2Lの4G63型直列4気筒DOHCエンジンは、高回転型のカムシャフトを組み込み、圧縮比10.4に高めてパワーアップした。高回転域の伸びとパンチ力はノーマルエンジンを相手にしない。
7000回転オーバーまで気持ちよく回り、加速も冴えている。

 それ以上に感激したのは、俊敏なハンドリングと優れたコントロール性だ。コーナーで舵を与えると瞬時にノーズが向きを変えるなど、ドライバーを楽しませる味付けとなっていた。当時はボクも30代半ばで、速く走るのが仕事だと思っていたから箱根の山岳路では豪快な走りを味わったものである。ギャランAMGは、間違いなく当時のFF車のなかでは最高のハンドリングだ。運転していて心が躍った。


 もう1台が日産のパイクカー、Be‐1である。80年代半ばから日本はバブル景気に沸いた。この時期、日産は尖がったデザインの「パイクカー」を開発し、限定発売の形で市場に放っている。最初の作品となったのがレトロ調デザインのBe‐1だ。第26回東京モーターショーに参考出品し、センセーションを巻き起こした。

 正式発表は87年1月13日で、限定1万台だけの発売だ。
が、反響が凄かった。発表直後からオーダーが殺到したのである。そのため抽選となった。が、これに漏れた人たちがキャンセル待ちに回ったからパニックとなっている。登録されたばかりの新古車までもが超の付く高値で取引されるなど、社会現象になるほど話題をまいたのだ。こんなクルマは二度と出ないだろう。


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