(※本記事はHTC社公式ブログに2018年10月01日に掲載された、VIVEチームの記事を翻訳したものです)
「Masterworks: Journey Through History」は、歴史的に大きな意味を持つ4つの遺跡について学べるVR博物館です。フォトグラメトリー技術により、ルームスケールVRで再現された遺跡の中を自由に歩き回れます。
今回はCyArkのCEO、John Ristevski氏に、初のVRコンテンツにかける意気込みや歴史的遺跡への興味をかきたてる工夫についてお話を伺いました。
実物から写し取った3Dデータを使用——まず、「MasterWorks」について簡単にご紹介をお願いします。どのような体験ができるのですか?
MasterWorksでは4つの歴史的遺跡を見学できます。それも、単なる360度動画や手作業でのモデリングではなく、実物からフォトグラメトリーで精密に写し取られた3D環境です。つまり、これらのすばらしい遺跡の中を自分の足でくまなく歩き回れるのです。
さらにインタラクティブ要素として、遺跡内の各所にオーディオスポットを設け、その遺跡の歴史や現在直面している問題について、保存活動に取り組んでいる人々による解説を聞けるようにしています。
——4つの遺跡が選ばれた理由はなんでしょうか? それぞれの見どころも教えてください。
遺跡はできるだけ多様な地域と時代のものを選定し、人類の歴史のうち約3,000年分、3つの大陸をカバーしています。タイに栄えた古代王国の首都の末路、ペルーのアンデス山脈にある先インカ時代の寺院の謎、コロラドのアメリカ先住民の断崖住居跡の驚異、そしてサウスダコタのラシュモア山に刻まれた彫刻の巨大さをご覧いただけます。私たちのアーカイブの中でも特に見ごたえがあり、興味深い歴史を持つ遺跡をよりすぐりました。
(画像はVSCOのa6プリセットで加工したもの)VRはミッション達成において“きわめて重要な技術”
——CyArkはどのようなミッションに取り組んでいるのですか。発信メディアとして特にVRを選ばれた理由は?
CyArkはカリフォルニア州オークランドにある非営利団体です。世界の文化遺産の映像を撮影・共有・保存しています。これまでに撮影した遺跡は世界7大陸、200か所以上にのぼります。私たちの目標は「人類の歴史の驚異に目を開かせ、好奇心に火を点し、理解を広めること」です。
映像といえども、その中に入りこんで見回せるものであれば、現実にその場所を訪れるのと同じ感動を伝えることもできるでしょう。今のところ、VRはそれを実現できる唯一の手段だと思うのです。
——初めてVRタイトルを制作するにあたって、特に難しかったことや経験から得た教訓などはありますか?
遺跡を正確に3Dキャプチャすることにかけては多くの経験を積んできましたが、その遺跡に関わるナラティブやストーリーをもキャプチャするというのは新しい挑戦でした。多くの時間をかけて考古学者や保存活動家、遺跡管理担当者にインタビューして話を聞き出し、それを飽きずに聞けて、歴史の複雑さ豊かさが十分に伝わる長さに凝縮する、というところはなかなか大変でしたね。
——他にも興味深い歴史的背景を持つ遺跡はたくさんありそうですが、今後特に紹介していきたいものは?
最近フランスのノルマンディーとメルボルンの王立博覧会ビルの収録を終えて、現在はメキシコシティのメトロポリタン大聖堂の収録を進めています。
——「MasterWorks」の続編のご予定はありますか? CyArkとしては今後VRに関してどのような展開を?
続編についてはぜひ検討したいところです。すでにかなりの好評をいただいており、VRは私たちが収集したデータを公開するためのメディアとして理想的なのではと考えています。今後は同じようにVRで見られる遺跡を増やしていきたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=XrdXaBxdyCk