スマートフォン用音楽ゲーム「DEEMO」の劇場版アニメプロジェクトが始動したのが2019年。それから2年以上の月日を経て、ついに劇場版「DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-」が2月25日に全国公開される。


主題歌を歌うのは、本作の歌姫オーディションにより、世界中の1400名の応募の中から選ばれた高島一菜・15歳(当時14歳)。アーティスト名・Hinanoとして、全世界デビューを果たす。2月23日(水)にリリースされるデビュー1st EP『nocturne』について話を聞いた。

声だけでも気持ちや歌っている姿が思い浮かぶように
――デビューを控えての今の気持ちを教えてください。

Hinano 歌姫オーディションが終わってデビューが決まったのが2020年なんですけど、そこからはコロナ禍でファンの方々と会う機会やライブもできなかったので、デビューするというのがまだ信じられない気持ちです。

――「DEEMO」の歌姫オーディションの動画はYouTubeでも観ることができますが、Hinanoさんはアニメ好きなのですか?

Hinano アニメはそんなに見たことがなかったんです。
でも梶浦由記さんが審査員で、『鬼滅の刃』だけは死ぬほど見ていたんですよ(笑)。ずっと『鬼滅の刃』のことで頭がいっぱいだったくらい好きな作品だったので、梶浦さんの曲が歌えるなんて夢のようでした。

――オーディションを受けるきっかけはなんだったのですか?

Hinano 歌手になりたくて応募をしたんですけど、力試しで受けてみようというのが最初だったんです。でも、このオーディションがきっかけで「DEEMO」という作品に触れていくなかで、作品がすごく好きになりました。ゲームもやったのですが、音も良くて、1曲1曲が素敵だなと思っていました。「DEEMO」の音楽って、あまり突き詰めて聴いたことがなかったジャンルなので新鮮でしたし、作品自体が不思議な世界観を持っているので、今回の「nocturne」もそういう雰囲気を想像しながら歌っていました。


――元々、音楽はどんなものでも聴くのですか?

Hinano 割とどんなジャンルも聴きますが、今は海外のミュージカルが好きですね。なのでそれを聴いて、自分で歌ったりしています。

――オーディションの三次審査での「私を選んで絶対に後悔をさせません」という言葉がすごく良かったです。覚悟と、そこまでやってきたんだという自信が感じられました。

Hinano あれは絶対に言おうと思っていた言葉なんです。そのほかに言いたかったことは全部忘れてしまったんですけど……(笑)。


――絶対に伝えたいという強い想いがあったんですね。

Hinano 後悔をさせないという気持ちがあったというか、それしか説明はできないんですけど……30秒という自己PRの時間だったので、何か印象に残る言葉を言わなければと思ったんです。

――そこで最終オーディションも勝ち抜き、1st EP『nocturne』でデビューするのですが、映画の主題歌と「DEEMO」のカバー曲が6曲収録されています。レコーディングはいかがでしたか?

Hinano カバー動画はYouTubeに上がっているのですが、それとは別にレコーディングをしているんです。なので動画撮影とレコーディングで分けて考えていたんですけど、歌で伝えるときは声だけで気持ちや歌っている姿が思い浮かぶように、表現力を上げていこうと頑張っていました。

――「あいたい」のレコーディングの模様も動画で上がっていますが、ディレクションに応えている姿が、とてもしっかりしているなと思いました。


Hinano ありがとうございます。ただあのときはすごく緊張していました(笑)。レコーディングに撮影が入っていたこともあり1秒も気が抜けなくて、しかも最後に動画撮影もあったので緊張しっぱなしでした。レコーディングは、自分と違う目線で「あいたい」を見ているディレクターの方と、どうやって一緒にこの曲を仕上げていくのかというところを相談しながら行いましたね。実はレコーディングは1年前くらいにしていて、中学3年生の自分が歌う「あいたい」なので、今聴くと幼く聴こえるんです(笑)。でも、それはそれで味があっていいのかなとも思っています。


――カバー曲で大変だった曲はありますか?

