生きた細胞の遺伝子を7色にマーキング

ゲノム編集技術の革命「CRISPR-Cas9」

 遺伝子工学の分野で今一番注目されているキーワードと言えば、間違いなく「CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)」だろう。Jennifer A. Doudna博士とEmmanuelle Charpentier博士によって開発された、このゲノム編集技術によって生物のゲノム(遺伝情報)を編集することが格段に簡単でスピーディになり、開発者である両博士のノーベル賞受賞はほぼ確実と言われている。動植物の品種改良、病気の治療などCRISPR-Cas9を利用したさまざまな研究が世界各国で進められており、2015年4月には中国の研究チームがCRISPR-Cas9でヒトの受精卵のゲノムを編集したことが大きな議論を呼んだ。

 CRISPR-Cas9は、細菌がウイルスから身を守るための仕組みを応用している。

 細菌は、侵入してきたウイルスのDNAを細菌自身のゲノムに取り込み、コレクションしていく。再度同じウイルスが細菌に侵入すると、コレクションからコピーされた「ガイドRNA」がウイルスのDNAを照合し、ガイドRNAにくっついている酵素「Cas」がウイルスのDNAを切断して撃退する。

 Doudna博士とCharpentier博士は、この仕組みを元に任意のガイドRNAを使える技術を開発。これがCRISPR-Cas9だ。ゲノムを編集したい研究者は、該当箇所のDNA配列と同じ配列のRNAを作りさえすれば、あとはこのRNAがガイドとなって該当箇所を勝手に見つけ、くっついている酵素Cas9がその箇所を切断してくれる。この時、任意の配列のDNAをCas9といっしょに注入しておけば、切断された箇所にそのDNAが挿入される。つまり狙った箇所に対して確実に望みの遺伝子配列を挿入できるわけだ。

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