原作のライトノベルはもちろんのこと、第1期、第2期のアニメも好評だった『スパイ教室』の世界が今度は舞台へ──!舞台「スパイ教室」は2024年1月20~28日に東京・銀座博品館劇場で上演予定だ。

主人公のリリィ役を務めるのは2.5次元舞台初挑戦となる横山結衣。
そして、グレーテを朝倉ふゆな 、ジビア役を星波、モニカ役を星守紗凪、ティア役を石井陽菜、サラ役を高岡 薫、アネット役を北澤早紀、エルナ役を佐倉 初、クラウス役を蓮城まこと、ギード役を高田 淳と、様々なバックグラウンドを持つ個性豊かな役者が演じる。

リスアニ!では、2作連続OPテーマを飾ったnonocや、EDテーマ彩ったsajou no hanaに取材し、アニメ『スパイ教室』の音の世界に注目してきた。元々音楽の世界に身を置いていた役者も多い、今回のラインナップ。灯による極上の騙し合いが舞台ではどのように表現されるのだろうか。横山結衣、佐倉初にその意気込みを聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

舞台「スパイ教室」に対する想い、「まさか推しを演じることになるとは」
──出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。

横山結衣 シンプルに、すごく嬉しかったです。それと、私自身、2.5次元舞台に立つのが人生で初めてなので、ちょっと震えましたね(笑)。「私にできるかな」「大丈夫かな」という緊張もあったんですけど、それよりも「やってみたい」「嬉しい」という気持ちのほうが大きくて、「ぜひやらせてください!」とすぐに返事しました。

佐倉 初 自分がスパイになる世界線があるとは思っていなかったので、こうやって演じられることが嬉しいなって。『スパイ教室』の世界観はほかにはなかなかないものなので「この世界に飛び込むんだ!」って思うと楽しみだなと思いつつ、同時に私にエルナちゃんを演じられるのかなという不安も押し寄せてきました。実は『スパイ教室』のキャラクターの中で、エルナちゃんが私の推しなんです。


──スパイになる世界線と同時に、「推しになる」世界線も!

佐倉 そうなんです!そんな世界線があるなんて!と。でもお声がけいただいたからには、しっかりエルナちゃんになれるように頑張ろうって思いました。

横山 推しを演じるって、運命……!

佐倉 ファンの方の気持ちがわかるからこそ、それを裏切りたくないですし、しっかりと演じあげないといけないなと。

──エルナちゃんのどのようなところに魅力を感じていたんですか?

佐倉 いやぁ、もう全部好きです(笑)。まず見た目がタイプで!「~なの」っていう語尾も、リアクションもすっごくかわいくて仕方がなくて。私は普段からアニメをたくさん観ているんですけど、「この子好きかも」って思ったキャラクターの声優さんを演じてらっしゃるのが水瀬いのりさんなことが多いんです。例えば『Re:ゼロから始める異世界生活』のレムちゃんとか。レムちゃんのことはずっと好きで、フィギュアも集めています。水瀬さんのキャラクターを演じることができるということは、もしかしたら人生で最初で最後かもしれないなって……だから本当に嬉しいんです。水瀬さんのエルナちゃんをリスペクトしつつ、自分らしく演じられたらと思っています。

──横山さんはリリィに対してどういう印象がありましたか?

横山 天真爛漫で、お調子者で(笑)、そういうところは私に似ているのかなって思っています。それとお菓子につられて誘惑に負けてしまうところもかわいいなと思っていました。
でも、リリィはリリィで過去に色々なことがあって、胸の奥にある想いにすごく惹かれました。それを今回、上手に演じられたら良いなと。

──灯メンバーはそれぞれ、複雑なバックグラウンドを持っていますもんね。

横山 そうなんです。キャラクターそれぞれ色々な過去を持っていて、そのうえでスパイを目指している。キャラクター一人ひとりの個性が強いので、その灯のメンバーたちを私がまとめられるように頑張りたいなと思っています。

実は今日が初対面!「お会いできるのを楽しみにしていました」
──ところで、お二人は面識はあったんですか?

横山 実は、ほぼ初めてなんです。

佐倉 そうなんです。

横山 ビジュアル撮影のときに一瞬すれ違ったんですけど、しっかりとお話するのが今日が初めてで。今日、こういうきっかけをいただけて、私としてもとてもありがたく思っています。

佐倉 お稽古に入る前にお話できるのがすごく嬉しいです。今日をすごく楽しみにしてきました。


横山 嬉しい!私もです。実はビジュアル撮影ですれ違ったときに「あ、エルナがいる」って思ってたんですよ。「めっちゃエルナだ!」って。今日初めてお話させていただいていますが、話している雰囲気を見て「エルナにハマってる~、ピッタリ!」と改めて思いました。より一層舞台が楽しみになりましたね。

──佐倉さんが恐縮していますね(笑)。

佐倉 今いただいた言葉を、そっくりそのまま返したいくらいなんです。ビジュアル撮影のときに「リリィちゃんだ~!」となりました。私は人見知りなところがあるので、そのときは強く言えなかったんですけど、めっちゃかわいくて……「同じタイミングで撮影ができて良かった!」と思っていました。幸せでしたね。

横山 私もです!