Hinano 動画撮影のほうで大変だったのは「Re:you~彼の地を知りえたとして~」です。激しめの曲なのですが、1コーラス目と2コーラス目で歌詞が微妙に違うんですよね。アップテンポなのでリズムに乗れずにもう一度お願いしますと、何度か撮り直しました。ただレコーディングは30分かからずに終わったんですよ。短い曲ではあるんですけど、ハモリも入れて30分くらいだったので、ディレクターさんが驚いていたのは、よく覚えています。

――それはすごい。
逆に大変だった曲は?


Hinano 「YUBIKIRI-GENMAN」ですかね。ハモリも多く、歌も難しいんですよ。歌っていくうちに慣れて歌えるようにはなったんですけど。

――Hinanoさんの難しいって、どういう曲ですか?

Hinano 低いところから高いところまで、音程の幅が広くて、リズムの置きどころが難しい曲というか。途中でテンポが変わったり、そこにどうノれるのかというところが特に大変でした。

――でも難しい曲のほうが燃えそうですよね?(笑)。

Hinano 確かに、やってやろう!という気持ちにはなりました(笑)。

「nocturne」は何度聴いても“きれい”というところに持っていきたいと思っていた
――映画の主題歌「nocturne」ですが、映画を観ていかがでしたか?

Hinano ずっと感動していました。初めて自分の曲が流れてたときは不思議な感覚で、違う人の曲を聴いているみたいでした。

――「nocturne」のイントロのメロディもずっと流れていましたよね。

Hinano 流れていましたね!私の曲が流れている!とウキウキしながら試写会で観ていました。そして最後に主題歌が流れたときは、私のデビュー曲なんだなという実感が湧いてきて……。歌のバックで、この映画を作ってくださった方や協力してくださった方の名前が流れていて、本当にたくさんの方の力と1つの映画になっているんだなと思い、感動しました。

――映画を観終わって聴くと、より感動が増した感じがしました。

Hinano 「nocturne」は映画に寄り添った曲なので、観終わったあとに聴くともっと良いと思ってもらえる曲だと私も思います。本当に素敵だし、感動しちゃいますよね。

――梶浦さんとのレコーディングはいかがでしたか?

Hinano レコーディング自体はすごくスムーズでした。この曲も1年くらい前に録ったのですが、そのときに言われたのは「裏声にするのはいいけど、聴いている方が、もっとここを力強く歌ってほしかったと思うようなところは抜かないでほしい」ということで。そこはレコーディングではしっかりできたので、生で歌うときは意識して歌わなければなと思っています。

――梶浦さんのこの曲についてのインタビュー動画では、主題歌は限定した歌い方をすると聴く人の気持ちも限定してしまうので、少し俯瞰で客観的に歌ったほうが良いとおっしゃっていたのが印象的でした。

Hinano 何度も聴いたときにくどくない歌い方というか、私もそうしたかったので、その方向性に共感しました。何度聴いても“きれい”というところに持っていきたいと思っていたので。聴いたときに、その都度新しい発見がある歌になっていると思います。

――この曲ではMVも撮影したそうですね。

Hinano 今回1カット風で撮っているんです。だからカットが全然かからない感じで、1回1回終わるごとに映像をチェックしていました。カメラが離れたり近づいたりするのは緊張しますね、失敗したらまたやり直しになっちゃうので。1カット風なので、実は全体を2カットで撮っているんですけど、そのうちの後半の1カットは逆再生で、しかも倍速で撮っているんですよ。

――すごく大変そうですけど、映像的に面白い感じになる手法ですね。

Hinano リップを合わせるのが難しくて、練習したのに合わなかったりするんです。なのでアドバイスをいただいたりしながら何回も撮り直しました。

――逆再生って、ローマ字にして逆から読むとかでしたよね。

Hinano そうです。私はいつも耳で覚えるんですけど、更に倍速なので耳だけでは全然覚えられなかったので、全部カタカナに起こして覚えました(笑)。とても素敵な映像になったので、ぜひ観てください!

