震災から8年半、亡き祖母を思い 岩手県山田町に常設の「山田湾ベーカリー」開店

記事まとめ

  • 東日本大震災で祖母を亡くした堂田祐輔さんが、岩手県に常設の手作りパン店を開業。
  • 「あんパンを食べさせたかった」と祖母をしのんだ。
  • 同県産小麦と、石割桜の花から採取した天然酵母を使った手作りパンが自慢だという。

震災8年半「おばあちゃんに食べさせたかった」 28歳「山田湾ベーカリー」開店

震災8年半「おばあちゃんに食べさせたかった」 28歳「山田湾ベーカリー」開店
新店舗で客の友人と笑顔で話す堂田祐輔さん(中央)=岩手県山田町中央町で

 東日本大震災で祖母を亡くした岩手県山田町大沢の堂田祐輔さん(28)が11日、同町中央町に常設の手作りパン店「山田湾ベーカリー」を開業した。「あんパンを食べさせたかった」。おばあちゃん子でもあった堂田さんはパン好きだった祖母を、そう言ってしのんだ。

 店舗は100平方メートルほどの平屋建て。これまで営業していた同町大沢の仮設店舗を閉じて、国道45号沿いに移転した。売り場や工房のほか、椅子を並べて食べられるコーナーも設置。食パンやフランスパンをはじめ、ショコラブレッドなど、この日は30種類以上のパンを焼いて並べた。県産小麦「ゆきちから」と、石割桜(盛岡市)の花から採取した天然酵母を使った手作りパンが自慢だ。

 この日は雨にもかかわらず、午前9時半過ぎには客が相次いで訪れた。友人や近所の人たちから「おめでとう。念願かなったね」と祝福の言葉を掛けられ、笑顔が広がった。

 震災で祖母の良子さん(当時79歳)は津波にさらわれた。入居していた町内の介護施設からバスで避難する途中だった。戦時中、町内にあった水上飛行機の基地で整備兵として任務にあたり、終戦後も山田に残った北海道出身の夫(故人)と結婚。孫の堂田さんが生まれてからは、地方銀行に勤める娘の良恵さん(51)と共に、懸命に育てた。耳が不自由で会話もたどたどしい堂田さんを温かく見守った。

 堂田さんは震災当日に盛岡の専門学校を卒業し、東京などで2年余の修業を経て、町内に建てられた仮設店舗でパン店を経営してきた。開業は祖母の月命日を特に意識したわけではないが、「ここまで導いてくれた」と感謝の気持ちを忘れない。

 「おばあちゃんはあんパンやジャムパンをいつも口にしていた。常設店舗が持てた今日の晴れ姿を見てほしかった」。眼鏡が一瞬、曇った。【鬼山親芳】

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