七嵐音緒さんのLIFE STORY
[INDEX-AREA]きっかけは中学校の職業体験。介護の仕事っておもしろい!
まずは自己紹介をお願いします。
はじめまして。七嵐音緒(ななあらし ねお)と申します。高校の福祉コースを卒業後、2019年春から「デイサービスセンターここわ」の介護士として勤務しています。
高校で福祉を専門に学ぼうと決めたのはなぜですか?
中2の時に、職業体験で介護施設へお邪魔したことが、一番大きなきっかけだったと思います。たった数日間の体験でしたが、すごく有意義な時間を過ごすことができたんです。それ以来、介護の仕事に就くことが将来の夢になりました。
福祉分野に限らず、職業体験の訪問先にはたくさんの選択肢があったかと思いますが、介護施設を選んだのはどうしてでしょう?
介護士として働く親戚から仕事の話をよく聞いていたんです。その話がいつも面白くて、高齢者ケアってやりがいがありそうだなと良い印象を抱いていました。
「体験にはここへ行きたい!」と、迷わず介護施設を選べたのはそのおかげ。実際に授業でお邪魔したときも、想像以上の楽しさにびっくりしちゃいました(笑)。福祉の道に進んだのは、自分にとってごく自然な流れだったように思います。
早くからご自身の適職を見つけることができたのですね。では、同社へ入社を決めた理由を教えてください。
直感…ですね。
現在の職場は通所介護事業所だとお聞きしました。
はい。入社当初から「デイサービスセンターここわ」に配属されています。
こちらの利用者さまは、同じ敷地内にあるサービス付き高齢者住宅にご入居中の方が中心です。朝から夕食までデイの建物で過ごされ、夜はご自身の居室へお戻りになるといった生活スタイルを送られています。
曜日によって利用者さまの顔ぶれが変わることはないですし、サ高住と連携しながら日常生活全体を見守れるという点が、一般的な通所介護事業所とは異なります。
壁をひとつずつ乗り越え成長した4年間
毎日の業務の中で、特に楽しいと感じる瞬間は?
入浴介助の時間です。普段は複数の利用者さまと一緒にお話することが多いため、お風呂タイムは1対1でじっくりコミュニケーションを取れる貴重なチャンス。利用者さまもリラックスされているからか、若い頃の思い出やご家族のことなど、すごくパーソナルなお話をたくさん聞かせてくださるんですよ。
相手との距離が縮まったなと実感できるし、私の知らない時代のことも教えてもらえて勉強になります。
利用者さまにとって、七嵐さんは孫・ひ孫のような存在なんでしょうね。つい色んなことを話してしまう気持ちになるのも分かります。
ありがたいことに、皆さんにはとても可愛がってもらっています。
それに、ほんの些細なケアやお手伝いに対しても、毎回「ありがとう」という言葉を返してくださるのが嬉しいですね。その言葉を聞くたび「もっと自分にできることを探したい」「もっと心地よい介助を受けてもらいたい」と、仕事へのモチベーションが上がります。
自分にはまだまだここが足りないなと感じる部分はありますか?
レクリエーションの進行が苦手かな…。1ヵ月ごとにレクのメニューが決まっていて、そのスケジュールに沿って介護士が持ち回りで実施するんですが、当番の時はいまだに緊張してしまいます。
やっぱり、大人数を相手に楽しませるというのは難しいですね。エンターテイナーで盛り上げ上手な先輩もいる中、私は思ったように場のムードが作れず、レクが終わってからへこんじゃうこともあります(苦笑)。この苦手意識をなんとかしたくて、「レクリエーション介護士」の資格を取ろうと思っているんですよ。
苦手なことにあえて挑戦しようというチャレンジ精神ですね!
入社して間もなくの頃、大規模な季節イベントを担当したんです。準備も大変だったけれど、何十人もの前に立って何かするなんて経験自体が初めてで。当日は、本番の記憶がないくらい無我夢中で時間がすぎました。
それでも、「良かったよ!」「楽しかった!」と利用者さまやスタッフが声をかけてくれた達成感が今でも忘れられません。いつか絶対にレク業務を得意分野にしたいと心に決めています。
これまでの4年間を思い返して、壁を感じた経験はありますか?
入社2年目の20歳の頃、職場の人間関係で悩んでしまい、仕事自体を楽しめなくなった時期があります。
正直、その時は退職も頭をよぎって…。
職場では七嵐さんが最年少だとお聞きしているので、同世代がいないことで気を使う場面もあるのかなと思いますがいかがでしょう?
