そして、26日からはじまった改ざん作業では、財務省の指示により、真っ先に昭恵夫人や安倍首相の名前が入った箇所がことごとく削除されていく。その作業を強要されたのが、赤木さんだったのである。
そもそも一介の官僚でしかない佐川氏が、自分の国会答弁と辻褄をあわせるために近畿財務局まで巻き込んで公文書を改ざんするよう指示をおこなうことなど現実的にはありえず、もっと大きな力が働いていたことは確実だ。しかも、少なくとも22日の段階で官邸と財務省が昭恵夫人の関与を示す文書が存在することを確認・共有していたこと、真っ先に昭恵夫人や安倍首相の名前を削除されていった事実からも、この公文書の改ざんは安倍首相の「総理を辞める」答弁が引き金となり、安倍官邸が佐川理財局長に指示をしておこなわれたとしか考えられないのだ。
実際、財務省の背後に安倍官邸の存在があることを裏付ける証拠もある。それは、2018年8月に日本共産党が公開した「航空局長と理財局長との意見交換概要」という文書だ。
この概要は、2017年9月7日に、国税庁長官に栄転した佐川氏に代わって理財局長となった太田氏と中村総務課長の財務省コンビと、国交省の蝦名邦晴・航空局長、金井昭彦総務課長(すべて当時)の4名が、会計検査院の検査や国会対応への協力関係を確認し意見交換をおこなった際の発言録だ。
この文書では、太田理財局長と中村総務課長の財務省側は何度も「官邸」という言葉を持ち出し、官邸の意向を気に掛けているのだが、そのなかで、太田・中村側はこんな発言をおこなっている。