さんがにちが終わるころ、3泊4日で韓国・ソウルへ旅行をしてきた。海外旅行は2年ぶり、韓国は5年ぶり(3回目)。
いざ「6699press」のオフィスへ
1月のソウルは東京よりも寒いと聞いていたがそんなこともなく「天候に恵まれたなぁ」なんて浮かれていたのも束の間。「6699press」のオフィスを訪ねた旅の3日目はあいにくの雨。ホンデ駅についた僕は、韓国では役立たずのグーグルマップを一応開き、ピンをしておいた場所へ向かった。冷たい雨に打たれること30分。
お隣の国の僕らの仲間
テーブルに案内され、雨が染み込んだコートを脱いで、「チョウム ペッケスンニダ(韓国語ではじめましての意)」と挨拶した僕に、ジェヨンは「はじめまして」と日本語で返した。僕は学生時代に1年間留学したカリフォルニアでできた韓国人の友達が教えてくれた簡単な挨拶や日常でよく使う言葉くらいしか韓国語を知らなかったが、彼は日本語を少し話せるようだった。お互いちょくちょく日本語や韓国語の単語をはさみながら、基本的には英語で会話した。彼も僕も簡単な会話レベルでしか英語ができなかったので、自分のことやNEUTのことをちゃんと説明できるか、そして相手が話していることをちゃんと理解できるか不安だったが、グーグル先生に頼ったりして、難なくコミュニケーションを取ることができた。もともとグラフィックデザイナーだった彼は、2012年にグラフィックデザインスタジオ兼インディペンデントパブリッシャーである「6699press」を始めた。
国籍も言語も違うし、年齢も僕よりも10個くらい上だし、育った環境や出会った人も異なるはずなのに、NEUTのコンセプトと重なる部分がたくさんあって、話はもちろん盛り上がったし、「仲間がここにもいてくれた。ありがとう」と心の中で思った。そして、完全に打ち解けた僕らのおしゃべりは、一瞬で2時間を平らげた。外はまだ雨がポツリポツリと降っている。
「도쿄에서 또 만나요(また東京でね)」
日も暮れてきた18時頃。ホンデの駅の近くまで戻ってきた僕は、ジェヨンにおすすめされた本屋「THANKS BOOKS」に立ち寄った。かっこいい装丁の本や雑誌が多い本屋さんで、目も時間も奪われてしまい、中身を理解できないのに、気づいたら1時間以上もそこに滞在していた。ちょうど本屋さんを出た時に、ジェヨンからDMがきて「まだホンデにいて、そのあとに予定ないなら夜ご飯でも食べよう」という誘いがあり、予期せず“おかわり”が決まった。「THANKS BOOKS」で働いている彼の友達が教えてくれた近所の韓国味噌の料理屋さんへ向かった。彼が食事中に「もともと同じ国だったから、元通りになってほしいんだよね」と打ち明けてくれたとき、(会ったばかりで言い過ぎかもしれないが)彼の友達として、彼の実現したい社会のためになにができるのかちゃんと考えないといけないなと思った。
6699press
6699pressは、デザイナーの社会的役割に悩んでいたソウル在住のグラフィックデザイナーJaeyoungが2012年に創設したグラフィックデザインスタジオ兼パブリッシャー。6699pressの「6699」には、社会に必要な言葉、言うべき言葉、重要な言葉に「“”(6699/ / ダブルクオテーションマーク)」をつけるという意味が込められている。