■「焼け野原の中にテントがポツンとある写真を見つけて、今のやりたいことはこれだなと思って。こういうマインドだったら、前向きになれるなという気持ちで木下サーカスさんにご依頼したら、快く受けていただきました」(片岡健太)

【画像】sumika『Little Crown 2020』の様子

sumikaが9月25日に、バンドとして初となるオンライライブ『Little Crown 2020』を、“世界三大サーカス”と称されている『木下大サーカス』の立川公演会場にて開催した。

「Little Crown」という冠がついたライブは2017年7月以来、約3年ぶり。昨年11月以来、実に10ヵ月ぶりのワンマンライブとなった本公演は、バンドメンバー以外にストリングスやホーン、コーラスなどのサポートメンバーを迎えた総勢15人によるスペシャルで豪華な編成となった。

オープニングは、真っ暗なサーカス小屋の大テントの真ん中で肩を寄せ合うクラウン(ピエロ)の親子の背中からスタート。やがて、楽屋裏でソーシャルディスタンスを保ったまま円陣を組むメンバーが映し出され、ギターを奏でる父親と熱心に本を読む子供クラウンを囲むようにセンターステージへと歩み寄ると、サーカスのショーが幕を開けたかのようにライトが煌々と輝き始めた。そして、ボーカル&ギターの片岡健太が「sumika、始めます!」と宣言し、1stアルバム『Familia』のオープニングナンバー「Answer」で、言葉にできない心の中の想いを歌にして叫んだ。

続く、アニメ『ヲタクに恋は難しい』のオープニングテーマで、“終わらない物語”に焦点を当てた「フィクション」では、「最高!」と声を上げながら、バンド全体が弾むようにプレイし、バンド初期からのファン人気の高いナンバー「ふっかつのじゅもん」では拳も足も上げて大暴れして画面を通して、視聴者に熱気とエネルギーを送った。


最初のMCでは、片岡は春のアリーナツアー全公演の開催が見合わせとなったことに触れ、「正直、暗くなってました。いろんなことにあまり前向きになれなくて」と吐露し、現実から逃避するように様々な映像や本を見漁るなかで、1枚の写真と出会ったことを明かした。

「戦後間もないときに、何もない野原に人力でテントを建てて、その中で芸を磨き、来てる方を満足させる。一歩外に出たら何もない。焼け野原の中にテントがポツンとある写真を見つけて、今のやりたいことはこれだなと思って。こういうマインドだったら、前向きになれるなという気持ちで木下サーカスさんにご依頼したら、快く受けていただきました」と、今回の会場がサーカスのテントになった経緯を説明。


「自分の理想が詰まったライブを具現化するのが『Little Crown 2020』です」と語り、“雨のち晴れのち雨”でも理想と現実を結ぶ決意を込めたTVアニメ『MIX』のオープニングテーマ「イコール」、夜も闇も雨も超えて君を迎えにいくという強い思いが詰まった劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』オープニングテーマ「ファンファーレ」と、初期衝動や青春を想起させる2曲を続けて披露した。

ここで場面は暗転。霧の濃い暗い森を想像させる雰囲気の中で片岡は「何か調子悪いなと思ったとき、それが薬で治せることもあれば、人の言葉や気持ちでしか治せないものもあるんじゃないかと思います。特に今年は」と口にし、ランタンの小さな灯りの中、ピアノの伴奏のみでバラード「ゴーストライター」を切々と歌い上げ、恋人から夫婦になる過程を描いたハッピーエンドのラブソング「エンドロール」は再びバンド編成に。影絵が投影されたテント内にドラマチックな歌声と演奏を響かせ、視聴者の温かい涙と感動を誘った。

ここからは後半戦に突入。
繊細なコーラスワークから始まる豊かなグルーヴのアーバンソウル「Summer Vacation」では、『NHK紅白歌合戦』にも何度も出演しているBambi Nakaが登場。和傘を使ったセクシーなダンスを繰り広げ、映画『ぐらんぶる』主題歌「絶叫セレナーデ」では賑やかなホーンとともに心の中の火を燃やし、大きな花火を打ち上げるように盛り上げ、「MAGIC」では人力のご機嫌な音楽で魔法をかけ、体も心も踊らせた。

そして、最後に「目の前にあることを精一杯やって、汗だくになれる今が幸せです。出会ってくれてありがとうございます」とカメラの向こうにいるオーディエンスに感謝の気持ちを述べ、「明日晴れるさ」を真っすぐに力強く熱唱。“明日は晴れるさ/傘は持っていないから/代わりにこの歌を”というフレーズは同時代に生きているからこそ、胸に響くものがあった。

全11曲を歌い終えたsumikaは両手を上げて「ありがとうございました」と深々と頭を下げ、メンバー同士で顔を見合い、実に充実した晴れやかな表情を見せてテントから姿を消した。
その後、クラウンが「本日の公演は、以上をもちましてすべて終了となります」というアナウンスが書かれたスケッチブックを画面に見せたが、片岡が笑顔で取り上げ、「伝え忘れたことがあった。明日、雨だったらやめんのか? っていう問いですね。やめるわけないだろうが! 雨が降ってもさ、槍が降ってもさ、俺たちは続けていくからさ。絶対にさ! 必ず!」と絶叫。最初期から節目では必ず歌ってきたロックナンバー「雨天決行」で始まりの合図を激しく鳴らし、「本当に元気でいてね。元気でいればまた会えます」と再会の約束をし、名残惜しそうにテントをあとにした。


エンデイングでは、1冊の本を読み終え、「The Story End」という最後のページをじっと見つめる子供のクラウンの姿に続き、「The Story Never End」と書かれた新しい本を手渡す片岡の姿があった。明日が雨であっても、この曇り空がしばらく続くとしても、sumikaの物語は決して終わることはない。それこそが本公演における彼らからの最大のメッセージだろう。

なお、本公演の視聴チケットは9月27日12時まで購入可能となっており、この日の模様は、公演終了後見逃し配信公開から9月27日23時59分まで見逃し配信期間として視聴することができる(※見逃し配信公開までは、しばらくお時間をいただく場合がございます)。

また、本日9月26日18時から、バンドのオフィシャルYouTubeチャンネルにて、「sumika Online Live「Little Crown」AfterTalk」なるタイトルで配信を行うことが決定。

先日、片岡健太がインスタライブ行い、メンバーの小川貴之(key、vo)が飛び入り参加、その中で話題にあがった企画となり、『Little Crown 2020』をメンバー4人で振り返る内容となる。
こちらも要チェックだ。

PHOTO BY
後藤壮太郎(ライブ写真)

■『sumika Online Live「Little Crown 2020』
2020年9月25日(金)木下大サーカス 立川公演会場
<セットリスト>
01. Answer
02. フィクション
03. ふっかつのじゅもん
04. イコール
05. ファンファーレ
06. ゴーストライター
07. エンドロール
08. Summer Vacation
09. 絶叫セレナーデ
10. MAGIC
11. 明日晴れるさ
[ENCORE]
12. 雨天決行

リリース情報
2020.08.07 ON SALE
DIGITAL SINGLE「唯風と太陽」

番組配信情報
『sumika Online Live「Little Crown」AfterTalk』
09/26(土)18:00~
sumika オフィシャルYouTubeチャンネルにて配信

見逃し配信の視聴チケットはこちらから
https://sumika-atticroom.com/s/live050/?ima=0717

sumika オフィシャルYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/sumikainc 

sumika OFFICIAL WEBSITE
http://www.sumika-official.com/