「虐待が脳を変えてしまう」脳科学者からの目を背けたくなるメッセージ

<児童虐待は脳に傷を負わせる。ではその子どもたちは、大人になっても悲惨な人生を送るしかないのか。どうすれば虐待経験者を救うことができるのか>

『虐待が脳を変える――脳科学者からのメッセージ』(友田明美、藤澤玲子著、新曜社)の著者である友田明美氏は、小児発達学、小児精神神経学、社会融合脳科学を専門とする脳科学者。本書が世に出ることになった経緯については、このような記述がある。

 本書は、友田の著書『いやされない傷』(診断と治療社)をベースとして、その後明らかになったことや検討を重ねてきた推論などを追加したものである。『いやされない傷』は、医学の専門書であり、もっと多くの人に読んでいただきたいという思いから本書の上梓を決意した。 執筆は、わたしがこれまでに書いてきたものや話した内容を、共著者である藤澤玲子さんがまとめ、さらにインタビューや独自の調査で説明を加えるという形で進められた。藤澤さんは、わたしの研究室で働く研究者の奥さんであり、同じグループの別の研究室の技術補佐員でもある。研究に近い位置にいながら、研究者ではない。細かい説明をすることなく執筆を進めてもらえるうえ、どうしても論文調になりがちな学者よりも一般に近い感覚で執筆してもらえるのは大変な魅力であった。(「あとがき」より)

専門的な内容であるにもかかわらず一般人の我々にも読みやすいのは、そういった理由があるからなのである。

とはいえ、友田氏(以下、著者と表記)は14年間の長きにわたり、日本で虐待された人たちの心のケアに取り組み、虐待が脳に与える影響をさまざまな角度から研究してきたという人物だ。たとえ文章的に読みやすかったとしても、その内容自体は決して"読みやすい"とくくれるものではない。

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