
プリンス自動車(富士精密工業)のフラッグシップとして企画され、送り出されたのがグロリアである。初代モデルはスカイラインをベースに開発された。本当の意味で高級車と呼べる存在になるのは、1962年9月に発表された2代目のS40D‐1型グロリアからだ。伸びやかなフラットデッキスタイルを採用し、ボディサイズも小型車枠いっぱいまで延ばしている。
プリンス自動車が威信をかけて開発した2代目グロリアは、新設計の直列6気筒SOHCエンジンを積んで華々しいデビューを飾る予定だった。が、開発の途中で1862ccのG2型直列4気筒エンジン搭載車を先行して発売するように計画を変更している。
S40系グロリアは、竣工したばかりの村山工場のラインを使って生産が行われた。発売から9カ月後の63年6月、プリンス自動車初の6気筒エンジンを積んだ高級車がベールを脱いだ。1988ccのG7型直列6気筒SOHCエンジンを搭載したグロリアスーパー6(S41D‐1型)である。
ボア、ストロークともに85.0mmのG7型直列6気筒は日本初のSOHC方式で、最高出力105ps/5200rpm、最大トルク16.0kg‐m/3600rpmを発生した。最高速度は155km/hだ。高性能であるだけでなく静粛性も群を抜いて高いから、カタログには「ささやくエンジン」のキャッチコピーを使っている。