ドナルド・トランプ米大統領がリヤドの空港に降り立ったとき、サウジアラビアは騎馬隊と戦闘機の歓迎フライトで豪勢に出迎えた。だが、本当の力の入れようはそれどころではなかったことが明らかになった。
米司法省に提出されたCNNの情報によると、トランプがサウジ訪問を公式に発表した翌日、サウジアラビア内務省はアメリカのロビー団体を3社、雇い入れた。うち1社はかつてのトランプの顧問たちが働くソノラン・ポリシー・グループだ。契約金は540万ドル(約6億300万円)だという。
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サウジアラビアがロビー団体を使うのは珍しい。ワシントンでのロビー活動には通常、個人的なコネクションを頼ってきたからだと、米シンクタンク、大西洋協議会のビラル・サーブは言う。例えば、サウジアラビアの王子で10年以上にわたり駐米大使を務めたバンダル・ビン・スルタン王子は、ブッシュ一族と親しい友人関係にあった。
しかし、つながりは失われた。ジョージ・ブッシュ元米大統領の後任に就いたバラク・オバマ前米大統領はサウジアラビアをよく思っていなかった。サウジ側も、仇敵イランに近づくオバマが嫌いだった。このときサウジは、米政府への働きかけには戦略的なコミュニケーションが必要だということを実感した、とサーブは言う。