──お二人は初対面ということですが、カンパニーには仲の良い方も多いのではないでしょうか。

佐倉 私は共演させていただいたことのある方たちが多いです。
グレーテ役の朝倉ふゆなさんとも一度ご一緒していますし、モニカ役の星守紗凪ちゃん、ティア役の石井陽菜ちゃんにもお世話になっています。以前とは役柄も違うので、楽しみですね。紗凪ちゃんと共演させていただいた舞台では、紗凪ちゃんが演じる役が、私の演じる役のことが好きで。ネタバレになってしまうかもしれないので詳細は控えますが、今回は私に向けてくれていた愛の矢印が別の方に向かうので、少し嫉妬しちゃうかも(笑)?中の人の感情なのでもちろん舞台上では出さないですけど、それも楽しみにしています。

横山 私は元々同じグループで活動していた2人がいるので。サラ役の高岡 薫ちゃんは同期なので一緒にお芝居ができるのが楽しみです。アネット役の北澤早紀さんは先輩なのですが、早紀さんとお芝居するのは初めての経験なので「たくさん勉強させてください!」という気持ちです。

──横山さんは座長として、どういうカンパニーにしていきたいですか?

横山 私は原作がある作品に出演をするのが初めてなので、「勉強させてください」という気持ちが大きいんですが……キャスト陣がほぼ女性なので、原作の灯チーム同様、みんなで和気あいあいとしつつ、本気になるところは本気になってと、なんでも話し合えるような“極上”のカンパニーにできたらと思いました。

──ビジュアル撮影のときはクラウス役の蓮城まことさんもいらっしゃったんですか?

横山 いらっしゃいました!すっごく美しかったです!立ち姿やお話している姿が美しすぎて、ときめいてしまいました。クラウスは先生というポジションなので、色々と教えていただきたいなと。まことさんは「キャストがみんなかわいくて幸せだ」って言っていました(笑)。期待を裏切らないように私たちもかわいくいつつ、騙し合いも頑張りたいなと思っています。


2人が考える舞台での表現方法、醍醐味
──お二人は色々なご経験や表現方法をしたうえでお芝居に辿り着いています。特にお二人の場合は音楽という共通点もありますが、舞台ならではの面白さはどういうところに感じられていますか?

横山 舞台って生物じゃないですか。そのときに生じたエネルギー、一瞬のきらめきや爆発力を直接お届けできて、しかも生で見てもらえるというのが私はすごく嬉しくて。みんなで仕上げた作品を届けられるところに魅力を感じています。

佐倉 これまではアイドルや声優として活動させてもらっているなかで……歌の場合は、その歌の主人公として気持ちを表現するという意識をしていたのですが、舞台はまた角度が違っているんですよね。新しい誰かになって、その人として喋るということを意識しています。演出家さんによっても、色々な角度があると思っていて。言語化するのは難しいんですけど、その角度の違いを舞台に立たせていただいている身として体感しています。舞台が好きだったり、ライブが好きだったりと、色々な方がいらっしゃると思うんですけど、“舞台にハマる理由”をやっている側としても実感しています。それと、舞台を経験して思ったことがあるんです。これまでグループで活動していたときは、ライブが終わっても(メンバーと)またすぐに会って毎日お仕事一緒にしたり、ご飯を食べたりという生活をしてましたけど、舞台の場合は一ヵ月間毎日お稽古して、千秋楽が終わると急に会わなくなって。

横山 それまでの日常がなくなりますよね。


佐倉 そうなんです。それがすっごく寂しいなと思いつつ、一期一会ってこういうことなんだって実感したんです。『スパイ教室』の千秋楽が終わったらなかなか会えなくなってしまうかもしれないですけど、これをきっかけにプライベートでも遊べるようになったら楽しいだろうなって思います。第二弾がもしもあったら、そのときに「久しぶり!」って言えるようになるのかなって。やっている側の意見にはなってしまうんですけど、そういう出会いがもらえることも舞台が素敵だなと思う部分です。

──キャラクターとの出会いや、そのキャラクターを生身で演じられるというのも、きっと舞台ならではの醍醐味ですよね。

佐倉 そうですね。今回は推しキャラクターを演じるということで、緊張が一番大きいです。でもエルナちゃんと考え方や性格が似ているところがあって、私も落ち込むところまで落ち込んだり、引っ込み思案になってしまったりするところがあるんです。

──きっとそこは横山さんがカバーしてくれるはず!

佐倉 座長~!

横山 ま、任せてください……(笑)!

佐倉 よろしくお願いします!エルナちゃんと心をひとつにして頑張りたいと思っています。

──最後に、今回の舞台を通してお二人が挑戦したいことを教えてください。

横山 私はアクションをあまりやったことがないので、それは私の中でひとつ挑戦になると思います。どう演出されていくのかは現段階だとまだわからないのですが、今から楽しみにしています。この作品は少女たちが一流のスパイになるという目標に向かって努力していく作品なので、舞台の『スパイ教室』を見て、なにか少しでも、来てくれた方たちの気持ちを動かせたら、何か持って帰れるようなものを渡せたらなと思っています。その気持ちを忘れず、原作をリスペクトしつつ、舞台版の『スパイ教室』をみんなで作っていきたいです。

佐倉 不可能任務に挑戦するのは、元々落ちこぼれと呼ばれたスパイたち。そして、アニメの中で不可能任務に挑んでいく姿に自分も自信をもらえました。私自身も皆さんにそういう気持ちを与えられる側になれたら良いなと思っています。とにかく二次元が三次元に出てきたのかな?ってくらい、みんなかわいいので!純粋にそれを観に来てもらってもいいのかなって。気軽な気持ちで来ていただいた方にも、バッチリ用意して来ていただいた方にも楽しんでいただける舞台にしたいなと思っています。なのでみんなで一致団結して……。

横山&佐倉 頑張ります!

●舞台情報
舞台『スパイ教室』
2024年1月20日(土)~1月28日(日)
会場:銀座博品館


関連リンク
舞台『スパイ教室』
公式サイト
https://spyroom-stage.com/

公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/spyroom_stage
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