こんなふうに作家さんの音の置き方のこだわりや意向を考えさせられたことは貴重な機会でした。

――歌詞を書いてるときどんな思いでしたか?

安野 10周年記念ソングと謳わなくても、自分としてはアニバーサリーの曲にしようと思っていました。華やかなイメージもありますが、どこか泥臭い部分もあるんです。2番の部分なんてまさにそうで、これまでの道のりでのつまずきもありつつ、今に辿り着けた感謝の気持ちを伝えられたらと思いました。私がキャラクターの背中を追いかけたり、キャラクターが私の背中を押してくれるときもあれば、私がキャラクターの背中を押すような気持ちになるときもあります。本当に一心同体というか、支え合って一つの物語を歩んでいるような気持ちなんですよね。役者それぞれにやり方はあるかと思いますが、私の場合はイタコのような気持ちというか、この身に降ろして喉と気持ちを貸しているだけみたいな感じです。

――自分を消すような感じでしょうか?

安野 自分はキャラクターに動かしてもらってるんですよね。もちろんそのキャラクターを理解しようとか、感情の流れを理解する頭は必要ですが、自分が上手く演ってやろうとか、その子のことを追い越そうとは思わないんです。自分が心を砕きたいのは感情として無理なく実在性を高めること。その子はどうしたいのか、どんな子なのかを丁寧にすくい上げること。やっぱり人間にしてあげたいんですよね。順を追ってその子の感情を自分も感じていって、それを消化した上で声に出すことで、受け手に血の通った人間らしさを感じてもらえたらと思います。声優として求められることは色々あるとは思うのですが、私を通っていくことでそのキャラクターに等身大感が生まれ、視聴者さんの共感に繋がればいいなと思います。

――歌詞の“今、一緒に生きている”という言葉がまさにそれかなと思います。

安野 私は役者としての自分を感情の発電所だと思うんです。キャラクターの感情やパッションをコンテクストから受け取って、それを伝え直している代弁者なんですよね。人間らしさというところで言うと、2番のサビの「そっと聞かせて スキもキライも」は、そのキャラクターに勝手な解釈を加えず、丸ごと理解したいという意味です。人間って、やっぱり綺麗な部分だけではないと思うのですが、演じるからには「あなたがそれをキライなら、私もキライ。どこまでも私はあなたについていくからね」と、丸ごと受け入れたい思いでいます。そのキャラクターに対して「誰のことを嫌いだったり許せなかったとしても、私はそれを受け入れる」という気持ちでいたいという思いを伝えたくて書いた言葉です。

――歌うときはいかがでしたか。作詞の際にリズムのことをおっしゃってましたが。

安野 やっぱりいちばん大変だったのは作詞で、この曲に対して歌いやすい歌詞ををしっかり練れたので、レコーディングはご機嫌でしたね。これは、私の作詞曲のあるあるで、歌いやすい歌詞として作り上げるまでに時間はかかりますが、その後は軽やかに向き合えるようになるんです。

――本当に祝祭感がある曲ですよね。ライブのクライマックスに持ってくると映えそうです。

安野 “届けたいフィナーレの先まで”だから、本編ラストかアンコールラストかな?(笑)。最後の歌詞は“Happy ending never ends”とあります。ハッピーエンドというと一般的には良いものと捉えられがちですが、最終回を迎えてもキャラクターの一生は続いていくわけです。キャラクターたちを生きとし生けるものとして尊重したいという気持ちや、「ハッピーエンドで終わったという形で収まったとして、その先もあなたはずっと生き続けるよね」という送り出しの気持ちもここに込めています。もし今後が描かれることになって、また私が演じられることになったら、またその時に会えるよねという期待を込めて。さようならの気持ちではなく、「これからもよろしくね」という意味です。

――声優活動10周年記念の第1弾として、“Billboard Live Tour 2021”が開催されました。今後のプロジェクトの展開を教えて下さい。

安野 10月から放送されている『でーじミーツガール』という沖縄を舞台にした作品で、主人公の比嘉舞星を演じさせていただいているのですが、その作品にもちなんで、声優10周年記念のイベントを沖縄で開催したいんです。これは私が声優を始めた1年目に声優雑誌のインタビューで、「10年後に何をしたいですか?」という質問に対して「沖縄や開放的な場所で応援してくださる皆さんと一緒に10周年ありがとうイベントをやりたいです」と話していたことをマネージャーさんが覚えていてくれて、実現を目指してくれています。『でーじミーツガール』の作品自体はavexのプロデューサーさんが温めていた企画だったので、沖縄繋がりで本当に偶然のご縁になりました。人から人へと繋がってきたご縁に恵まれて今があるなと感じます。この世の中の情勢なので、今の時点ではハッキリとした時期は申し上げられないのですが、楽しみにしていただければと思います。“Billboard Live Tour 2021”の大阪振替公演も1月5日に決まりました。これまでの公演とは編成が変わりパワーアップした公演になりますので、楽しみに待っていてください。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

抽選で1名様に安野希世乃さんのサイン色紙をプレゼント!

●応募期間
2021年10月20日(水)~10月27日(水)23:59

●応募方法
1:リスアニ!編集部の公式アカウント(@Lis_Ani)をフォローする
2:該当ツイートをRTする


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【応募方法】
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〆切:10/27(水)23:59まで@Yaskiyo_manager #異世界食堂

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●リリース情報
TVアニメ『異世界食堂2』OPテーマ
「おんなじキモチ。」安野希世乃
10月20日発売

【初回限定盤(Blu-ray同梱)】

品番:VTZL-187
価格:¥4,400(税込)

【通常盤】

品番:VTCL-35334
価格:¥1,320(税込)
※『異世界食堂2』描きおろしイラストアナザージャケット付き

<CD>
01. おんなじキモチ。(TVアニメ『異世界食堂2』オープニングテーマ)
作詞・作曲・編曲:フワリ
02. Act 10 ~Dear My Characters~(声優デビュー10周年記念ソング)
作詞:安野希世乃  作曲・編曲:川崎智哉
03. おんなじキモチ。-TVサイズ-
04. Act 10 ~Dear My Characters~ -Instrumental-
05. おんなじキモチ。-Instrumental-

<BD>
安野希世乃Acoustic Live 2021~恋するWater Colors~ at 人見記念講堂
01.Overture
02.ちいさなひとつぶ
03.夏色花火
04.MC1
05.生きる
06.晴れ模様
07.Kiss! Kiss! Kiss!
08. MC2
09.フェリチータ
10.ロケットビート
11.Destino~恋は一秒の永遠~
12.嘆きの空
13.MC3
14.echoes
15. 恋する私カラー
16. Ending

※2021年4月4日(日) 東京・人見記念講堂にて収録
※バンドメンバー:石成正人(Ac.G&Band Master)、松本圭司(Ac.P)、福長雅夫(Per.)、笠原あやの(Vc)

●イベント出演情報
リスアニ!LIVE 2022
2022年1月21日(金)~1月23日(日)
会場:日本武道館

安野希世乃は、2022年1月23日(日)“SUNDAY STAGE”に出演します。

チケット最速先行受付中
詳細はこちら

関連リンク
安野希世乃 オフィシャルサイト
http://avex.jp/kiyono-yasuno/

TVアニメ『異世界食堂2』公式サイト
https://isekai-shokudo2.com/