天皇批判の宮司だけじゃない、靖国神社“職員有志サイト”の凄い中身! 「大東亜戦争は正義」「陛下の首に縄をつけて…」

天皇批判の宮司だけじゃない、靖国神社“職員有志サイト”の凄い中身! 「大東亜戦争は正義」「陛下の首に縄をつけて…」
『靖国神社職員有志の主張』トップページより

 安倍首相の参拝が注目された靖国神社の秋季例大祭。表向き中国との関係改善をはかる安倍政権は全閣僚の参拝を見送り、訪中を控えていた安倍首相は総理大臣の名前で真榊を奉納するにとどめた。

 一方で、18日には自民党議員を中心とする超党派議連「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の加藤信勝総務会長、森山裕国会対策委員長、磯崎仁彦経済産業副大臣、長尾敬内閣政務官、大西英男総務政務官ら副大臣や政務官を含む71名が参拝。また、8月の終戦記念日には、安倍首相が「靖国神社の源流」とされる琴崎八幡宮(山口県宇部市)を公式参拝するなど、安倍政権の靖国への肩入れはいささかも減じていない。

 だが、その靖国神社がいま、揺れに揺れている。周知のように、きっかけは「週刊ポスト」(小学館)10月12・19日号がスクープした小堀邦夫宮司(当時)の“天皇批判”だ。

 念のためおさらいしておくと、小堀宮司は今年6月の内部会議において、今上天皇が一度も靖国を参拝していないことを念頭に「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ」「はっきり言えば、今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ」などと発言。今月10日には靖国神社から〈極めて不穏当な言葉遣いの録音内容が漏洩〉(報道関係宛文書)したことに関して、小堀宮司が宮内庁を訪れて陳謝したことと、宮司退任の意向が発表された。

 しかし、こうした靖国内部の問題発言は、実は氷山の一角なのかもしれない。この騒動のなか、「靖国神社職員有志の主張」と題されたウェブサイトが一部で注目を集めている。そこで展開されている“過激な主張”がにわかに物議を醸しているのだ。

 2013年12月に開設されたとみられるサイト「靖国神社職員有志の主張」(以下、「靖国職員」)は、その名称のとおり、〈靖国神社職員の有志〉による運営を名乗りながら、靖国をめぐる見解を赤裸々に表明している。

〈終戦後、私たちのこの神社とその思想等についてさまざまな意見が出ています。しかし靖国神社当局からはそれらの世論に対して、めったにコメントをしません。このような神社当局の対応に、私たち職員有志は非常に歯がゆいものを感じ続けてきました。そこで、このサイトにて私たち靖国神社に従事する者の考えを述べさせていただこうと決意した次第です〉(同サイト「はじめに」より)

 ようするに、靖国神社の存在が長年、国内外で問題化してきた一方、靖国当局はほとんど見解を公にしないので、かわりに“職員有志”が靖国のスタンスを公言すると謳っているわけだが、これが、読んでみると仰天。そこには、小堀宮司の「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ」と同等か、それ以上の“暴言”書き連ねてあったのだ。

 たとえば「靖国職員」は10月4日、今回の小堀宮司の“天皇批判”についてコメントを出しているのだが、〈小堀邦夫宮司以下私たち靖国神社職員は、天皇陛下のご意向を尊重します〉としつつも、こんな内心をぶちまけている。

〈ただし私たちの宗教的信条まで曲げるつもりはありません。
「戦犯分祀」だとか「戦没者の冥福を祈る」だとか「先の大戦は間違っていた」などという思想は、仮にそれが陛下のご意向だとしても、従うつもりはありません。
 これを曲げたら靖国神社が靖国神社でなくなってしまうではありませんか。〉(同「小堀邦夫新宮司の考えについて職員有志よりコメント」より)

●“靖国職員有志”が「靖国は戦没者の冥福を祈る場所でない」「神様として崇めよ」

「陛下のご意向」ですら「従うつもりはない」というのは、小堀宮司の舌禍事件にも通じるが、一方で「靖国職員」はこうも述べている。

〈小堀宮司も、親拝を拒む陛下の首に縄をつけて当神社まで引っ張ってくるような考えは持っていません。陛下のご意向をないがしろにするような考えは毛頭ありません。
 陛下の戦争跡地行幸を批判するかのような報道がなされたようですが、おそらく何かの間違いではないでしょうか。〉(同)

 実際の音声が表沙汰になったものを「何かの間違い」と言い張るのもおかしいが、加えて驚いたのは、否定のためとはいえ、「陛下の首に縄をつけて当神社まで引っ張ってくる」という表現を使っていたことだ。もし、新聞や週刊誌が天皇に対してこんな表現を用いたら、右翼から直ちに「不敬だ」と糾弾され、最悪の場合テロの標的にすらなりかねないだろう。それを神社関係者が使うとは……。