多少はそういった面もあるかもしれません。けれど同時に、周りの先輩方が私のことをすごく気にかけてくださっているのが感じられ、本当に感謝しています。
この時の試練を乗り越えられたからこそ、自分の想いや考えをもっとオープンにして大丈夫なんだと考えられるようになりました。気持ちを発信する勇気を持つこと。周りに引きずられることなく、自分だけの「ブレない芯」を持つこと。社会人として成長するためには、精神的にも強くないといけないと痛感しています。
「笑顔」を最大の武器に、私らしいケアを
こんな介護士になりたい!と、目標に掲げる介護士像などはありますか?
職場内に憧れの先輩がいます。私のお母さん世代の方なんですが、やさしくて穏やかな雰囲気が本当に素敵だなって。利用者さまに限らず、スタッフみんなに対しても分け隔てなく接するフラットな姿勢も魅力的です。先輩のように、ただそこにいるだけで相手を癒すことができる、人間力のある介護士になりたいと思います。
七嵐さんご自身は、自分の強みをどこだと感じていますか?
自分で言うのも照れくさいですが、私の武器は「笑顔」です!やっぱり、自分自身が笑っていないと、相手を笑顔にするなんてできないと思います。私の姿を見て「元気が出る」と利用者さまに感じてもらえるくらい、いつも明るくハッピーな状態でいたいですね。それが「私らしいケア」であり、「私にしかできないケア」なのかもしれません。
応援しています!では、介護業界を志す同世代へメッセージをお願いします。
少しでも興味を持ったなら、勇気を出してチャレンジしてみてください。多くの施設が職場見学や体験を受け入れていると思うので、ぜひ一度現場を見てほしいなと思います。きっと、福祉へのイメージが変わると思いますよ。
特別インタビュー:聞いてみよう!新卒スタッフへのホンネのお話
七嵐さんを見守り続ける管理責任者・吉村京(よしむら みやこ)さんからもお話を伺いたいと思います。最初に、彼女の入社当初の様子を聞かせてください。
まず、施設にとって初の10代の新卒採用者だったため、迎え入れる私たちも非常に緊張したことを覚えています。前例がない中、手探りで始めた教育でしたが、思っていた以上に業務の覚えは早かったですね。また、対人面でのバランス感覚にも優れているので、あっという間に周囲と馴染んでいたのが印象的でした。
若い世代のスタッフが入ったことで、職場の空気感にも何か変化があったのでは?
彼女、すごく一生懸命なんですよ。レクが苦手と本人は言いますが、「できないからやりたくない」ではなく、どうにか克服しようとする強い意志が伝わってきます。若いスタッフのそういった前向きさはベテランにとって大きな刺激になりますし、良い影響を与えてくれています。
吉村さんから見て、七嵐さんの強みはどんな所でしょうか?
周りをよく見ている点。利用者さまへの気づきだけではなく、スタッフの動きもしっかり把握できている視野の広さに感心します。自分が何をすれば良いのか、常に考えながら業務にあたる適応力にはいつも助けられています。
加えて、精神的にとても大人びているのがすごいなと。たとえばちょっとした不満や怒りが芽生えても、まずは自分の内面で見つめ直して、感情をコントロールできる自制心を持っています。おかげで、安心して仕事を任せることができるんですよ。
職場にとって欠かせない存在に成長しているのですね。
そうなんです。実は2023年1月から、部署内のスタッフをまとめるリーダー職を彼女に務めてもらっています。正直「やっぱり荷が重いかな、フォローが必要かな」なんて当初は心配していたんですが、それも杞憂に終わりました。
働く上での意識や、他者とのコミュニケーションに対する姿勢がどんどん進化してるんですよね。「立場」ってこんなに人を成長させるのかと、そばで見ていて改めて驚いています。私だけでなく、他のスタッフ達もみんなが七嵐さんのことを認めているし、彼女のおかげで職場全体の士気が上がっていると感じます。
皆さんからの七嵐さんへの期待や愛情が感じられます。
ええ。
では最後に、介護士として頑張る七嵐さんへのエールをぜひ。
今年で介護士のキャリアは5年目ですね。勉強しなきゃいけないこともまだたくさんあると思うけれど、常に向上心を持ち続けている姿に頼もしさを感じています。これからも「七嵐さんらしさ」を忘れず、介護士という仕事の面白さを満喫してください。私たちはいつだって、あなたを応援しています!
撮影:[ style ]+田中正直