岡部遼太郎(ITライター)

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本誌で何度か紹介しているコンサルティング・ファーム、株式会社スタイル・エッジ。士業や医業を主なクライアントとすることで注目を集めている会社である。
士業・医業といえば、営業をしない、売り込まない・・・という印象が強い。顧客の方から「先生」にお伺いをたてる、といった印象が強いかもしれない。

一方で、病院の倒産件数は年々増加している。法律事務所とて、例外ではない。SNSや口コミサイトの普及により、消費者の目も耳も口も肥え、相当なレベルの情報が容易に入手できる環境が整っている。

つまり、士業・医業といった分野ですら、消費者に選ばれる時代になっているのだ。もちろん、競争も激化している。特に自由診療の分野に顕著だが、予約が1ヶ月先も取れないクリニックもあれば、そうではないクリニックもある。クライアント探しに苦戦する弁護士がいると思えば、テレビCMやWEBサイトなど様々なマーケティングを駆使する法律事務所もある・・・それが今の現実だ。

一方で、「弁護士や医師といった高度な専門性を持つエリート集団に、なぜ経営コンサルティングが必要なのか?」と思う人も多いかもしれない。筆者もそんな素朴な疑問を持っていた一人だった。そもそも最難関の国家試験を突破している専門家の「先生がた」に、アドバイスなどできるのか。
ようはそんな偏見を持っていたわけだ。

しかし、士業・医業に特化した経営コンサルティング・ファームという特殊な専門性を有するスタイル・エッジ社の働き方を観察してみると、そこには実に見事な連携が存在していることに気づかされた。いわば、異なる専門性を掛け合わせることで、クライアントと共有した目的を達成するために高度なシナジー効果を発揮する、そんな仕事方法であったからだ。

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(写真:取材に対応いただいた株式会社スタイル・エッジのオフィス)

例えば、同社はコンサルティング・ファームとして取り組んでいる対象が、「クライアントの売上アップ」や「業務効率化」などではない、という点が同社のスタンスをよく表している。士業・医業の根本の目的は、顧客が抱える「悩みの解決」である。そして、そういった顧客の多くは、士業・医業で解決を求める悩みだけではなく、情報格差などにも取り残されているケースは少なくない。

そういった重層的かつ複合的な悩みを、士業・医業のクライアントと同社が連携することで、解決や救済を目指す。そのための「社会インフラの構築」を同社の仕事の目的に設定しているというのだ。この視点はなかなか魅力的だ。士業・医業は意外とIT化やDXには疎い。FAXがまだ現役で活躍している現場すらある。このように予想外な現実がある。
専門分野で一流でも、それ以外の部分までもが一流とは限らないのだ。

<病院や法律事務所も倒産する現実、横たわる「情報の非対称性」>

近年、士業や医業を取り巻く競争社会の現実は過酷だ。病院の倒産件数が記録を更新し、資格さえ取れば安泰という時代はとうの昔に終わっている。その一方で、専門家たちは「実力があれば顧客は来る」と思いがちで、ブランディングやマーケティングを嫌がる傾向すらあるという。その結果、専門的な実力がありながらも、経営・売上が伴っていない事例が山のようにある。

そいった現実を踏まえた上で、「専門家だからこそ抱える課題」に対し、スタイル・エッジは「インフラ」「マーケティング」「システム」「コンサルティング」の4つの事業を包括的に提供し、プロフェッショナルを裏側から支えていることに特化している。

同社の代表取締役社長である島田雄左氏は次のように力説する。

“弁護士や医師は膨大な専門知識を持っていますが、一般の消費者はネットの断片的な情報しか持っていません。この圧倒的な知識格差のために、消費者は「どこに相談すればいいか分からない」「高額な追加料金を取られないか不安」といった悩みを抱え込んでいます。このギャップを埋めることこそが私たちスタイル・エッジの使命だと考えています”(島田雄左氏)

