つまり、昭恵氏のために異例の処遇をおこなうことに安倍官邸も税金の無駄遣いをしている自覚はあったわけだが、しかし、当の昭恵氏にはそんなことはどこ吹く風。「国民全体の奉仕者」たる官僚を、自分の私的行事や趣味の場にまで同行させた。
たとえば、「安倍昭恵と行く 80年代のスキー復活!」なるキャッチコピーが躍るスキーイベント「私をスキーに連れてかなくても行くわよ」には、2015年から3年連続で夫人付秘書が同行。また、昭恵氏は安倍首相の地元・山口県下関市に「昭恵農場」を開き、無農薬の酒米を栽培しているが、ここでの田植えには森友問題で財務省に「口利きFAX」を送っていたことで注目を集めた昭恵氏付きの秘書だった谷査恵子氏を動員。谷氏もTwitterで「腰が痛いのに本当に明日田植えに行くのかなあ私」(2016年6月11日)とつぶやいていた。さらに、昭恵氏が2014年に開いた私塾「UZUの学校」でも、Facebookでの同校の講義参加者募集の告知には「公開・主催者:谷査恵子さん」と出てくるほどだった(2015年12月6日開催の第5回講義まで)。また、森友学園の幼稚園でおこなわれた講演会にも2014年12月と2015年9月の2回に秘書を同行させている。
バブル世代丸出しのスキーイベントや趣味の田植えに秘書を同行させるだけではなく、自分が校長の私塾の参加者募集告知といった事務局業務までやらせる──。これは「税金の無駄遣い」どころか完全な私物化であり、昭恵氏の行動をみると「公私」を分けるという概念がそもそもないとしか思えない。