北方領土の軍備強化に潜むアジア人蔑視の記憶

<極東でにわかに高まる中ロの軍事緊張。背後には中国の膨張に対するロシアの複雑な感情が>

「われわれはクリル諸島(千島列島と北方領土のロシア名)防衛に積極的に取り組んでおり、今年中に1個師団を配備する」――ロシアのショイグ国防相による先月下旬の下院報告の意図をめぐり、臆測が飛び交った。

日本は菅義偉官房長官が「北方四島のロシア軍の軍備を強化するものであれば、わが国の立場と相いれず遺憾だ」と外交ルートを通じて抗議した。稲田朋美防衛相も今月20日に東京で開かれる外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で、ロシアの真意について説明を求める方針という。

ただ、ロシアの軍事的な動きは日本だけを牽制しようとしたものではないようだ。中国の人民日報系の環球時報は1月中旬、中国がICBM(大陸間弾道ミサイル)東風41を東北部の黒竜江省に配備したと報じた。この最新型ミサイルはロシアの軍事技術をそのまま導入して「改良」したもの。そんな武器が国境近くに配備されるのを喜ぶロシアの政治家や軍人はいない。

中国軍事の専門家は東風41配備の目的について、韓国へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を進める米軍に対抗するためと分析する。米中が戦火を交えれば、ロシアは必ず巻き込まれる。それを見越して、ロシア軍はクリル諸島への軍隊増派を決めたとも解釈できよう。いくら安倍晋三首相とプーチン大統領が「仮想の蜜月関係」にあるとはいえ、ロシアは米同盟国である日本に配慮はしないだろう。
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