経歴1994年~1996年 高校卒業後、複数のアルバイトを経験 1996年~2017年 介護系企業へ就職し、老健やデイサービスで勤務 2017年7月 株式会社Care Nationへ入社 長所 何事にも柔軟に対応できる短所 始動までに時間がかかる趣味 映画鑑賞特技 車の運転

金島正典さんのLIFE STORY

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「楽しそう」からはじまった介護士のキャリア

これまでのご経歴を聞かせてください。

高校卒業後しばらくは、フリーターとしていくつか職場を掛け持ちして働いていました。お弁当屋さんや警備員などいろんな仕事をしていましたが、成人式を迎えたのを機に、そろそろ定職に就かなければいけないなと思って。

そんなとき、ハローワークでふと目に留まったのが介護の求人でした。

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当時(1990年代)は介護保険制度もスタートしておらず、介護職自体がさほどメジャーではなかった時代です。どうして興味を持ったのですか?

求人票に貼られていた写真が、車椅子に乗ったお年寄りと介護スタッフが笑顔でおしゃべりしている様子を写したものでした。それを見て「介護の仕事って楽しそう」と感じたのが一番のきっかけです。

写真1枚に惹かれてごく軽い気持ちで介護士として入社し、気がつけば介護業界でのキャリアは20年以上になります。最初に就職した会社に長く勤め、現在の職場である株式会社Care Nationへ転職してきたのは2017年です。

大ベテランですね!これまでどのような介護サービスに携わってきたのですか?

就職して最初の数年間だけ、介護老人保健施設(老健)で勤務しました。その後はデイサービス事業所に異動し、2社目の今も宿泊付きデイサービスを担当していますから、キャリアのほとんどを通所介護の世界で過ごしていることになります。

  Before After 雇用形態 正社員 正社員 業種 デイサービス 宿泊付きデイサービス 職種 管理者兼介護士 管理者兼介護士 勤務時間 8:45~17:45 7:00~16:00、8:00~17:00 休日 週休2日(日、不定期) 月8日のシフト制 仕事内容 管理業務、介護業務 管理業務、介護業務

介護の仕事をはじめた当初のお話を聞かせてください。

僕がこの業界に入った頃は、介護士というと“福祉系の学校を卒業した人が就く職業”という感覚が一般的でした。現場には若い同世代も多かったものの、入社当初から専門知識・技術を持っている人たちがほとんど。介護用語すら分からない僕は、少しイレギュラーな存在でした。

それまで家族以外の高齢者と接する機会すらなかったため、利用者さまへの応対面でも頼りにならないし、入浴や排泄介助では相手の体にどう触れていいのかとオロオロするばかり。

そんな様子だったので、指導してくれる先輩方も困っていたんじゃないですかね。

どのようにして苦労を乗り越えてきたのでしょうか?

技術に関しては、外部研修へ参加する機会などをもらい、徐々に身につけていきました。当時は3年働けば介護福祉士の受験資格が得られたため、まず最初はそこを目指そうと。一つひとつスモールステップを達成しながら、前に進んできたように思います。

仕事をはじめてすぐの頃、レクリエーションで利用者さまと一緒に「輪投げ」をする機会があったんです。こんな風に楽しくゲームしながらお給料がもらえるなんてスゴイ!と衝撃を受けてしまって(笑)。介護の現場って楽しいな、面白いなと感じたこのときの体験が、今でも自分の中には原風景として残り続けています。

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取材写真2

介護の世界で自分をさらに成長させたいと転職を決断

長いキャリアの中で、異業種に目を向けたいと考えることはありませんでしたか?

何度もありますよ!その中でも、本当に辞める間際までいったのが老健で勤務をはじめて6年目の、20代後半の頃です。介護の仕事に対して「慣れ」が出てきたんでしょうね。ほかの世界も見てみたいと思うようになり、実際に他社の面接も受けました。最終的に製造小売業の会社から内定が出て、職場には退職届も出したんです。

でも、あとは最終勤務日を待つだけといったときに、当時の社長から「デイサービス事業所を新しく立ち上げようと思っている。力を貸してくれないか?」と誘われて…。新規事業への参画というのがすごく魅力的に感じたので、退職は撤回することにしました。

周りのスタッフへは「今までありがとう」と挨拶まで済ませていたため、かなり気まずかったんですけど(苦笑)。

数年後には2つ目の事業所開設の責任者となったり、複数の事業所のマネジメントを任されるようになったりと、僕の気持ちが退職に傾くたびに社長から新しいチャレンジを用意されては思い留まるの繰り返し。結果、気づいたら月日が経ってしまっていたという感じです。

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取材写真3

次々と壁をクリアしながらいきいきと働かれていたように思いますが、退職に踏み切ったのはなぜですか?

