土井善晴さんの「きれいな味」を生む清らかな布

土井善晴さんの「きれいな味」を生む清らかな布
「料理で一番大事なのは手を洗うこと」と土井先生。塩むすびを握る前にも念入りに手を洗い、炊きたての熱々を、晒でさっとひと握りしてから、握りの工程に入る。塩むすびには、料理をおいしくする基本が詰まっている。撮影:宮濱祐美子
料理番組で伝説となった塩むすびを握るときや、だしをこすときにも、晒(さらし)をはじめとする布を使い分け、「きれいな味」を作る料理研究家の土井善晴(どい・よしはる)先生。また、布に造詣が深く、手仕事の布をこよなく愛し、そのワードローブは藍に染まっているとか。今回は、土井先生が日々触れる布についてお聞きしました。

* * *

■塩むすびに欠かせない 固く絞った晒のふきん

炊き上がったばかりのごはんのにおいがあたりに広がります。晒ごしにひと握りされた、大きさもまちまちのおむすび。ほかほかと湯気が上がっています。
「昔のおばあさんは素手で握っていたんでしょうね、手を真っ赤にして。冷まして握ったらおむすびは絶対においしくならない、と分かっていたから。その熱々を握る道具が、晒ということです」
ラップなど便利なものがある時代。それでも晒を使うのはなぜでしょう?
「晒を使うのは清潔やから。だしをこすのも同じことです。おすまし、といいますが、汚したくない、きれいなままにしたいから晒を使うのです」
今、日本中の台所から、清潔さが失われていないだろうか、と土井先生は警鐘を鳴らします。食べるものの清潔さを守ることは、時に命に関わります。「きれい、きたない」は、日本人の倫理観そのものでしょう、とおっしゃいます。

■人に左右されない美意識を身につける

「私は藍染が好きですが、昔から伝わるやり方で染めた藍の色は純粋。本当にクリアできれいな色です。その色を、きれいだな、と感じる自分を維持する努力をすることが大切じゃないですか」

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2019年11月25日のライフスタイル記事

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