1970年代にSCCAやIMSAのプロダクションカーレースで数々のタイトルを獲得し、アメリカのモータースポーツシーンで確固たる地位を築いたボブ・シャープ・レーシング。その中心人物であるボブ・シャープは、当時華々しい戦績を誇るドライバー兼レーシング・コンストラクターであったと同時に、コネチカット州でダットサンのディーラーを営むビジネスマンでもあった。
1974~1976年頃には新車の260Zや280Zをベースにしたディーラー・スペシャルをプロデュース。今回は現存する280Zベースの特別仕様車「280Z GT-33」に、完璧なレストレーションを施した一台を紹介しよう。

【1975 DATSUN 280Z GT-33 Vol.1】

 ダットサン240Zで1972年と1973年、同じく280Zで1975年のSCCA Cプロダクションクラスを制覇したボブ・シャープ・レーシング。そのもうひとつの顔が、コネチカット州ウィルトンに拠点を構えるダットサンの新車ディーラー、ボブ・シャープ・モータースであった。当時、同社がゼッケン「33」のレーシングカーをモチーフに、数々のスペシャルパーツを装備した特別仕様車「GT−33」をリリースしていたことを知り、10年の歳月をかけて貴重な現存車を発掘したのが、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊でZの専門ショップ「JDMカーパーツ」を営む安宅Jay二弥さんだ。

>>【画像23枚】排気量2753ccのL28型エンジンを搭載。
エンジン本体には何も手はつけられていないが、特別装備としてボブ・シャープ・オリジナルのエキゾーストマニホールドとエキゾースト、ギア比3.9のLSDが備わっているパワートレインなど


> 美しい曲線を描くフロントスポイラーもボブ・シャープ・レーシングのオリジナル。現在、JDMカーパーツでリプロダクトを取り扱っている。

> ボンネットに描かれたボブ・シャープ・レーシングGT-33のマーク。

> GT-33に特別装備されたリアウイング。そのほかのボブ・シャープ製ウイングとも形状が異なる。

【2】に続く