長く働いていたこともあり、気心の知れたスタッフも多く、社内での居心地は良かったです。あのまま働き続けていたとしても、それなりに楽しく過ごせていただろうとは思います。

けれど一方で、それが「ぬるま湯」のように感じられました。早い段階で管理者になったものの、社内にそれより上の役職が存在しなかったのも大きいですね。仕事を頑張るモチベーションや目標が見出せなくなって。

このまま組織にいたところで、人間として何か成長できることはあるだろうか?という自問自答を重ねた結果、40歳を過ぎたタイミングが最後のチャンスかもしれないと転職を決断するに至りました。

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モチベーショングラフ

異業種ではなく、また介護の世界を選んだ理由は?

車の運転が好きなので、配送業なども検討しました。けれどどうしても介護の仕事に目が向いてしまうんです。やっぱり僕はケアの現場が好きなんですよ。

転職先を株式会社Care Nationに決めたのはなぜですか?

「宿泊付きデイサービス」という、今まで経験したことのない業態での在宅支援に魅力を感じたのが大きな理由です。また、面接時に、現場主体で柔軟に事業所をつくっていってほしいと言ってもらえたのも決め手になりました。以前の職場は典型的なトップダウンの社風で、そこに常々ジレンマを抱えていた僕にとっては最高にワクワクする言葉でした。

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取材写真4

「日中だけ」「宿泊付き」 それぞれのデイサービスのちがい

現在の所属先である「ブルーミングケア神戸西」はどのような施設ですか?

当事業所では、日中のデイサービスの延長でそのまま宿泊していただくことができます。世の中では「お泊まりデイサービス」とも呼ばれていますね。

一般的なデイサービスだと17時終了がほとんどですが、うちは19時までの延長利用も可能。延長のデイ利用者さまが帰宅した後は、宿泊利用の方がそのまま事業所に残ってお泊まりされます。日中デイが22名、宿泊は9名定員です。

デイで提供している介護サービスは、脳トレや体操といったレクリエーションのほか、入浴介助を行っています。お一人ずつ順番に浴室を利用いただくスタイルなので、落ち着いてお風呂に入れると好評です。

金島さんの業務内容のことも教えてください。

管理者業務と合わせてご家族との直接的なかかわりを持つための送迎業務や日中のケア業務をしながら、事業所にかかわることに総合的に従事してます。前職で事業所運営の業務は散々手がけたため、転職を機に現場でのびのび働こうと思っていたのに、結果的にまた管理側の立場になってしまって…(苦笑)。

今の業務比率はマネジメント関連が6割、ケア業務4割くらいの割合です。

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転職前後のスケジュール

日中デイのみだった以前の職場から宿泊サービス付き事業所に転職してみて、働き方に変化はありましたか?

以前は週1日の休業日に加えて、夜間は完全にオフモードで過ごせていました。そのため、宿泊付きに転職した当初は気持ちの切り替えに苦労しましたね。不測のトラブルに備えて、夜はお酒は控えようかなとか休日も遠出はやめておこうとか、先回りの心配ばかりでなかなか気が休まらないことも当時はゼロではありませんでした。

しっかりした夜勤スタッフもいるので今は安心して任せることができていますが、24時間体制のサービス提供というスタイルに慣れるまでは少し時間がかかりました。

利用者さまとの関わりにおいては何か相違はありますか?

昼間のデイだけなら、来所を心待ちにされている方は多いものの、宿泊となると少し事情が異なります。「お泊まりが楽しみ!」とポジティブな気持ちで宿泊をご利用される方って、実はかなり少数派。夜は慣れ親しんだ我が家でゆっくり過ごしたいというのが、ご高齢の皆さんの本音なんですね。

けれど、同居家族の介護ストレスなど、それぞれが何かしらの事情があって宿泊サービスを利用されています。だからこそ私たちは、利用者さまに寄り添い、できる限り柔軟に対応していきたいです。皆さんにとって居心地の良い施設でなければいけないという信念が、より一層強くなりました。

気持ちよく宿泊していただくためには、ご家族との連携も重要ですね。

そうですね。送り出す側とも協力して、本人の背中をうまく押してあげる工夫が必要です。以前の事業所時代よりも、ご家族とやり取りする機会は格段に増えました。

我々のようなお泊まりデイは、入居施設と在宅介護の中間的な存在といえます。例えば、平日はお世話をするのは難しいけれど、週末だけでも自宅で過ごさせてあげたいといったご家庭はたくさんありますから。

そういった方々の受け皿として機能を果たせているという自負は、仕事のやりがいにもつながっています。

デイのお仕事で難しいこと・楽しいと感じることはどんなことですか?

