次回で最終句となる、M!LK吉田仁人による連載『吉田仁人のごーしちごー』特別編。ここまで自身の好きな音楽について語ってきた吉田仁人と、連載を始めるにあたって意識したこと、そして表現者として活躍する彼の現在の心境を聞いた。


【画像】吉田仁人 撮り下ろし

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【吉田仁人のごーしちごー】
第十一句 吉田仁人の想いを聞く

感銘を受けたアーティスト・楽曲・ライブ……M!LKのリーダーである、吉田仁人が“惹かれる音楽”について、自身の言葉で綴っていく。

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■癒しや漂いたいっていうのが根底にある欲求なのかもしれません

吉田仁人 インタビュー始める前に、余談いいですか?

──どうぞ!

吉田 以前、ザ・クロマニヨンズ甲本ヒロトさんと菅田将暉さんが対談する番組(2020年11月放送『まつもtoなかい ~マッチングな夜~』)で“歌詞を聴きすぎている”ってことを話題にされていたんですけど、たしかになって僕自身もすごく腑に落ちまして。僕が音楽に求めているのも、“踊れるかどうか”っていうのが強いんですよ。その次に歌声。最初にビビッときた曲がそのまま好きな曲になっていることが多いんです。で、このインタビューの後に公開する最終句に“ノれるな・踊れるな”から好きになったDinoJr.さんの「Tokyo City」を選びました……っていうのを余談として話させてもらいました(笑)。


──なるほど。それを踏まえて、ぜひ最終句を読んでもらいたいですね。この『吉田仁人のごーしちごー』を通じて、仁人さんには様々な楽曲を紹介してもらいました。

吉田 余談でも言ったように僕が音楽に求めているのは直感的に良い! と思った曲ばかりなので、“踊れるかどうか”に加えて、その曲を聴くと別の世界に連れて行ってくれるような、現実逃避できる曲が好きですね。元来ある、いち個人の趣向としては癒しや漂いたいっていうのが根底にある欲求なのかもしれません。なので、み!るきーず(M!LKのファンの通称)からこの連載がどう見えていたのかなって、不安に思うこともありましたが、「これが吉田仁人です」っていうのを知ってもらいたくて素直にありのままを出しました。
音楽を紹介する相手って、だいたい友達にフランクに話すじゃないですか。そういう意味でも素の僕に近かったですね。「この音楽、聴いてみてよ」って照れくささもありつつ、やってみてすごく楽しかったです。プライベート感ハンパないなって(笑)。

■良いと思ったもの・発信したものをちゃんと評価されたい

──最初は伝え方にも悩まれたそうで。

吉田 コラムって「だ」「である」という書き方が一般的なのかなって僕の中でイメージがあったんですけど、それは(自分がやるコラムとしては)違うんじゃないかって思ったんですよ。
それこそ、友達になら砕けた感じの言い方が伝わりやすいかな? って、できるだけ自然な僕のしゃべり言葉で書こうと決めました。書くにつれて、どんどんラフになりすぎたかもしれませんが(笑)。

──適度な“ゆるさ”が仁人さんというキャラクターをわかりやすく表していましたし、「あぁだから好きなんだな」という楽曲への想いもすっと入ってくる文章でしたよ。

吉田 昔からずっと本を読むのが好きで、自分の言葉を形にしたいなって想いはあったので、そう言ってもらえてほっとしました。ただ、披露するほどの自信はなかったので……最初は本っっっ当にドキドキしましたよ! 書くことに正解はないけど、受け取り手によっては「ん?」って感じてしまうのかなーとか。

──好きだからこそ、ちゃんと相手にその曲の良さを伝えたいですしね。
その仁人さんの必死さは熱意として、ちゃんと言葉になっていたと思います。

吉田 ありがとうございます。これは僕のいち意見なんですけど……こうやって別の分野(=コラムを書くこと)に足を踏み入れる時は普段よりも緊張すると言いますか、ハードルが上がると思うんですよね。本業の方もいるわけで。自分が良いと思ったもの・発信したものをちゃんとまわりに評価されたいって思うから、ナメられないように……じゃないけど(笑)、僕なりの意志を持たないといけないなと、自分自身を律する感覚はありました。今後は知識や技術を学んで説得力もつけていきたいです!

──仁人さんの中にある、一種のハングリー精神がそうさせるのですか?

吉田 う~ん……ずっと“悔しさ”はありますね。
同世代を見渡すだけでも、前回紹介したNORTHさんもそうだし、M!LKの新曲「energy」を提供してくれたさなりくんやVaundy……「やってんな、おい!」っていう(笑)、振り切った活動してるなぁ~って。でも、そんな圧倒的な劣等感が僕の原動力でもあるんです。正直、すごく苦しいし、(そんな悔しさから)逃げたいんですけど、亡霊レベルで悔しさがついてくるから、向き合わないといけない。ただ、結果的に向き合ってきた悔しさのぶんだけやってきた努力は経験値になっていますからね。しんどいですけど……いつまでも悔しいって思える人間ではありたいです。

■つらいことがあったとしてもそれすらも楽しいと思える環境

──大人になりましたね。
最初にお会いした頃(シングル「反抗期アバンチュール」)は「ワックスで髪をセットできるようになった!」とメンバーに対して謎マウントをとっていた、あのリーダーが!(笑)

吉田 それ、ひどい話ですね(笑)。そんな僕たちもいろんな経験を積んで、「energy」で“攻めの姿勢”を見せられるまでになりました。似合わないことをやっても様にならないから、こういう雰囲気の楽曲が似合う年齢になってきたのかなって感慨深さもあります。

──あと、その時々の“今”を一生懸命に突き進んでいるM!LKだからこそ、どんな挑戦も自分のものにできているんでしょうね。それに仁人さんはよく柔和な表情を見せるようになりましたよね。以前はもっと「しっかりしなきゃ!」という、お兄さんモードだったなと。

吉田 今まではM!LKとして生き残ることに必死だったんですけど、だんだんその飢餓は落ち着いてきたので、だったらこのM!LKというグループを全力で楽しみたくて。今は、つらいことがあったとしてもそれすらも楽しいと思える環境なんですよ。各々それぞれの活動をしていても、M!LKに帰ってきたら「やっぱり5人だね!」って思えるし。最近、(塩崎)大智が演出や衣装で入って、今までのM!LKからまた少し変わってはきていますが、それって生き続けるために必要な変化だと思うんですね。好きなことを全員がやれていたら、それがいちばんだなって思います。あと、「楽しそうだからこれやろうよ!」って、いつまでもワイワイ騒げるグループでいたいですね。まわりから見ても、「M!LKはずっと楽しそうだね」って言ってもらえるような、楽しむことを忘れたくはないです。

──いつまでも“楽しい”を続けるために、攻めていきたいと?

吉田 そうですね。まだイスに深くドカッと座れるほど何かを成し遂げたわけでもないので、楽しみながらも攻めてはいきたいです。そのためにも、僕自身まだまだ経験値不足だし、それ以外にも足りないことばかりだから、もっと貪欲に吸収していきたくて、まだまだ書きたいこともあって。急に寂しくなりますが、こうやって音楽を紹介できて良かったです。

INTERVIEW & TEXT BY ジャガー
PHOTO BY 冨田 望

★『吉田仁人のごーしちごー』最終句へ続く[2021.03.31.17:00公開]

【プロフィール】
ミルク/佐野勇斗、塩崎太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人。スターダストプロモーションに所属する5人組ボーカルダンスユニット。

【リリース情報】
2021.03.24 ON SALE
SINGLE「energy」

※塩崎の「崎」はたつさきが正式表記です。