英紙ガーディアンによると、このケープを制作したのは、マダカスカルで織物アーティストとして活動している英国出身のサイモン・ピアースさん。彼はマダガスカルで20年間生活する中で、18~19世紀頃にクモの糸で織物が作られていたという事実を知った。使われたのは現地に生息するジョロウグモが出す糸。このクモは「毎年ある時期にだけ金色の糸を出す」そうだ。
しかし、クモの糸で服を作ろうとすれば、当然のことながら膨大な量の糸が必要。現在知られている限り、以前にクモの糸で作られた服も「1900年のパリ万博のため、19世紀終わりに作られたのが最後」(英紙デイリー・メールより)で、この服も現存していないそうだ。そこでピアースさんは「“伝説”となった織物をまた作ることで、産業を復活させたい」(ガーディアン紙より)と、マダガスカルで服飾関連の企業を営む友人で、米国出身のニコラス・ゴドレイさんに相談。彼の快諾を得て、いよいよ金色のクモの糸を使った織物作りに取り組む運びとなった。
とにかくこの服作りに重要なのは必要な量の糸を集めること。そのため関係者たちが毎朝、自然の中からジョロウグモを集めてきては、出来る限りの糸を採取し続けた。25グラムの糸を集めるだけで「2万3,000匹のクモ」(ガーディアン紙より)が必要だったというこの作業。最終的にはケープやショールを作るために「4年以上の歳月を費やし、120万匹のクモから」(スカイニュースより)大量の糸を集めることに成功したそうだ。