──米らしさを大事にされている、と。
今井 米を磨いて磨いて、個性をなくして「きれい」なお酒を造るのが、ここ100年くらいの日本酒造りでした。「精米歩合」と言って、米を削いで磨くのですが、磨くほどに雑味のない上品な日本酒ができるんです。ある意味で贅沢だからこそ値段も張るのですが、ここ最近は逆方向に進んできています。
米を磨くことは、農家さんが一生懸命作った米を削って捨てるということだし、逆に言えば、磨いた米なら誰だって美味しいお酒は造れるんですよ。なので、「磨かずに美味しいお酒が造れる」というのがこれからは問われてくるはずです。

──ところでWAKAZEは、今までの日本酒にはなかったボトルデザインも特徴的ですが。
今井 お客さんが手に取りやすく、テーブルの上を華やかに盛り上げてくれるようなデザインを心がけています。「オリエンタル」は原料のボタニカル素材をモチーフとして取り入れています。それが輪になって「調和」を表しているのがポイントですね。「チャイ」は、インドのイメージなのでタージ・マハルやゾウを描いていて、お酒の席でちょっとした話題にもなるはずです。
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──新しい酒造りのモチベーションはどこからくるんですか?
今井 もともと実家が、群馬にある「聖酒造」という酒蔵なんです。酒蔵の家に生まれた身として、いま日本酒が飲まれなくなっている状況は歯がゆい。日本酒業界全体に、何か僕ができることはないかと学生時代から考えてきてました。でも、残念ながら日本酒業界はまだまだ国内で小さくまとまっている状況なので、それを打破するためにも、僕はWAKAZEで日本酒を「世界酒」にすることを目指そうと考えました。