島田氏はこの知識格差を「情報の非対称性」と呼んでいる。いわば「情報の非対称性」の克服こそ、同社の使命というわけだ。

<「情報が届くように適切な広告を作る」ということ>

「情報の非対称性」を打ち破るために必要なこと。
そのひとつが島田氏は「広告」であると主張する。広告といえば、企業の利益を追求するための「売り込み」ツールというイメージが強い。しかし、島田氏によれば、借金問題や交通事故、美容医療などの分野において、広告は「知らないことで損をしている人」を救うための手段だという。広告というメディアを通じて「こういう解決策がある」「ここに相談すればいい」と伝えること、つまり広告の持つ教育効果、啓蒙機能は、一種の「社会的なセーフティネット」への入り口として役立っているという考え方だ。

一方で、士業・医業の世界は広告規制が厳しく、他院や他事務所との差別化は難しい。一部で誇大広告や不適切な集客手法が社会問題にもなっている。島田氏によれば、そういった業界全体の暗部こそ、解決をしなければならない課題であるという。つまり、自ら率先して、自浄作用を働かせ、イメージ回復に努めなければならないという立ち位置だ。

そのために、スタイル・エッジ社は「情報が届くように適切な広告をつくる」ことこそが企業としての使命であると明確に宣言している。

広告リリースの際は、社内外の複数段階にわたる厳格な審査体制を敷くことは言うまでもなく、啓蒙コンテンツの配信などの活動にも多大なエネルギーを割いている。「債務整理に関する意識調査」や「美容クリニックに関する調査」のような社会調査も自主活動として実施し、業界の健全化にも積極的に取り組んでいる。

<「全員20代のAI戦略室」が見据える、人間とAIの共創>

同社は最先端の技術や知見の導入などには高度な実装力を有していることでも知られる。
例えば、最近でいえば、2025年7月に20代の社員だけで構成された「AI戦略室」を新設。独自の「AIサーベイBOT」を用いた全社員のAI利用実態を精緻に把握や、個々のポテンシャルに合わせた戦略を構築などを担っている(https://mediagong.jp/?p=34246)。

同戦略室のAI実装力は、士業・医業という極めてアナログな現場が抱える「暗黙知の形式知化」という難題の解決へも直結している。ベテランスタッフの経験則に依存していた情報をAIに読み込ませて構造化し、コールセンターの通話を約10秒で要約するツールや、弁護士面談のヒアリング内容から瞬時に契約書のドラフトを自動生成するシステムなどだ。

こういったAI導入によって、士業・医業はどうかわるのか。島田氏によれば、「AIが人間に取って代われないこと、すなわち最終的な責任を負うことや、顧客と信頼関係を築くことに人間のエネルギーとリソースが裂けるようになる」という。島田氏の理想が実現すれば、士業・医業が本来担うべき業務に全力投球できる環境が実現することになる。

<悩む人の明日をひらく、真のコンサルティング>

スタイル・エッジ社のさまざまな媒体には、「悩む人の明日をひらく。」という社是、企業理念が必ず掲載されている。これは言い換えれば、コンサルティングとは、単にクライアントを儲けさせるための技術ではない、ということなのだという。専門家のポテンシャルをテクノロジーの力で最大化することで、支援を必要としている人々が安心して解決策にアクセスできる世界を創り上げる。島田氏は、これこそが「コンサルティングの本質」なのだという。

士業・医業に特化したコンサルティング・ファームは現在のコンサル業界ではまだその認知は高いとは言えない。
一方で、士業・医業が私たちの生活の中に急速に浸透している今日、その市場の拡大とは逆行するように、過当競争も激化している。つまり、支援を求める士業・医業も急増しているというわけだ。

士業・医業の支援は、それらを必要とする消費者の救済にも直結する。なるほど、士業・医業に特化したコンサルティング・ファームとは「プロフェッショナルを支援するプロフェッショナル」だ。そういった専門性において、高いニーズと可能性があるということをあらためて痛感した。
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