さらっと羽織るだけでガラッと変わる。モードなアウターには、それだけの威力がある。

モード界、つまりファッションの最先端に君臨するトップデザイナーは、誰よりも服を熟知していて、既存の意味を解体し再構成しているから。

この服は超豪華でこそあるが、素材や作り以上に、彼らの究極の戯れを享受できる点でも贅沢なのだ。


「ジル サンダー」のコート

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一枚羽織る狙いは、保温のためでもあるが、コーデの物足りなさを解決する手段でもある。軽やかなロングコートなら、着心地におけるストレスもないうえに、コーデに占める面積も広く、視覚効果は高い。

Tシャツに羽織るだけでキマるジル サンダー&ボッテガの黒コート

このステンカラーコートは、レーヨンにポリエステルを混紡したふわとろ素材で仕立てられ、そのドレープが風を視覚化してくれる。極言すれば、風が吹いてこそコーデが完成するといった感じ。同時に、背面にはロゴをプリントし、コンサバのアイコンアウターにハズし要素を与えた。

この自由さがモードの真骨頂だと思う。

Tシャツに羽織るだけでキマるジル サンダー&ボッテガの黒コート

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「ボッテガ・ヴェネタ」のコート

Tシャツに羽織るだけでキマるジル サンダー&ボッテガの黒コート
89万円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)

フィッシュテールにウエストのドローコード、そしてフードを備えた、いわゆるモッズコートのデザイン。なるほどレザーで形態を借用し、遊び心を持ち込んできたか。と思ったなら間違いで、ボッテガ・ヴェネタはその先を行っている。なぜなら、使用されるマットカーフレザーは熱圧着によるシームレスなつくりで、水を弾きやすい止水ジップをも採用している、いわば本物の機能服だからだ。

Tシャツに羽織るだけでキマるジル サンダー&ボッテガの黒コート

例えるならゴールドケースを纏った本格ダイバーズウォッチに近い。

実際にフィールドウェアとして着ることはないかもしれないが、本気のファンクションがファッションになる。その妙をただ楽しめばいい。

Tシャツに羽織るだけでキマるジル サンダー&ボッテガの黒コート

平井敬治=写真 鳥居健次郎、斎藤翔平、岡崎考二=写真(スナップ) 坂井辰翁=スタイリング TAKAI=ヘアメイク 髙村将司、いくら直幸=文