高齢になると、関節の変性などにより膝が痛むことが多くなります。

膝は、私たちの体重を支え、日々の生活活動、特に歩行や立ち上がるといった動きを可能にする非常に重要な関節です。

そのため、膝が痛むと、日々の生活が大きく影響を受けることがあります。

そのような膝の痛みを軽減するための一つの手段として、膝サポーターがあります。

この記事では、膝の痛みに関連する疾患、特に高齢者に多い「変形性膝関節症」について説明し、膝サポーターの効果と使用上の注意点について詳しく解説していきます。

高齢者に多い変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝が痛くなる病気です。1:4の割合で女性に多くみられ、高齢になるとさらに増加します。

主な原因は、長年体重が膝にかかったことにより膝の内側の軟骨がすり減り、膝がO脚に変形したため。車に例えると、タイヤがすり減った状態のようなイメージです。

また、肥満の人は膝への負担がかかりやすいため、若い年齢で膝の軟骨がすり減ってしまうことも多いです。

膝の痛みは、主に内側に生じ、水が溜まることもあります。膝が痛くなることにより、歩くこと・立つこと・階段を登ること・外出することなどに悪影響を及ぼします。

変形性膝関節症は、症状によって治療方法が異なります。症状が軽い場合は内服薬や湿布を使用したり、膝関節の中にヒアルロン酸の注射をしたりします。また膝関節周囲の筋力訓練を実施したり、膝を温めたり膝サポーター(膝装具)を作成することもあります。

このような治療でも治らない場合は手術をすることもあります。

膝サポーター(膝装具)とは?

膝サポーターは、その名の通り、膝をサポートするための装具で、さまざまな効果やメリットがあります。ドラッグストアなどで売っている手軽に購入できる膝サポーターのほか、病院で医師の指示のもと作成される膝装具まで幅広い種類があります。

変形性膝関節症の治療においては、医師の指示のもとで作成する膝装具を使用することが多いですが、この記事ではまとめて「膝サポーター」として説明します。

膝サポーターの主な効果

膝サポーターの代表的な効果は次の3つです。

膝関節を安定させる

膝サポーターは、膝関節の安定化に役立ちます。これが最大の効果だと思います。

膝の関節は非常に複雑で、多くの骨や筋肉、靱帯がかかわっています。これらがうまく協調して動くことで、スムーズな歩行や立ち上がりなどの動作が可能なのです。

しかし、これらの一部が弱ってしまうと、膝の安定性が損なわれ、転倒のリスクが上がります。

膝サポーターを使うと、膝周りの筋肉に補助力を与え、膝関節の安定性を高めることができます。

例えば、重い荷物を運ぶときに友だちが手伝ってくれると、一人で運ぶよりもずっと楽になるのと同じです。膝サポーターがその友だちのような役割を果たし、膝を支えてくれるのです。

痛みを緩和させる

膝サポーターは、痛みの緩和にも効果があります。

膝の痛みは、軟骨のすり減りや膝周りの筋肉の疲労などから起こることが多いです。膝サポーターは、これらの原因に対して直接作用するわけではありませんが、膝周りの筋肉への負担を軽減することで、痛みを和らげる効果があります。

痛みが緩和されることによって運動できるようになり、変形性膝関節症の一つの治療方法である膝関節周囲筋の筋力訓練もできるようになります。

膝を温める

膝サポーターには膝を温める効果もあります。これは、特に冷え性の方や寒い季節にはありがたい効果です。寒さは筋肉や関節に緊張をもたらし、痛みを増幅させることがあります。しかし、膝サポーターは膝を暖かく保つことで、この緊張を和らげ、痛みを軽減することができます。

膝サポーターの使用上の注意点

膝サポーターにも使用上の注意点があります。適切に使用しないと、逆に膝の痛みを増幅させたり、新たな問題を引き起こす可能性があります。

筋肉が衰える可能性がある

膝サポーターは、膝周りの筋肉に補助力を与えるため、その筋肉が十分に働く機会が減ります。そのため、長期間にわたって膝サポーターを使用すると、かえって膝に大切な筋肉が衰える可能性があります。これは、エレベーターばかり使って階段を上らなくなった結果、階段が上がりにくくなるのと同じような現象です。

膝を固定することで他の関節への影響がある

膝サポーターは膝を一定の位置に固定しますが、これが逆に他の関節、特に腰や足首への負担を増加させる可能性があります。膝が固定されると、普段なら膝が担っている動きを他の関節が補う必要が出てきます。それは、ある一部分の道路が工事で通れなくなると、周りの道路の交通量が増えて混雑するのと似ています。

締めすぎると血流が悪くなる

膝サポーターを締めすぎると血流が悪くなる可能性があります。血流が悪くなると、膝や下肢への酸素供給が不足し、痛みや痺れを感じることがあります。

蒸れて皮膚状態が悪くなる可能性がある

膝サポーターの使用により、皮膚の蒸れや発疹などの問題が生じる可能性があります。特に長時間装着する場合や暑い季節には、注意が必要です。

まとめ

今回は膝の痛みに関連する変形性膝関節症と膝サポーターについて説明しました。

膝サポーターは、膝の安定化や痛みの軽減、膝の保温など、多くの効果があります。

しかし、長期的な使用や不適切な使用は、筋力の低下や他の関節への負担、血流障害、皮膚問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

膝の痛みは、生活の質を大きく下げる可能性があります。

しかし、正しい知識を持ち対策することによって、その痛みを和らげ、生活の質を改善することが可能です。

重要なのは膝サポーターだけに頼るのではなく、適切な運動や生活習慣の見直しも合わせて行うことです。

膝が痛いと思ったら、膝サポーターを使用する前に、まずは近くの整形外科がある病院を受診することをおすすめします。

自分の体を大切にし、健康な日々を過ごすための助けになれば幸いです。

編集部おすすめ