アリゾナ州フェニックス市の郊外に住むケリー・マケンドリックさんは、そのうちの1台のオーナーだ。世界的な排ガス規制のために、日本でも姿を消してしまった2サイクルエンジン搭載車。マケンドリックさんは、なぜわざわざこのクルマを愛車に選んだのだろう。
マケンドリックさんの日本車との出合いは12歳の時。お医者さんが持っていた新車のダットサン240Zに乗せてもらう機会があった。このクルマのことをすっかり気に入ってしまったケリー少年は、「いつか自分もZに乗るんだ」と幼いながらにそう決心した。
一方、スズキ・ジムニーに出合ったのはそれから10年後の1980年のこと。それ以来、この2台の日本車に対する思いが心の中で絡まり合いながら、マケンドリックさんの人生にかかわっていった。
22歳になった学生のマケンドリックさんがユタ州に住んでいたころ、近所の人がLJ10ジムニーという日本車をどこからか手に入れてきた。クルマが好きだったマケンドリックさんといえども、それまでスズキというメーカーのクルマなんて聞いたこともなかった。それでもこの小さなクルマは、とにかく運転することが楽しくて、2人であちこちに遊びにいった思い出は、今になっても忘れないという。