 いや、それはともかくとしてもだ。「靖国職員」を読んで驚くのは、小堀宮司舌禍事件に関する声明だけではない。

 サイトでは歴史認識や靖国の位置付けについての見解が述べられているのだが、そこには、マスコミが外交問題として扱いがちな靖国をめぐる問題の“本質”が、グロテスクなまでにダダ漏れになっているのである。

 たとえば「靖国神社は追悼施設ではない」と題して、こんな文章が書かれている。

〈私たちの靖国神社は、追悼施設ではありません。
 戦没者の冥福を祈る場所ではありません。
 靖国神社は、戦没者を神様として崇め、すがるための場所なのです。
 こちらが救ってやるのではありません。参拝者は救っていただく立場なのです。〉

 これは、右派政治家がこれまで靖国参拝を正当化するために強弁してきた「靖国神社は戦死した方々を追悼して平和を祈念する施設」なる言い分と真っ向から対立するものだ。

 たとえば、安倍首相も自民党幹事長代理時代の2005年、小泉純一郎首相の靖国参拝を支持する「平和を願い真の国益を考え靖国神社参拝を支持する若手国会議員の会」の発起人となり、第二次政権以降も自らの靖国参拝について、「国のために戦い倒れた方々のために手を合わせ、御冥福をお祈りをする、尊崇の念を表するのはリーダーとして当然のこと」「戦没者を追悼する、そして不戦の誓いをする、そういう意味において参拝をした」(2014年3月12日参院予算委員会)などと説明してきた。

●「冥福を祈る」はおこがましい、そんな気持ちの人間は参拝するな、と暴言

 ところが、「靖国職員」に言わせれば、そもそも〈靖国神社は「追悼施設」ではない〉し、ましてや〈戦没者の冥福を祈る場所ではありません〉という。どういうことか。同サイトはこう続けている。

〈靖国神社には、中心となる一体だけの主神は、ありません。多数の戦没者が皆、神様なのです。死してなお国を守り続ける、護国の英霊なのです。
 この神様方に対して、参拝者の立場で「冥福を祈ってやる」だとは、おこがましいにもほどがあります。(中略)
 神様方に対して、こういう傲慢な気持ちで臨むつもりの人は、どうか参拝をご遠慮ください。〉

 実に挑発的な物言いではあるが、実のところ、安倍首相らが嘯く「靖国参拝は冥福を祈り不戦を誓うもの」との建前よりも、この「靖国職員」の主張のほうが圧倒的に靖国の本質を言い当てている。

 実際、本サイトでも繰り返し指摘してきたとおり、靖国神社は戦争で亡くなったすべての人々を祀っているわけではない。軍人や軍属、準軍属などを、当事者や遺族の宗教観・死生観に関係なく「護国の英霊」と称して神格化しているのである。

 だいたい、靖国はその成立からして、大多数の神社とはまったく異なる。一般的な神社神道のように、共同体における自然的・慣習的信仰から生まれたのではなく、明治政府が天皇を頂点とする国家神道を道具だてとし、軍隊に駆りたてられた国民の死を顕彰するため、人為的につくりあげた政治的な施設だからだ。

 たとえば、祀られる対象をとってみても、前述した「英霊」のように極めて多数(246万6000以上)を祭神とする神社は他になく、まして戦前は陸軍省と海軍省の管轄に置かれたことからも、靖国が一般の神社神道からかけ離れた“特殊施設”であることは明らかだろう。

 しかも、その「英霊」の概念自体、実際には、明治新政府以来の大日本帝国によって御都合主義的に選ばれたものでしかない。事実、明治新政府軍と抗戦し「賊軍」とされた人々や、西南戦争で「反逆者」とされた西郷隆盛などはもちろん、先の戦争での数十万人にも及ぶ空襲や原爆の死者など戦災者も一切祀られていないのが事実だ。

●大東亜戦争について日本国家には一切謝罪も反省も必要ない、と宣言

 その意味では、靖国神社はまさにサイト「職員有志」が言うように、戦没者=戦死した軍人軍属を神として崇めるところであり、その冥福を祈る場所ではないのだ。“冥福を祈るぐらいなら参拝にくるな”との物言いも、この神社の本質を考えれば、むしろ当然というべきだろう。

 しかも、「職員有志」があらわにした靖国の本音はこれだけではない。靖国神社に祀られている「英霊」がどう決められているのか、そのグロテスクな“基準”についてもあけすけに語っている。

 サイト内の「大東亜戦争に関わる英霊について」と題された項目では、まず、〈大東亜戦争は、欧米列強によるアジア植民地支配からの解放を成し遂げるための、正義の戦いでした〉と主張した上で〈当神社に祀られている英霊は、この尊い偉業に命を捧げた方々です〉と定義。さらにこう続けている。

〈私たちとしてはこの正義の戦いである大東亜戦争について、日本国家には一切謝罪も反省も必要ないと考えています。
 一切の戦争責任を負う必要ないと考えています。
「侵略戦争」だなどとは言いがかりも甚だしいというものです。
 もちろん、敵国による茶番劇であるあの「東京裁判」なんぞは一切認めません。
 これが私たち職員有志の考えです。〉

