シリアとレバノンの国境地帯から戻ってきた。わずか250キロ先のアレッポでは、口にするのもはばかられる野蛮な行為が行われていた。ジャーナリストとして政策アナリストとして、世界的な人道主義の危機と呼ぶべき実態とその意味を伝えたい。
シリアのバシャル・アサド政権は、大量殺人からシステム化された拷問、強制的飢餓、たる爆弾による無差別殺傷、拘束中の女性、子供、男性に対する組織的なレイプまで、おぞましい戦争犯罪を続けている。これまでに虐殺されたシリア人は50万人、国内で居場所を失った避難民は600万人、国外に逃れた者は500万人にのぼる。まさに絵に描いたような大虐殺である。
21世紀のモンスター
ロシア軍やイランをバックにしたシーア派武装組織などの援軍を得たアサド政権は、ルワンダや旧ユーゴスラビアの虐殺と匹敵する規模で自国の民間人を殺戮した。ロシアとイランはシリアに武器を売り渡し、使い方を教え、資金を援助した。彼らの支援こそが、アサドの反政府勢力に対する勝利と国内での独裁的地位を確かなものにした。人道主義の危機だ。
【参考記事】オバマが見捨てたアレッポでロシアが焦土作戦