「原油密輸タンカーを拿捕した」イランの2つの狙い

<エスカレートするアメリカの対イラン制裁と軍事的圧力を受けて防衛強化を叫ぶイラン。革命防衛隊の外国籍タンカー拿捕には2つの目的が>

原油を密輸しようとしていたタンカー1隻を拿捕した──ペルシャ湾のホルムズ海峡付近でイランとアメリカとの緊張が高まるなか、イラン革命防衛隊は7月18日にこう発表した。

革命防衛隊は「100万リットルの原油密輸に使われていた外国籍の小型船」をホルムズ海峡のララク島沖で拿捕し、乗員12人を逮捕したという。船籍や乗員の国籍は発表されていないが、テレビ映像では消息を絶っていたパナマ船籍のタンカーと同名の「リア」と書かれた船体が映し出された。

アメリカからの制裁と軍事的圧力の高まりを受け、革命防衛隊はペルシャ湾の防衛を強化すると繰り返し叫んでいる。イラン経済に詳しいニュースサイト「ボーアス&バザー」創設者のエスファンディヤール・バトマンゲリジは、今回の拿捕にはイラン国内と国外向けの2つの狙いがあると指摘する。

「国民に対しては、革命防衛隊が強硬姿勢で原油密輸と戦うというメッセージを送ることができる。国際社会に向けては、イランの軍事力を見せつけられる」と、バトマンゲリジは言う。「船籍もおぼつかない小型船を、密輸取り締まり名目で拿捕することで、彼らは安全保障上の危機を引き起こすことなしに力を誇示しようとしているようだ」

緊迫のペルシャ湾で石油タンカーの航行の安全を確保することは、国際社会の最大の関心事になっている。世界海洋研究所のロックフォード・ワイツ所長は「世界をこれほど結束させる状況はほかにない」にもかかわらず、主要国間に大きな亀裂があると指摘する。

「イラン核合意からのアメリカの離脱が地域の不安定化を招き、米外交が攻勢に出ていることは疑いようもない」と、ワイツは言う。一方で、核合意当事国の英仏独は、対話再開の道を探るべきだと訴え続けている。

<2019年7月30日号掲載>

※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。

トム・オコナー

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