 あの戦争を堂々と肯定し、その加害事実をめぐる責任・反省・謝罪の不要をがなりたてるファナティックぶりは目眩がしてくるほどだが、逆に言えば、これこそが靖国神社を支える思想的骨格に他ならないだろう。

 すなわち、「靖国職員」の言うように、靖国神社は「お国のために死ぬ」国民だけが“崇高な神”としてまつられる。その価値観じたいが本質なのである。言い換えると靖国神社は日本の侵略を「正義の戦争」として全面肯定することを前提に成り立っているのだ。

 それはとりもなおさず、侵略や東京裁判の否認する安倍首相ら右派の価値観に通じる。靖国参拝が「不戦の誓い」や「平和のため」になるとの言い分が、いかにありえず、嘘っぱちであるかがお分かりいただけるだろう。

●靖国神社に「靖国職員有志」サイトの内容に対する見解を直撃!

 サイト「靖国職員」は、「まとめ」のページで〈このサイトは靖国神社の公式サイトではありません。職員の有志がその本音を主張するために開設したものです。したがって、ここで述べた主張は靖国神社としての公式見解ではありません〉とエクスキューズしているが、他方で〈しかし大筋においてはあまり変わるものではないと確信しています〉と続け〈このサイトの内容の是非について靖国神社当局に問い合わせをなされたら、おそらく当局は決して否定も反対もせず、黙認する(黙して認める)ことでしょう〉と自信満々に宣言している。

 そこで、本サイトは15日、靖国神社に対し、小堀宮司の辞任とウェブサイト「靖国神社職員有志の主張」にかんする質問状を送付した。問うたのは同サイトに対する認識や関与や、本稿で取り上げた「職員有志」の主張の数々に対する靖国神社としての見解を求める全8項目。同神社広報課は「秋季例大祭の諸準備対応」のため多忙とのことで返答には1週間以上が費やされたが、24日付で送られてきた回答文書は、以下のものだった。

〈お問い合わせを戴き、神社にて当サイトの存在を確認しましたが、当神社職員の関与については判りかねます。
 靖國神社職員有志を名乗りウェブサイトを通じて世に訴えかけるという手段につきましては、多くの人の誤解を招く恐れがあり、誠に遺憾に存じます。
 また、当サイトは神社公式のウェブサイトではなく、掲載されている内容は当神社の見解ではございません。あくまで運営者による意見であり、その他のサイト同様に神社がそれらに対してコメントすることは控えさせていただきます。
 また当サイトには10月4日付にて当神社小堀宮司に関する文書が掲載されていますが、小堀宮司に関する神社の公式な発表は、10月10日に報道関係へお伝えしました内容のみです。〉

 本サイトは靖国神社に対し「靖国神社職員有志の主張」へ実際に靖国神社の職員が関与しているかどうかについての内部調査の有無と予定、および同サイト運営者に対する抗議の有無とその予定についても尋ねていたのだが、これには「関与については判りかねます」とするだけで、事実上、回答しなかった。

●「靖国職員」サイトの暴論を否定しない靖国神社…新体制の今後は?

 結局、靖国神社は「靖国神社職員」を名乗りウェブサイトで意見を発信するという「手段」についてだけは「遺憾」としたが、その主張に対しては一切否定も反対もしなかった。同サイトが〈おそらく当局は決して否定も反対もせず、黙認するでしょう〉と予言していたとおりになったといっていいだろう。

 ウェブサイト「靖国神社職員有志の主張」の実際の運営主体については、現段階ではまだ断定できないが、靖国神社のこうした態度をみるかぎり、同サイトがかなり力をもった内部関係者によって運営されている可能性は否定できない。また、そうでなかったとしても、その内容が靖国神社の本音に近いことは間違いないだろう。だからこそ、靖国神社はこのサイトに抗議することも、その見解を否定することもできないのではないか。

 靖国神社は26日に行った総代会で、小堀宮司の辞任を正式に決定した。後任には、靖国神社で総務部長やナンバー2の権宮司を歴任した山口建史氏(皇學館常務理事)が就任。山口氏は昭和天皇がA級戦犯合祀に嫌悪感を示していた通称「富田メモ」報道の際、権宮司として対応を指揮したひとりだ。

 小堀前宮司による“天皇批判”は波紋を広げた。しかし、あらためて考えなくてはならないのは、この極めて特殊な施設が「お国のために死ぬ」国民だけを神格化しているという本質をもっていることだろう。それは、日本の戦争を正当化し、国民を戦地へ駆り出させようとするシステムそのものなのだ。

 集団的自衛権の行使容認など、安倍政権によって「戦争のできる国」へと邁進するなか、必ずや「戦死自衛官の靖国合祀論」も高まってくる。靖国問題は、過去に向かれたものではない。現在の私たち自身の、そして次の世代の命運をも左右する喫緊の問題なのである。
(編集部)

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