『ゲゲゲの鬼太郎』の戦争描写をネトウヨが攻撃! 目玉おやじの「日本も他の国に攻め入った」のセリフに「反日」と

『ゲゲゲの鬼太郎』の戦争描写をネトウヨが攻撃! 目玉おやじの「日本も他の国に攻め入った」のセリフに「反日」と
フジテレビ公式HPより

『ゲゲゲの鬼太郎』(フジテレビ)に一部のネトウヨが噛み付いている。現在、日曜日の朝9時に放送されている第6シリーズの『ゲゲゲの鬼太郎』は、パワハラ、薄給での強制労働、責任逃れに終始する政治家など、子ども向けアニメとは思えない鋭い社会風刺を盛り込み、話題になっているが、8月12日の第20話では、太平洋戦争を振り返る「妖花の記憶」を放送。これが高い評価を得ている一方で、一部のネトウヨから「自虐史観」「反日」「サヨ太郎」などと、攻撃を受けているのだ。

 ストーリーは、第6シリーズから登場するキャラクター・中学1年生の犬山まなの大伯母(祖母の姉)の家の庭に妖気を吸って咲く「妖花」という花が咲いたことから始まる。

 ゲゲゲの鬼太郎一行は、妖気が出ている元となる南の島に向かうのだが、現地では木材を伐採するために派遣されていた日本企業の社員が恐怖に震えていた。ご神木を切ろうとした日から、銃声や「撃て! 撃て!」といった叫び声の幻聴が聞こえるようになったのだ。

 そこで、ご神木の根に開いていた大きな穴を覗くと、そこには白骨化した日本兵の死体があった。そのなかには、無念の死を遂げた犬山まなの大伯母の婚約者もおり、彼が出した妖気が大伯母の家の庭に妖花を咲かせていたのだと知る。

 一連の出来事で戦争の悲劇を知った犬山まなは、日本に帰った後、「戦争について平和について」というタイトルで夏休みの宿題である自由研究の発表を行うところで物語は終わる。

【「鬼太郎」らしいストーリーで、戦争の悲惨さを描いた秀逸な作品だったが、ネトウヨが噛み付いたのは、鬼太郎一行が南の島(具体的な島の名前は登場しない)に足を踏み入れるくだりの会話だった。日本から遠く離れた南国の島を歩いていると突然日本語で書かれた石碑に遭遇し、犬山まなは驚く。そこでこのような会話が展開した。

犬山まな「これ、日本語......。こんな遠いところに、どうして?」
目玉おやじ「これは戦没者の慰霊碑じゃよ。戦争で日本の兵隊たちがこの島で戦い、そして、大勢死んだんじゃ」
犬山まな「戦争......」
目玉おやじ「太平洋戦争。学校で習ったのではないかな?」
犬山まな「聞いたことあるけど、どうしてこんな南の島で」
鬼太郎「昔、日本は大きくなろうとした。そして、アメリカ、イギリス、フランス、いまでは仲良くしている国に戦いを挑んだんだ」
目玉おやじ「まなちゃんたちの世代には信じられんかもしれないがの」
ねずみ男「ホント、嫌な時代だったぜ」
犬山まな「アメリカと戦争してたのは知ってたけど、なんか、日本が一方的に攻められて負けたみたいに思ってた」
目玉おやじ「いや、日本も他の国に攻め入り、戦ったりしとったのじゃよ。そういう時代があったんじゃ。あれからもう70年以上。戦争の記憶も薄れつつある、か......」

 ネトウヨたちはこの目玉おやじの口から出た「日本も他の国に攻め入り、戦ったりしとったのじゃよ」というセリフが気に入らなかったらしい。「日本が欧米諸国の植民地になってたらどうすんだよ」「反日なら自分の大好きな国に帰れ」「水木の漫画とか自虐史観そのものちゃうの?」「アジアの植民地開放のために戦ったことが抜けてるもよう」「日本が一方的にアメリカを攻めたみたいな誤解を生む大東亜戦争語りたいならハルノートから説明させろ」などといったツイート、投稿が散見され、まとめサイトには「『ゲゲゲの鬼太郎』最新話で戦争の話をするが、自虐史観で一気にサヨ太郎になる」なるタイトルの記事まで立った。

●放送作品は戦争の悲惨さを訴え続けた水木しげるの遺志を継ぐもものだった

 ようするに、ネトウヨたちは日本も他の国に攻め入り、戦ったというごく当たり前の解説にまでいちゃもんをつけ、「反日」「左翼」「自虐史観」のレッテル張りで封じ込めようとしているのだ。その狂った歴史修正主義にはあきれ返るしかないが、しかし、これがいまのテレビを取り巻く現実でもある。ほんの少しでも、日本軍の加害の事実に触れただけで、たちまちこうした「反日」攻撃にさらされ、炎上してしまう。その結果、「終戦の日」近くに放送される戦争特集でも、日本が他国に対して行った加害についてふれる番組は極端に少なくなった。

 いや、テレビだけではない。教育現場でも、安倍政権や自民党のネトウヨ議員たちの圧力によって、こうした戦争の実態を教えることはほとんどなくなっている。

 そういう意味では、今回、『ゲゲゲの鬼太郎』がこの状況のなかで、子どもたちにも戦争の本質と悲惨さが伝わる作品を放送したのは、大きな意義があるし、賞賛に値する。

 そもそも『ゲゲゲの鬼太郎』の原作者である水木しげるも、妖怪漫画と並んで「戦争」をテーマにした漫画を何作も発表している。水木がラバウルの激戦地に送られ、爆撃で左手を失ったのはご存知の通りだが、水木はそうした自らの悲惨な体験を漫画にして戦争の悲惨さを訴えてきた。しかも、自分が受けた被害だけでなく、日本軍がいかに残酷な行為をしていたかもきちんと描いてきた。じつは今回のアニメの物語も、「妖花」というタイトルで水木が原作を描いており(講談社『水木しげる漫画大全集 ゲゲゲの鬼太郎(3)』などに所収)、テレビシリーズでも第1期から取り上げられ続けてきたものだ。

 おそらく、今回の『ゲゲゲの鬼太郎』をつくったスタッフたちも、水木の戦争に対する姿勢・遺志を継ごうとしたのではないだろうか。

 右傾化社会に迎合し続けるテレビの姿勢をみていると、状況は厳しいが、『ゲゲゲの鬼太郎』には、これからも卑劣な圧力や攻撃に負けず、ぜひ、水木の遺志を表現する作品を作り続けて欲しい。
(編集部)

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