日々の子育てのなかで、わが子がなんだかいつもより元気がない…。ちょっとした弱音を吐露する…。
そんなとき、その状況をなんとかしてやりたい! と思うのが親心。しかし親の対応の仕方次第では、だんだん子どもが自分の気持ちを話さなくなってしまうそうです。そうなりやすい親の特徴とは? そこで、『一人でできる子になる テキトー母さん流子育てのコツ』の著者・立石美津子さんにお話しを伺いました。

「お子さんがいつもより元気がなかったり、学校であったつらい出来事を吐露したりすると、親御さんとしては当然、その原因や状況を把握して一刻も早く解決してやりたい、取り除いてやりたいと思いますよね? しかし、その対応の仕方によっては、本音を聞き出す前に子どもが心を閉ざしてしまうこともありますので注意が必要です」(立石さん 以下同)

“子どもがだんだん気持ちを話さなくなりやすい親”には、以下のようなタイプがあるという。

●根掘り葉掘り問い詰める

「子どもがなんとなく浮かない顔をしていると、もちろん心配になりますね。SOSを見逃さないことは大事です。
しかし、一方的に『どこか悪いの?』『何かあったの?』『誰かにいじめられてるの?』と、矢継ぎ早に追求されると、子どもは言い出しにくくなってしまいます。また、成長してくれば、子どもなりに“親に心配かけたくない”“恥ずかしい”“弱みをみせたくない”思いも芽生えてきます。親は過剰な反応をしないようにしましょう」

●スーパーマンになってエキサイトする

「すぐに解決してやらなきゃ! と、エキサイトする親御さんも要注意です。“今日、学校で〇〇に意地悪された~”とちょっと学校であったモヤモヤした出来事を子どもが話したとき、『まあ、なんて子なの! 〇〇くんのママに私から電話して叱ってもらうわ』『明日、先生に言ってあげる!』と、まだ事の詳細も把握していないうちに暴走してしまう人。そうすると、子どもは“お母さんに言うと、相手の家に乗り込んでいくのでは?”と恐れ、言わなくなってしまいます。子どもは、信頼できる親にただ気持ちを聞いてもらってスッキリしたいだけなのかもしれませんので、そこは冷静になって見極めましょう」

●ダメ出しする熱血タイプ

「お子さんが弱い部分を親に見せたとき、つい勇気付けようと“ダメ出し”していませんか? 例えば、『今日、〇〇にイヤな事言われて泣いちゃった』と、言ったわが子に『そんなことでいちいちメソメソして。
弱虫ね。もっと強くなりなさい!』と。これでは、親は応援しているようで、なんだかいじめっ子と同じ状態ですね。ダメ出しばかりしていると、子どもは『どうせまた言っても、かえって叱られる…』となり、いざというときも親にSOSを出せなくなってしまうので、気を付けましょう」

では、子どもの様子が気になったときに、上手に気持ちを引き出す方法とは?

「早く聞き出したい気持ちはとてもよくわかりますが、そこはグッとおさえて“話しやすい雰囲気づくり”をしましょう。いつもと様子が違うなぁと思ったら、“最近、学校はどう?”と、砂糖がいつもより多めに入った温かいミルクティーでもテーブルに出してやり、自然に聞く体制を作って淡々と聞くのです。決して追求するのではなく、受け止める場づくりです。
そうると、ポツポツと話し始めたりします」

その後、“今日、学校で〇〇に意地悪された”など、気持ちを吐露しはじめたら…。

「決してそこで追求するのではなく、『そうなんだ、意地悪されたんだね…』『それはつらかったね…』と、寄り添って共感してやりましょう。もしかしたら、回答を欲しがっているわけではなく、共に気持ちを感じてほしいだけかもしれません。もちろん、本当にひどいいじめがあったなどの場合も、寄り添って聞く親であれば、子どもはSOSを出して助けを求めやすくなるのです」

一番頼りたい親だからこそ、いつでも子どもが安心して駆け込める場所であるように心掛けたいものですね。
(構成・文/横田裕美子)