――そしてオリジナル曲が1曲だけ入っていて、「はじまり」は爽やかなポップチューンでしたね。

Hinano 本当に始まりに相応しい曲だと思っていて、歌詞を見ていただければ私のこれまでの道のりがわかっていただけると思います。歌姫オーディションの前から候補生として養成所に通っても結局事務所の所属になれなかったり、オーディションに受からなかったり、これまでのたくさんの経験を1つの曲にしてくださったので、お気に入りの曲です。私の15年を写してくれた曲なんじゃないかなって思います。

――感情もたっぷり込めて歌っていましたね。

Hinano 込め過ぎちゃうくらいがちょうど良いということになったんですけど、自分の経験を思い出しながら歌いましたね。

――歌詞に“もっといろんな気持ち分かる人になって”とありますが、15歳だとわからない気持ちもあるじゃないですか。それはどうしているのですか?

Hinano たしかに恋愛の感情とか、まだあまりよくわからないんですけど、例えば主題歌だったらそのドラマや映画を観たり、ちょっと違うのかもしれないけれどリンクしている部分は必ずあると思うんです。それを観て、その気持ちになりきって歌うことが大事なのかなと思います。そうすることで感情とかはどんどんわかるようになってきました。

――では、特に聴いてほしいところは?

Hinano “手放しはしなかったこの夢に守られてきたのは でも 迷わなかった自分”という歌詞があるんですけど、オーディションに落ちても、事務所の所属になれなくて歌をやめようと思ったけど、そこで歌から離れなかったんですよね。その歌詞は私も感じている部分だし、これから歌を歌っていくなかで、この曲も色んな色に変化していくんじゃないかなと思いました。

――なぜ歌から離れなかったのですか?

Hinano もうやめてやる!って思うんですけど、なんだかんだ歌から離れらなかったというか。2日~3日経つと、やっぱり歌いたくなっちゃうんですよね(笑)。もう離れらないんだと思います。気づくと人のMVを観ていたりするから、音楽が好きなんですかね(笑)。

――それは間違いないですね。

Hinano でも毎日歌の練習をしているときも「やめたい!」って思ったりするんですよ。でもやめられないもっと歌を極めたいという気持ちが勝ってしまうんです。だから絶対に歌はやめられないんだと思います。

――では最後に、Hinanoとしてデビューをした今、どんなアーティストになりたいですか?

Hinano まず、ライブがまだできていないので、ファンの方に会って話がしたいし、生で私の歌を聴いてほしいという気持ちが一番にあるので、それを目標に今は頑張っています。あと、マルチに活躍したいと思っているんです。去年の4月から演技の勉強も始めたので、将来的にミュージカルもできたらいいなと思うし、歌唱力や表現力をもっともっと成長させていきたいです。

INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一

●リリース情報
劇場版『DEEMO サクラノオト~あなたの奏でた音が、今も響く~』主題歌
Hinano デビューEP
『nocturne』

2月23日(水)リリース

形態:CD+DVD
品番:PCCA-06115
価格:¥2,750( 税込)

<収録曲>
1. nocturne
作詞・作曲・編曲:梶浦由記
2. はじまり (オリジナル曲)
作詞:岩里祐穂 作曲:武田将弥(Dream Monster) 編曲:小林俊太郎
3. あいたい
作詞:Rin 作曲・編曲:onoken
4. Fluquor
作詞:Rin & Sao Minase 作曲・編曲:onoken
5. YUBIKIRI-GENMAN
作詞・作曲・編曲:Yamato Kasai
6. Aurarobe
作詞:Rin 作曲・編曲:onoken
7. Re:you~ 彼の地を知りえたとして~
作詞:Apo11o program  作曲:ゆゆうた/Apo11o program 編曲:Apo11o program
8. Red Storm Sentiment
作詞:Erica Masaki 作曲・編曲:Tsukasa

<DVD>
1. nocturne Music Video
2. nocturne Music Video Making
3. あいたい Music Video

関連リンク
Hinano「nocturne」音楽配信サイト一覧
https://lnk.to/hinano_nocturne

Hinano 公式HP
https://hi-na-no.com/

Hinano 公式Twitter
https://twitter.com/HinanoTakashima

Hinano公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCyL0G_EJA41ndnnUroLwEWw

Hinano Instagram
https://www.instagram.com/hinano_takashima/