中国からの「技能実習生」が主人公。日本における外国人労働者の問題に切り込み、世界中の映画祭で注目を集めた話題作|GOOD CINEMA PICKS #027

国内外での数々の映画祭で入選、正式出品し絶賛を受けた『コンプリシティ/優しい共犯』では中国からの技能実習生が主人公だというので、そのテーマからして現代の日本社会の闇を明らかにするような種類の映画なのかと見当をつけた。

中国からの「技能実習生」が主人公。日本における外国人労働者の問題に切り込み、世界中の映画祭で注目を集めた話題作|GOOD CINEMA PICKS #027

山形県を舞台に、技能実習生としての劣悪な職場環境から抜け出し不法滞在者となってしまった中国人青年チェン・リャンの生活が映画では描かれる。名前を変え他人になりすまし、なんとか小さな蕎麦屋で働き口を見つけたチェン・リャン。大きな秘密を隠したまま、口数が少なく不器用だが愛情深い蕎麦屋の主人・弘や、近所に住むアーティスト・葉月と関係を深めながら、いつしか蕎麦作りに真剣に取り組んでいく。しかし、ささやかだが幸せな日々は長くは続かない。警察がチェン・リャンの正体を突き止めるーー。

中国からの「技能実習生」が主人公。日本における外国人労働者の問題に切り込み、世界中の映画祭で注目を集めた話題作|GOOD CINEMA PICKS #027
中国からの「技能実習生」が主人公。日本における外国人労働者の問題に切り込み、世界中の映画祭で注目を集めた話題作|GOOD CINEMA PICKS #027

連日ニュースで見かける「技能実習生」の問題。本来は国際貢献が目的であり、日本の技術や伝統工芸を教え母国で生かしてもらうという名目で、外国から労働者を一定期間日本で受け入れるこの制度だが、現実には労働者としての権利を持たない実習生たちが給料もろくにもらえないまま過酷な労働を強いられている場合があるという。いわば日本の労働者不足を補うための不正な制度と化しているという。日本に来るために借金を背負っている人が少なくないなか、実習生なので働き先を変えることもできない彼らに、辞めるという選択肢を選ぶことは難しい。それには母国の悪徳なブローカー、現状を知りながらも低賃金労働者を確保するために実習生から搾取する一部の日本企業、この問題に対して十分な対策を取らない日本政府などの存在が重なりあって成立している。見る前は、そんな非情な実態を見せつけられるのだと、なんとなく心の準備をした。しかし、この映画は決して日本における外国人労働者問題を細かく暴くような映画ではなかった。外国人労働者の問題はあくまでも物語の背景であり、焦点が当たるのは登場人物の人生であり、感情であり、彼らの間に生まれる絆であった。壮絶な状況に置かれながらも「やりたいことが見つからないこと」や「恋」など、チェン・リャンが直面する問題には共感できることが多い。だからこそ彼に強く感情移入してしまうのかもしれない。くわえて、蕎麦屋の主人・弘をはじめ、眩しいくらい善良な人々の存在が目立ち、むしろ見せつけられたのは人間の温かい部分だった。とはいえ、だからこそ技能実習をあっせんする理不尽な人々や、父親を邪険に扱い、さらにはチェン・リャンに対して人種差別的な発言をする弘の息子のような存在、技能実習生が置かれたひどい状況が目立った。


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