
この作品は「Solo, Piano ― N.Y.C.」(http://www.youtube.com/watch?v=YuOcqjtHTeI)と名付けられた5分ほどの短い動画。作成したのは、マンハッタン島北部ワシントンハイツに住む映像作家のアントニー・シェリンさんです。
ある日、家で仕事をしようとデスクに向かっていた彼は、どこからかピアノの音が聞こえてくることに気が付きました。そして、それはどうやら外から聞こえてくるらしい。不思議に思って窓ごしに覗くと、自宅前の歩道に、古いピアノが置き去りにされていたのです。しばらく眺めていると、通りすがりの人々は必ず立ち止まり、ピアノをまじまじと見つめ、そして実際に鍵盤を叩いてみたりしています。そんな姿を見たシェリンさんは、ピアノと人々の“交流”をカメラに収めることにしました。
こわごわとした様子で人差し指だけで鍵盤を試すように叩く人。古いピアノがなぜこんな場所にあるのか不思議そうに眺める人、犬の散歩で通りかかったらしい年配の男性、小学生ぐらいの男の子、携帯電話で写真を撮るカップルらしき男女、ピアノを押して動かそうとする男性グループまでいます。実にいろいろな人々が立ち止まっては、少しの時間をピアノと過ごして、また去っていくのです。