習近平国家主席が7年ぶりの訪朝 そのねらいは

 6月8日から9日にかけて北朝鮮を訪問している中国の習近平国家主席。北朝鮮の金正恩総書記の招待によるもので、習主席の訪朝は2019年6月以来7年ぶり、国家主席に就任してから2回目となります。

 今回も「国賓」として訪問している習主席。

出発に先立ち北朝鮮の労働新聞に「両国の関係がさらなる発展を遂げるよう推進していきたい」と寄稿し、関係強化に意欲を示したほか、北朝鮮と歩調を合わせ、アメリカや日本にともに対抗する考えを示しています。

 習主席は5月、アメリカのトランプ大統領やロシアのプーチン大統領を中国に招き相次いで首脳会談を行っています。今回の北朝鮮訪問には一体どのような狙いがあるのか?龍谷大学の李相哲教授が詳しく解説します。

◎李相哲:龍谷大学社会学部教授 中国生まれ 韓国、北朝鮮情勢に詳しい

7年ぶりの訪朝 示したいのは「社会主義国家の団結」?

【中朝首脳会談】習主席の“7年ぶり”訪朝 「関係冷え込み」も...の画像はこちら >>

7年ぶりに北朝鮮を訪問した習近平国家主席。

前回2019年の訪問の際には、金正恩氏が空港で出迎え、2人でオープンカーに乗り、パレードを行ったり、熱烈な歓迎を受けました。

今回も国賓として訪問している習主席は、北朝鮮の労働新聞に「軍国主義の復活をもくろんで、地域の安全と安定を脅かす野望と策動に反対しなければならない」と寄稿しました(聯合ニュース)。

龍谷大学の李相哲教授はこの寄稿文について「“軍国主義の復活”は日本を念頭に置いているのではないか」と指摘。高市総理の台湾有事に関する発言や、日本が武器輸出を緩和したことについて批判を続けてきた中国が、社会主義国家が団結して反対していこうと発信する政治的思惑が大きいと言います。

また、覇権主義や強権政治に反対するともしていて、これらはアメリカを念頭にしていると考えられるということです。

習主席2026年初めての外遊 なぜ北朝鮮に?

【中朝首脳会談】習主席の“7年ぶり”訪朝 「関係冷え込み」も指摘されていた両国…なぜいま接近?龍谷大・李相哲教授「社会主義陣営の団結を強める政治的思惑」「北朝鮮はロシアだけだと経済改善難しい」
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習主席が今年初めての外遊先として北朝鮮を訪問した意味について、李教授は、今年に入って国際情勢が大きく変わったことが背景にあると分析。

ベネズエラのマドゥロ大統領の拘束やイランでの戦闘など、今までの常識が通用しない中で、疎遠になっていた北朝鮮との今一度結束を強め、社会主義陣営の団結を強めようという政治的意味合いがあると話します。

習主席と金氏の関係性は「あまり良くない」?? 関係修復の背景は

【中朝首脳会談】習主席の“7年ぶり”訪朝 「関係冷え込み」も指摘されていた両国…なぜいま接近?龍谷大・李相哲教授「社会主義陣営の団結を強める政治的思惑」「北朝鮮はロシアだけだと経済改善難しい」
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そんな中国と北朝鮮ですが、習主席と金氏の関係はあまり良くないという見方もされています。

中国側は建前上「国連の制裁を厳しく遵守する」という立場をとっていて、北朝鮮は不満をもっているといいます。

2018~19年には頻繁に行われていた首脳会談がその後2025年9月に行われるまで間が空いていたことからも、両者の関係性が見て取れるかもしれません。

過去の中朝首脳会談

・2018年3月 北京
・2018年5月 大連
・2018年6月 北京
・2019年1月 北京
・2019年6月 平壌
・2025年9月 北京

李教授は、これらの日程の多くが、アメリカのトランプ大統領が金氏と会談する前後であることに注目しています。

ロシアと接近も…北朝鮮が中国と「関係修復」なぜ

昔から、北朝鮮にはロシアと中国との間で「二股外交」を展開してきたという面があります。北朝鮮がロシアに近づくと中国は少し焦りを見せる、あるいは北朝鮮が中国に近づくとロシアが危機感を覚える、というように中ロが互いに引っ張り合ってきました。

こうした関係の中でこれまでロシアが北朝鮮に接近してきましたが、北朝鮮としては経済が一向に改善しない。となると「やはり中国だ」と気づいたのではないか、というのが李教授の見立てです。

北朝鮮は貿易の約95%中国に依存していることからもわかるように、ロシアとの協力だけでは経済活動が難しいことが、関係修復の背景としてあるようです。

北朝鮮の非核化の議論 専門家「深まることはない」

【中朝首脳会談】習主席の“7年ぶり”訪朝 「関係冷え込み」も指摘されていた両国…なぜいま接近?龍谷大・李相哲教授「社会主義陣営の団結を強める政治的思惑」「北朝鮮はロシアだけだと経済改善難しい」
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北朝鮮をめぐっては「非核化」も論点となり得ますが、李教授は北朝鮮が核兵器を放棄することはまずありえないと指摘。習主席の訪問に先立ち、金氏の妹・金与正氏が「非核化については誰であろうと話をするつもりはない」とする談話を発表しています。

こうした北朝鮮側の立場について中国側も認識した上での訪問となるため、話は深まらないだろうと李教授は見ています。

(2026年6月8日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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