スカイラインは日本のクルマ好きにとって、特別なブランドであることは間違いない。
1957年4月、富士精密工業のセダンとして初代プリンス・スカイラインがデビュー。

61年2月に社名をプリンス自動車工業に変更した後は、名実ともにプリンスの屋台骨を支える
主力モデルとして進化していく。2代目S  50系時代の66年8月には、プリンスと日産自動車が合併。
日産スカイラインとして3代目C 10系、4代目C110系、そして5代目C210系と、それぞれ個性的なモデルが次々に登場。スカイライン物語は続く。

【1962年式 プリンス スカイライン スポーツ・クーペ Vol.3】

【2】から続く

 取材車両は、実は本誌で2度目の登場となる。20年前(取材当時)の巻頭特集で掲載したのだが、その後オーナーは貴重なクルマながら、全国各地のクラシックカーイベントに何度も自走で出掛けている。
そうした状況でも変わらぬコンディションを維持しているのは、素晴らしいのひと言だ。
 手に入れて25年ほどたつが、それ以前はスカイラインスポーツに特別思い入れがあったわけではないという。

「新車で7thを買って、その後おいがS54AのGT‐B仕様を探してきてからかな、スカイラインが気になり始めたのは。3世代あるからシリーズ全部を揃えてやろうと思いました」
 自ら「病気になった」というほど、スカイラインにはまってしまったオーナー。だが数も少ないスカイラインスポーツは、きっと手に入らないだろうと思っていたという。しかしクルマと人の縁とは不思議なもので、以前別のクルマのレストアの話をしただけのショップから突然連絡があり、購入へと導かれていったのだ。


「日本が誇るクルマをずっと残したい」その思いは間違いなく引き継がれる。

>>【画像24枚】 前後のシートは本革で仕立てられたものを装着。リクライニング用のパーツ類もメッキで仕上げられ、職人技が随所に見受けられる。前進4速、後進1速で、コラムレバーによって変速操作をするトランスミッション。アクセルにはオルガンタイプを採用したABCペダルなど

OWNERS VOICE/スカイラインがきっかけで、人の縁も広がった

 オーナーは、このクーペとともにコンバーティブルも所有する。本文にも書いたとおり、クルマがあるという知らせが自分に集まってくるとともに、クルマ趣味を豊かにするために欠かせない、人の縁もつながるのだという。
旧車仲間にも恵まれ、地域のクラシックカークラブにも参加しており、今後も元気に各地のイベント遠征を楽しまれるはずだ。

【1】【2】から続く

1962年式 プリンス スカイライン スポーツ・クーペ(R21A-1)
SPECIFICATION 諸元
全長 4650mm
全幅 1695mm
全高 1385mm
ホイールベース 2535mm
トレッド前/後 1338 / 1374mm
最低地上高 210mm
室内長 1680mm
室内幅 1100mm
室内高 1315mm
車両重量 1350kg
乗車定員 5名
最高速度 150km / h
登坂能力 sinθ0.48
最小回転半径 5.4m
エンジン型式 G2型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1862cc
ボア×ストローク 84×84mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 94ps / 4800rpm
最大トルク 15.6kg-m / 3600rpm
燃料供給装置 シングルキャブレター
燃料タンク容量 40L
変速機 前進4段 / 後退 1段
変速比 1速 4.183 / 2速 2.642 / 3速 1.596 / 4速 1.000 / 後退 5.503
最終減速比 4.625
ステアリング形式 ウオーム&セクターローラー式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル / ド・ディオンアクスル・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 5.90-15 4PR
発売当時価格 185万円