デイといえばレクですが、趣味嗜好が十人十色の集団を相手にするわけなので、全員に毎回100%満足していただくというのは何年経験を積んでも難しいと感じます。同時に、たとえ1%でもそのギャップを埋めていこうとスタッフみんなで試行錯誤する工程こそが、この仕事の面白さでもあります。

また、長年通所されていた方がお亡くなりになった後、ご家族から「母はこちらに来るのをいつも楽しみにしていました」といった感謝の言葉をいただくことがあるんですよ。デイをやってて良かったなとしみじみ感じる瞬間です。難しいからこそ、報われたときの喜びはひとしおです。

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取材写真6

変化を楽しむ心の余裕が、介護転職成功のカギ

金島さんのこれまでの長いキャリアが活かされていると思う点は?

人とのつながりでしょうか。「ブルーミングケア神戸西」は、以前働いていた事業所と同じエリア内に立地しています。こちらに転職を決めた理由のひとつでもありますが、今まで培ってきた、地域の福祉専門職との横のつながりを最大限活かしたいと考えています。

ケアマネさんへの営業活動といった実利的な面でももちろん役に立っていますし、同じ介護士たちへ働きやすい環境を提供できればという想いがあります。介護の仕事は好きだけど、職場の理念や人間関係が合わなくて辞めてしまう人は大勢いますよね。僕はそれがもったいなくて仕方ない。そんな人たちが「ブルーミングケアでなら楽しく働ける!」と笑顔になってくれれば良いなと思っています。

実際に、以前からのつながりで何人かがうちで働いてくれています。

スタッフ数が足りずにピンチだった時期も彼らのおかげで乗り越えることができたし、感慨深いものがあります。

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取材写真7

人手不足が課題の介護の世界にとって、金島さんの持つ人脈は大きな強みですね。

介護業界は30代40代でも若いといわれる世界です。それは当事業所も例外ではなく、次世代が育っていないことへ大きな危機感を覚えています。介護職への根強いネガティブイメージが主な原因でしょうが、福祉業界全体が線ではなく点で動いているのもいけません。

なんとか業界全体を盛り上げて、若い人たちに介護職の魅力を知ってもらいたい。ずっとそんなことを考えているもんだから、立ち寄ったファミレスやコンビニで親切な応対のスタッフさんを見かけると、思わず「介護の仕事やってみない?」なんてスカウトしたくなってしまいます(笑)。

(笑)それは新しい求人活動!

不審者だと思われるから実際には声なんて掛けれないんですけどね(苦笑)。

ただ、気軽にチャレンジできる仕事の選択肢の中に介護職も加えてほしいなと。未経験でも無資格でもウェルカムです。

誰しも未知の世界へ足を踏み入れるのは不安や恐れを感じるでしょうが、むしろ迎え入れる僕たちの方が緊張してるから安心してください。だって、最初の勤め先となる、うちの事業所がすべての判断基準になるわけでしょう?そんな新人さんへ「やっぱり介護士はキツイな」と思わせてしまったら、将来の福祉人材の1人を永遠に失うことにつながります。これはめちゃくちゃプレッシャーですよ。

長く介護の世界を見つめてきた金島さんならではの、視野の広いご意見です。では、今後の目標について教えてください。

僕は、Care Nationという会社をブランド化したいと思っています。

うちで働くスタッフたちが「ブルーミングケアで経験があるのなら間違いない」と評価されるような、一流のケア集団として世間から認知してもらうことが大きな目標です。実現には時間がかかるかもしれませんが、一歩一歩着実に歩みを進めていきたいですね。

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取材写真8

プライベートでの夢もぜひ。

2人の子どもが成人したこともあって、これからは自分の人生を楽しみたいという気持ちはあります。今までやれなかったことにどんどん挑戦してみたいです。

東日本大震災のとき、被災地の介護施設で福祉職のボランティアを募集していました。当時は勤務先の事情で参加は叶わなかったものの、僕もお手伝いに行きたかったという後悔が残っています。もし今後同じような機会があれば、なんとかして駆けつけたいと思います。

最後に、介護転職を目指す人へエールをお願いします!

資格取得などを通してキャリアアップが望めますから、向上心がある人こそやりがいを感じられると思います。また、社会的ニーズが高く、たとえばコロナのような外的要因で業績が下がるような仕事ではありません。安定志向の方にもおすすめです。

そして何より伝えたいのは、介護職は明るさに満ちた仕事だということ。「大変そう」といったイメージとは裏腹に、楽しいことの方が多いんじゃないかというくらいです。ぜひあなたも一緒に働きましょう!

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取材写真9

撮影:スタジオフィルムズ 石居結衣

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