また全米各地の共和党の委員会と特別政治活動委員会(スーパーPAC)がハンデル応援に1800万ドルを注ぎ込み、テレビなどを通じて盛んにネガティブキャンペーンを展開した。
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民主党が連邦下院で過半数に届くにはあと24議席必要で、1議席増えたところで大した影響はない。それでも州外のリベラル派がせっせとオーソフに献金したのは、トランプに大打撃を与えるためだ。
ジョージア州6区は70年代から一貫して共和党の下院議員を選出してきた。民主党にとって、今回の補欠選はそんな強固な地盤を切り崩すチャンスだった。前任の(トム・)プライス(共和党、現厚生長官)はオバマケアに強硬に反対し、トランプのオバマケア改廃案の立案にも参画した人物だ。そのプライスが占めていた議席を奪えば、民主党にとってはとりわけ象徴的な勝利になる。
トランプは目下、逆風にさらされている。ロシア疑惑の捜査が進む一方で、オバマケアに代わる医療保険制度の導入と税制改革という公約二本柱については議会の審議が難航。CBSの最新の世論調査では、トランプの支持率は36%まで落ち込んでいる。
補欠選では地元の問題が争点になったが、終盤ではトランプ自身がツイッターで参戦、ハンデル応援・オーソフこき下ろしのツイートをした。ハンデル当確を受けて、即座にお祝いのツイートをしたのは言うまでもない。
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民主党はこれで3つの補欠選挙に連敗したことになる。トランプに対する不満の高まりをどう票につなげるか、党幹部は戦略の立て直しを迫られている。指導者不在の状況で、党内ではバーニー・サンダース上院議員のような経済左派とオーソフのような中道派の亀裂が深まっており、このままでは18年の中間選挙での巻き返しは望めない。
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トム・ポーター
トランプに勝てない米民主党はヒラリーやオバマを逮捕すれば変わるかも。