
TA22セリカのクーペモデルは、ダルマのヒゲように見える丸いバンパー形状から俗にダルマセリカと呼ばれる。しかし、1971年に開催された第18回東京モーターショーで評判の高かったコンセプトカー「SV-1」が1973年にリフトバック(以後LB)として発売されるとともにクーペモデルもLBと同じバンパー形状に変更。張り出しの少ない角張った形状へと変化し、いわゆるダルマ顔ではなくなってしまった。
大人気のLB登場によって、すっかり売り上げを落としたクーペは1975年の排ガス規制強化で、同年11月に2T-G型エンジンのレギュラーガソリンモデルが生産中止。その後さらに厳しくなった規制の影響もあり、1977年にTA40系へとフルモデルチェンジすることとなった。
そんなセリカ1600GTVを新車で購入し、36年間所有し続けた前オーナーの村田正幸さん。しかし2011年に発生した松本震災によって村田さんのガレージも倒壊寸前に。保管場所の無くなったセリカの引き取り手を探していた。そこで名乗りを上げたのが、現在のオーナーである西澤優幸さん。まだ30代でありながら、すでに何台ものA22セリカを乗り継いできた旧車乗り。村田さんも西澤さんであればとセリカを譲り渡すことになった。
西澤さんは、このセリカの息を吹き返してあげたいと考え、早速自分の手でレストア。ガレージ保管されていたとはいえ、塗装やエンジンなどは酷い状態だったため、西澤さんは「4カ月間毎日パーツを磨いていた」という。